夏祭りに行ったあと、めちゃめちゃセックスするぶぜまつ夏祭りから本丸へ帰る途中、豊前はなにも言わなかった。僕の手を握って足早に足を薦めている。
豊前は、なにも言えなかったんだと思う。耳や項まで真っ赤になってはいるけれど、神社で見た豊前の顔は「おまえを抱きたい」って表情だった。
本丸までの道のりは短いのに、この瞬間はとても長い時間を歩いているみたいだ。祭りの音も相まって、違う世界に来たような錯覚に陥る。
本丸の灯りが見えたところで、僕は豊前に話しかけてみる。
「ねえ、豊前」
「……悪ぃ。いまあんまり余裕ねーんだわ。抱きつぶしたくなるから、あんま顔見ねーでほしい」
こっちを見ないで言うってことは、ほんとに余裕がないんだ。背中がぞくぞくしたし、身体は電流が走ったみたいに痺れた。まだ、抱かれてもいないのに。
部屋に入るなり腕を掴まれて口を塞がれた。そのまま詰められて壁と豊前に挟まれた。時折、唇を食んだり吸われたりしたものだから、僕の腰は既に抜けそうだった。
「ぶぜ、ん、ま、まってっ」
「むり、待てねえ」
「んん、ああっ」
「まついっ…」
首筋から、胸を舐められて腰が疼く。後ろが早く突いてくれとばかりに収縮を繰り返している。この体は、豊前の快楽しか知らない。僕の心も体も豊前のもの。それは豊前も同じだった。
角度を変えながら口づけをされ、右手では乳首をこりこりと弄られて僕はズルズルと床に座り込んだ。座り込んだのを合図に、豊前は帯をほどいた。臍に舌を入れられて高い声が出てしまう。恥ずかしさから手で覆うと、「松井の声が聞きてえ」と熱の籠った声で言われたら逆らいようがない。
気がつけば、僕は床に押し倒されていた。豊前の手が後ろに伸びてきて、1本、2本と中に入ってくる。ゆっくりとだけど、僕の快楽の場所を知っている指は的確にその場所を押しては擦っていった。僕の口からは荒い呼吸と、嬌声しか出てこない。
どうしよう、すごく、気持ちがいい。
「……っ!!ま、そこはダメだって…」
「ダメって言われると、したくなるって知ってるだろ?」
「やっ…、あ、あぁっ!……」
あろうことか、豊前は僕自身を口に含んでいた。泡立つ音がして恥ずかしさが増すばかりだ。同時に、後ろは指で解されている。同時に与えられる快楽に僕は抗えるはずもなく。豊前にぢゅううと強く吸われて、僕は達してしまった。
「ダメ…飲まないで…出してってば」
「松井のだから問題ない」
「そういうことじゃなく、って…」
「うん、わかってるって。けど、悪いな、今日は優しくできるかわかんねーんだ」
「……あ」
蕾に熱く猛ったものが宛がわれて、余裕のなさを改めて知らされる。僕のナカも豊前を欲しがっているのは明白だった。女の子じゃないし、たまには激しく抱かれて君のモノって証明してほしい。
「……んっ、いいよ…きて…豊前がほしい…いっぱい、突いて」
誘うように腰を揺らす。入り口はゆっくりと、その後は一気に奥まで押し込まれて僕は豊前の背中にしがみついた。
「すげえ…持ってかれそう…松井のナカ、きゅうきゅうしてて俺を離してくれねーのな」
「~~っっ!だって…うれしくてっ…」
「…松井、もっと奥までいきてえ」
「……え?…っっ!ひぁ!な、なに!」
豊前はゆっくりギリギリまで抜くと、奥の奥まで突いてきた。頭が、目の前がカチカチと明滅する。僕は男だから子宮はないのに、奥をこんこんと突かれる度にどうしようもない快楽の波に飲まれてしまう。
「ヤっ…だめっ!…ひ、あ、」
「松井、まつい…かわいい…」
「い、わないでっ…。んん、ふあっ…!ん…きもち、いいっ…」
「イケそうか?」
「ん…豊前も一緒にキテ。豊前の。いっぱい、ほしい…っ」
「っ、ほんと、お前はっっ!!」
「…ひ…ん、ああ!イっ……!」
豊前の匂い、空気、声、豊前を構成する全てが好き。脳が染められていくみたいにくらくらする快楽が好きで好きで堪らない。もっと、僕を君色に染めてほしいんだ。僕が君のモノだっていう印をたくさん刻み込んで。
「豊前……好き…好きだよ」