Year-End Sweetness(士官学校時代の先生とルーヴェンクラッセのお話) 朝の修道院は、いつもと変わらぬ静けさを湛えていた。けれど節季という特別な日付のせいなのか、その空気はどこか張り詰めていて、人の気配がありながらも、ひっそりとした冬の冷たさがそこかしこに滲んでいる。年の瀬が近づくことで、学生たちの多くは自国へ帰省しており、この修道院も普段よりだいぶ人が減っているのを感じた。
ディミトリは、その人の少なさを意識しながら厳かに朝の礼拝を終えた。最後の祈りを捧げ、思わず周囲を見回してから小さく息をつく。いつもそこにいるはずの人がいないことに、ほんの少しだけ違和感を覚えた。
――先生はどこだろう。
何しろ多くの生徒がすでに帰国の途についているのだから、教師が不在であろうとも、そうおかしな状況ではない。だが、ディミトリは心の片隅にうっすらとした気がかりを抱く。先生がどこで何をしているのか。それがわからないことに、妙に居心地の悪さを覚えていた。
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