ある人形の独白……あの方は……人形が好きです。
部屋にも、たくさんの人形が山のように積まれています。
きっと私も、その中の、気まぐれに愛を注いで、満足してもらうための、人形の一つなのでしょう。
私のことを忘れたみたいに放っておいて、他の人形と一緒に寝てしまうことも多いんですよ。
それでも、私はあの方の人形なので、何も言わずに、機嫌を損ねないように、言動を、行動を間違えないように、捨てられないように……あの方が私を必要になった時、役に立てるように刃を磨いています。
ですけど、ここだけの話、飾られて、愛でられるだけの人形とは少し違うと感じることがあるんです。
あの方の周りにいる人形の中で唯一、私だけがあの方の命令に返事をすることができる。
648