樹 死後の世界について考えたことはあるか。いつかサスケとそんな話をした気がする。次の容器が見つかるまでの間、魂は暗闇の中を彷徨い何を感じることもなく消えていく。それは俺たちが味わった孤独とどちらが辛いだろうか。
──なんて話をしながら眠りについた、もう十年以上前のこと。結局サスケは何が言いたかったのか解らないまま時だけが過ぎた。今考えれば一人で死ぬかどうかはわからねえしすぐに次の容器が見つかるかもしれねえからと答えればよかった。あとは、平均寿命が七十歳だとして今三十歳の俺たちが死ぬまでにはあと四十年もあるんだから、そんな先の話をしたって仕方ねえだろ、と言い返せばよかった。だってそうだろ。今からそんな先のこと考えたって辛い結果にしかならねえんだから。
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