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    windsdance_yoru

    @windsdance_yoru

    基本ゆるゲーマー。たまに短編を書いたり書かなかったりしてます。
    @windsdance_yoru

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    windsdance_yoru

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    アランさん家の棒人間たちとホラー映画の話。

    【注意】
    ・自己解釈、独自設定あり
    ・恋愛要素なし
    ・キャラが喋る
    ・目や表情に関する描写あり

    ・この作品はファンが個人的に作成したものであり、原作者様・その他の関係者様とは一切関係ありません
    ・内容は全てフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません

    #animatorvsanimation
    #avm
    #alanbecker

    日本で夏といえばホラーですよね 薄暗い室内にて。
     数名の少年少女たちは、光を放つ怪しげなコンソールを中心に集まっていた。
    『これを見てくれ』
     眼鏡を掛けた青年がコンソールを操作すると、側にあったスクリーンに何らかの文書が投影された。文頭には「TOP SECRET」の押印がされているので、何らかの重要なデータなのだろう。
    『あの化物は、施設内にいた実験体の一つのようだ。そして、その突然変異でもある』
     青年の言葉に、彼と同じ大学に通う複数の友人が顔を見合わせた。そして、そのうちの女性の一人が手を上げ、
    『他にもアイツみたいなのはいるの?』
    『いや。俺達が見た、壊れた大きなポッドはアイツ専用のものだ。他の実験体たちはさっきの場所に集約されていたみたいだから、生命維持機能を切った今、残ってるのはアイツだけだろう』
     青年の言葉に、女性を含む探索者たちが顔を見合わせる。そんな彼らに向かって、青年がコンソールを指して口を開いた。
    『よし、あの化け物について分かったことをまとめて伝えよう。まず初めに、あの化け物についてだが――』

    「……ふぁ〜」
     緊迫した雰囲気をぶち壊すかのように、輪っか頭のオレンジ色の棒人間が大欠伸をした。

       *   *   *

     ダークグレーのデスクトップには、画面の半分ほどの大きさのウィンドウが一つ。ウィンドウにはパニックホラー映画が再生されており、その前に置かれたソファーには四人の棒人間が座っている。
     輪っか頭のオレンジの棒人間のほか、赤と緑と黄色が映画を鑑賞していた。

    「話も終盤だから広げた風呂敷を畳む必要があるし、緩急が必要なのも理解できるけど……説明が長いんだよなぁ」
     抱きかかえたクッションにアゴを乗せたオレンジの棒人間――オレンジが、つまらなさそうに画面を見つめながらボヤく。
     生まれながらにしてアニメーション作成の才能を持つオレンジは、今回の映画は度々入る説明パートの冗長さが全体のテンポを悪くさせていると感じていた。
    「僕なら道中にコンソールを一つ置いとくかな。伏線になるし、こんなに長々と――」
    「おい、オレンジ。今いいトコなんだから分析は後にしてくれ」
    「ん。ごめん」
     赤い棒人間の更に隣で映画を見ていた緑色の棒人間――グリーンのクレームに、口に出ていたのかとオレンジが慌てて口をつぐんだ。
     映画の方はというと『化け物を施設内に閉じ込め、迅速に施設から脱出する案』と『特殊な薬品を吹きかけて化け物を溶かす案』が青年から出され、仲間たちで多数決を取っていた。
     食い入るようにウィンドウを見つめていた赤い棒人間――レッドは、その結果に頭を抱えた。
    「えぇ?! なんでだよ、閉じ込める方法があるならソッチでいいじゃん! 早く出ろよ、そんな危ない所!」
     レッドの要望は当然聞き入れられない。彼らは化け物がいるであろう地下の実験室へ続く、長い長い階段をそろそろと下っていく。
    「最終決戦だな、上手くいけばいいが」
     真剣な表情で呟くグリーンの隣では、黄色の棒人間――イエローが涙目で大きなクッションをギュッと抱きしめている。
    「ふぇぇ……なんで先に進んじゃうの? 警察とか軍隊とかに通報しようよぉ……」
     映画の登場人物たちはイエローの提案など露知らず、薄暗い階段をそろそろと下り続けていたが……。突然階段を照らす蛍光灯が瞬いて、

    ――ガシャァァン!!!

     蛍光灯が一斉に甲高い音を立てて破裂した。
    「わぁあぁぁっ!!!」
     大きな音と急な暗転に、レッドが堪らず悲鳴を上げる。その大声に全員が飛び上がり、すぐさま緑色と橙色の拳が赤いまん丸頭に振り落とされたのであった。

       *   *   *

     背景がダークグレーから元のデフォルトのものに戻されたデスクトップにて。
    「信じらんない!! あのタイミングで、あんな悲鳴あげるなんて!」
     イエローは鼻を啜りながら、切り分けられたスイカに齧りついた。だが、恐怖というより不機嫌の方が勝っているようだ。
    「うぅっ……大きな音にビックリしただけなのに」
    「その、悪かったって」
    「ごめん。君の大きな声の方に驚いて、反射的に手が出ちゃったんだ」
     鼻を啜りながらスイカをかじるレッド。
     彼の大声にビックリしたグリーンとオレンジにゲンコツを見舞わられ、半泣きのイエローにクッションで顔面をしこたま叩かれてと散々な目にあってしまったのだ。

     あの後、映画は最後まで流されたものの、場が白けてしまったところに、終盤の流れはご都合主義の連続。オチは、戦闘の際に誤って自爆装置が起動、逃げ延びた登場人物たちの背後で廃墟が爆発する……というものであった。
     ちなみに。オレンジの総評は『説明パートが多いし長すぎる』であったと追記しておく。

     テーブル代わりである、マインクラフトの木材の上に五つ目のスイカを置いたブルーは、面々の様子に苦笑いを浮かべながら口を開いた。
    「こっちまでレッドの悲鳴が聞こえたよ。そんなに怖かったなら、途中で抜ければよかったのに」
    「ギャーギャー言いながら見るのが面白いんだよ! ほら、ジェットコースターもワーッてなるけど、スッゲー楽しいだろ?」
    「……気持ちは分からないでもないけどね」
     言い返してきたレッドの言動にブルーがそっと息をつく。スイカのおかげか、少しは調子が戻ってきたようだ。
     その一方で、イエローの方はスイカを食べ終わってもぷりぷりしている。
    「夜、眠れなくなったらどうしようって心配だったけど、ムカムカで全部吹っ飛んじゃった!」
     そんな彼に向かって、スイカを片手にキザっぽいポーズをしたグリーンが声をかけた。
    「イエロー、眠れなかったら俺の部屋に来いよ。俺様の美貌で、怨霊だろうが何だろうがメロメロにしてやるからさ」
    「さっすがグリーン! 今日だけは真に受けてあげる!」
    「おう、大船に乗ったつもりでいとけ! ……言い方に含みしかねぇのが気になるがな」
    「……」
     オレンジの友人たちの見た目は色が違うだけで、四人とも同じ体格と大きさをした棒人間である。グリーンのみ突出した美貌を有しているかというと疑問しか湧かなかったが、口にしたらとても面倒くさいことになるのは想像に難くない。厄介事を嫌うオレンジは黙ってスイカを頬張っていた。
     そんな友人たちと共に、手にしていたスイカを頬張っていたブルーであったが、何かを思いついたのか声を上げた。
    「そういえば、結局三本も見たんだっけ。なんで急にホラー映画鑑賞を? ハロウィンはまだまだ先なのに」

     彼らの住まいであるパソコンはアメリカにある。毎年ハロウィンの時期になると、各種動画配信サービスやゲーム配信サイトではホラー特集を組み、見るからに怖そうなタイトルが並ぶ。
     だが、今は夏。ハロウィンの時期に比べると日も長く、眩い太陽の季節というイメージが強い。じっとりとした仄暗い空気が漂うホラーとは相性が悪いようにブルーは感じたのだ。

     そんな彼の疑問にグリーンが答える。
    「ネットで見たんだけどさ、ニホンだとホラー映画の旬は夏らしいんだ。『オボン』ってのが日本版ハロウィンみたいなもんだから、ホラー映画やら怖い話が話題になるとかなんとか。――あった、これだ」
     スマホを向けられたのでブルーが画面を覗き込む。日本のウェブページで、オススメのホラー映画を紹介しているようだ。画面の上部には夜の竹林のイラストが掲載され、青い火の玉や白いキモノ姿の幽霊が書き添えられている。
    「本当だ! 国によって違うんだね、考えたこともなかったよ。じゃあ、発案者はグリーン?」
    「いや、僕だよ」
     ブルーに向かってオレンジが手を上げた。
    「グリーンにその話を聞いて、いい機会だと思ってみんなを誘ったんだ。ホラー映画ってあまり見ないし、アニメーションの演出の勉強にもなりそうだから」
    「いつもアクション映画なのにって、不思議に思ってたんだ。理由を聞いて納得したよ」
    「ブルーは何で断ったんだっけ。ホラー映画というか、オカルト物とか好きそうだから」
    「今日は農作業に専念したかったんだ、野菜のストックが減ってきてたから。……あ、そういえば」
     オレンジとの会話を打ち切り、ブルーは友人たちを見回した。
    「幽霊は怖い話に寄って来る、なんて話もあるみたい。本当に幽霊が来たら困るし、今日はこれくらいにしておいたら?」
    「そうだね、今から見始めると夕飯が遅くなるし」
    「オレンジ! 次は動物がいっぱい出てくる可愛い話か、ヒーローが悪人をカッコよくバッタバッタ倒す面白いのがいい!」
    「そうだね。“彼”に頼んで、幾つかリストに入れておいてもらうよ」
     その言葉にレッドが満面の笑みで何度も頷き、他の友人たちも賛成の意味を込めて拍手を送った。

    「それじゃあ、スイカを食べ終わったらソファーを片付けておいてね。テーブルの方は僕がやっておくから」
     しばらくの雑談の後、空になった皿を集めたブルーが友人たちに言い残してその場を後にした。
    「よし。ちゃっちゃとソファーを片付けて、キャッチボールでもするか」
    「あ! それならさ、木の剣をバット代わりにして、ボールをどれだけ遠くに飛ばせるか競争しない?」
    「おっ、いいな! さっそくやろうぜ!!」
    「待った!」
     我先にと駆け出そうとするレッドの手を、オレンジが慌てて掴む。
    「先に片付けてから! グリーンと君はソファーを片付けてきて。僕は木の剣をクラフトするから、イエローはスライムボールを……イエロー?」
    「…………」
     オレンジの問いかけに答えないイエロー。彼は身動ぎをせず、いや身動ぎすら出来ない様子であった。異常を察知したのだろう、ソファーを持ち上げようとしていたレッドとグリーンが訝しげにイエローに視線を投げかけている。
    「……ねぇ。このスイカ、誰の?」
     イエローの震える声に、他の三人はイエローの指す方に視線をやった。イエローの隣の木材――誰もいない場所に切り分けたスイカが置かれているのである。
     四人とも黙り込み、その場はシンと静まり返る。そんな普段とは違う空気を変えようとするかのように、グリーンが明るい表情で口を開いた。
    「えっと、ほら、ブルーのじゃねぇか? そこで食べるつもりが、うっかりそのままにしたとかさ」
    「いや、それはないよ。ブルー、配り終わった後に自分の分のスイカを食べてたから」
     オレンジに発言を否定されたグリーンは顔をしかめ、“何か”を察して欲しそうに視線をやるが……輪っか頭は思案中で気付かない。
    「そうなると、ブルーはわざわざスイカを余分に置いた事になる。一体どうして……?」
    「……あのさぁ」
     レッドが落ち着かない様子で三人に声をかけた。
    「ブルーのヤツ、さっき『ユーレイは怖い話に何とか』って言ってなかったか……?」
     その言葉に、全員が先程のやり取りを思い返す。

    『幽霊は怖い話に寄って来る、なんて話もあるみたい。本当に幽霊が来たら困るし、今日はこれくらいにしておいたら?』

     ブルーの言葉を思い出した四人は、同時に背筋を凍らせた。
     さっきまで散々ギャーギャー言いながら見ていたのはホラー映画だ。それを三本も見ていたのだから、招かれざる客が本当に訪れてしまったのではないか?
     それに加えて、ブルーは自然や神秘への興味関心が強い。それに彼自身つかみどころがない一面があり、まれに突拍子もない行動を起こしたりする。そんな彼なら『目に見えない“ナニカ”が視えていた』としても不思議ではないだろう。

     つまり、イエローのすぐ隣にいるのだ。
     招かれざる、この世ならざる者が……。


     皿を手にデスクトップをトコトコと歩いていたブルーであったが、複数の大きな足音が聞こえて後ろを振り返った。
    「〜〜ッ!!」
     そこには友人たちの姿があり、各々声にならない悲鳴を上げながら全速力でこちらに向かって駆けてくる。
    「みんな泣きそうな顔して! 一体全体何が――」
     ブルーが言い終わるよりも先に、グリーンが彼の体を掴んでクルリと後ろを向かせると、すぐさまその背面に身を隠した。ほぼ同時にほかの友人たちも追いつき、グリーンと同じくブルーの背面に滑り込む。
     その一連の動作はまるで、彼らがいた所にいる怪物から身を守るため、ブルーを盾代わりにしているかのようであった。
    「グリーン! どんな怨霊でもメロメロにさせる、そのビボーで何とかしてよ!!」
    「無茶言うな! おい、ブルー! 幽霊が視えてるなら俺達を呪っても面白くないって言ってやれ!」
    「怨霊に塩をぶつけて退治した映画があったような……? けど、マイクラに塩ってあったっけ?!」
    「オレなんか食ってもウマくねーよぉぉ!」
     イエローはグリーンの体を揺さぶり、グリーンはブルーの腕を小突き、オレンジは必死にインベントリを探り、レッドは地面に突っ伏したりと、各々目に涙を浮かべながらギャーギャーと喚き散らしている。
     そんな彼らに盾代わりにされているブルーはといえば……。
    「……」
     グリーンに小突かれ、足をレッドにしがみつかれながらも、慌てた様子もなく静かに友人たちを見つめていた。

     不意に後ろを振り返り、友人たちに向かってにんまりと笑いかける。
    「ゾッとして涼しくなったんじゃない? ホラー映画なんかよりよっぽどね」

     総じて呆気に取られて思わず口をつぐんだ四人。間を置いて、彼の笑顔と言葉の意味をようやく理解したイエローとグリーンとオレンジの三人は、脱力しながら床にへたり込んでしまった。
    「全然笑えないよぉ……」
    「……冗談キツいぜ」
    「確かに映画よりゾッとしたけどさぁ」
     そこでようやくレッドが顔を上げた。
    「…………つまり、嘘? オレたちをだましたのか、この嘘つき!!」
    「あはははは」
     レッドに足をポカポカと叩かれながら、ブルーはヘラヘラと笑っている。
    「嘘はついてないよ。一つ多くスイカを出して、それっぽいことを言っただけだから。『そこに幽霊がいる』なんて、僕は一度も言ってないでしょ?」
     そんな彼の言葉に三人の目が釣り上がる。
    「そういうのを屁理屈っていうんだよ!」
    「それっぽいこと言ってる時点で確信犯だろうが!」
    「やっぱりオレらをだまそうとしたんじゃねーか!」
     文句を言うまん丸頭の友人たちであるが、輪っか頭のオレンジだけは思案顔。
    「怖い映画を連続で見ていたから、思考がそっちに引き寄せられちゃったのか。……アニメの演出に使えそうだな。勉強になったよ、ありがとう」
    「ど、どういたしまして……?」
     予想外の感謝の言葉にブルーが笑顔に困惑を滲ませる。グリーンはため息をつきながらオレンジの肩を叩く。
    「……オレンジ、そこは怒るとこだぞ」
    「え?」
     親友の言葉に、周りの苦笑いに気付いたオレンジが照れくさそうに笑うと、連鎖的に小さな笑いが起きる。
     笑いが収まったのを見計らい、ブルーがポンと手を打った。
    「さて。怖がらせたお詫びに、今日の夕飯は張り切っちゃおうかな。出来上がったら呼ぶよ、気分転換に遊んできたら?」
     そんな提案に他の四人は顔を見合わせ、目を輝かせながら笑顔で両手を振り上げた。
    「恐怖心を吹っ飛ばしてくるぜ!」
    「ブルーの張り切りご飯楽しみ!」
    「殴られた分仕返ししてやるぞ!」
    「……レッド、まだ根に持ってる?」
     そんなことを言いながら、バタバタと騒がしくデスクトップの奥へ駆けて行く友人たちの背を見送るブルー。
    「……」
     姿が見えなくなったのを確認し、彼は友人たちとは逆方向へ足を進めた。

       *   *   *

     しばらく進むと、そこは四人が映画を見ていた場所。テーブル代わりの木材が回収されずそのまま放置され、その上には皿に乗ったスイカが一つポツンと残されている。

    「まだ食べてなかったのか。そろそろ起きてね」
     スイカの方に向かってブルーが声をかけた。

     しばらくして、木材の奥からひょっこりと顔を出したのは一匹のブタ。レッドが特に可愛がっているブタであり、その利口さで五人を助けてくれた大切な友人だ。
     ソファーからは死角になる位置で眠っていたブタ。美味しそうにスイカを頬張る姿に、ブルーはふんわり微笑みながらその背を撫でるのであった。
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    windsdance_yoru

    TRAININGアランさん家の棒人間たちとホラー映画の話。

    【注意】
    ・自己解釈、独自設定あり
    ・恋愛要素なし
    ・キャラが喋る
    ・目や表情に関する描写あり

    ・この作品はファンが個人的に作成したものであり、原作者様・その他の関係者様とは一切関係ありません
    ・内容は全てフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません
    日本で夏といえばホラーですよね 薄暗い室内にて。
     数名の少年少女たちは、光を放つ怪しげなコンソールを中心に集まっていた。
    『これを見てくれ』
     眼鏡を掛けた青年がコンソールを操作すると、側にあったスクリーンに何らかの文書が投影された。文頭には「TOP SECRET」の押印がされているので、何らかの重要なデータなのだろう。
    『あの化物は、施設内にいた実験体の一つのようだ。そして、その突然変異でもある』
     青年の言葉に、彼と同じ大学に通う複数の友人が顔を見合わせた。そして、そのうちの女性の一人が手を上げ、
    『他にもアイツみたいなのはいるの?』
    『いや。俺達が見た、壊れた大きなポッドはアイツ専用のものだ。他の実験体たちはさっきの場所に集約されていたみたいだから、生命維持機能を切った今、残ってるのはアイツだけだろう』
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    【注意】
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    ・恋愛要素なし
    ・キャラが喋る
    ・目や表情に関する描写あり

    ・この作品はファンが個人的に作成したものであり、原作者様・その他の関係者様とは一切関係ありません
    ・内容は全てフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません
    日本で夏といえばホラーですよね 薄暗い室内にて。
     数名の少年少女たちは、光を放つ怪しげなコンソールを中心に集まっていた。
    『これを見てくれ』
     眼鏡を掛けた青年がコンソールを操作すると、側にあったスクリーンに何らかの文書が投影された。文頭には「TOP SECRET」の押印がされているので、何らかの重要なデータなのだろう。
    『あの化物は、施設内にいた実験体の一つのようだ。そして、その突然変異でもある』
     青年の言葉に、彼と同じ大学に通う複数の友人が顔を見合わせた。そして、そのうちの女性の一人が手を上げ、
    『他にもアイツみたいなのはいるの?』
    『いや。俺達が見た、壊れた大きなポッドはアイツ専用のものだ。他の実験体たちはさっきの場所に集約されていたみたいだから、生命維持機能を切った今、残ってるのはアイツだけだろう』
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