あなたに似合うのは 北野正念龍という教育実習生が毒竜中学校に来たのは、つい昨日のことだ。何でも英語を担当としているらしく、英語の中でも、特に英単語の発音にこだわった授業をしていた。Vの発音がどうとか、とか言っていた気がする。けれど、授業内容なんて全く耳に入ってこなかった。
授業中、コインロールをしながら外を見ていたからだ。いつもの自分なら、授業を行う先生の顔はちゃんと見ているが、何故か北野先生の顔を見るのは少し恥ずかしかった。何故かなんて分からない。ただ、北野先生の顔を見る度に、ソワソワするような、落ち着かない気分になっていた。そんな気分を誤魔化すためにグラウンドを見ると、ちょうど別のクラスが体育の授業でサッカーを行なっていた。ちょうど良かった。しばらくはこちらを見ていてもいいはずだ。そう考えていた。手持ち無沙汰の状態を何とかするために、手先はコインロールに集中させた。ついでに、コインロールには微量の魔力コマンドを使用した。こうすると、コインロールが安定する気がした。
2181