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    hydroxidestar

    @ReinesReines

    ツバサ(紅)です。好き勝手に書いてます。よしなに

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    hydroxidestar

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    ぶぜんくんとまついくんの初めてのお使い。作業進捗です。豊前5才、松井2才です。

    ##ぶぜまつ

    ぶぜんくんとまついくんの初めてのお使い「おつかい行く!」
    「だめって言ったらだめです」
    「いや~!おつかい行くのおおお」
    「にーに、どったの?」
    パパは困っていました。この前から豊前が「おつかいに行く」と言ってきかないのです。パパが料理をしている時にも「ぶぜんがおつかい行ったげようか?」と何度も聞いてきます。買い置きがあるから大丈夫だよと伝えても、引き下がりません。パパは頭を抱えました。豊前は一度やると決めたら最後までやり通さないと気が済まないタイプなのです。豊前は考えました。弟である松井を連れてきて、パパの気を誘う作戦でいくと決めたようです。
    「パパ!まちゅもおつかいにいきたいって!」
    「まちゅもいくの?」
    「いきたいだろ?」
    「まちゅもいく!」
    「こーら。まつを巻き込むんじゃありません」
    「だって、おつかい…」
    「お外はこわーい怪人がたくさんいるんですよ」
    「ぶぜんは5才でおとなだから、こわくねえしっ!」
    「変な人もいますからね!?」
    「そんなやつ、ぶぜんがやっつけてやるしっ」
    「まったく……ああいえばこう言うんですから」
    豊前がお使いに行きたいと言い出したのは、先週見たテレビ番組に影響されたからです。
    『はじめてのおつかい!ひとりでできるもん!』という番組があって、豊前は弟の松井と見ていました。その番組を見てから、豊前は「おつかいに行く」としきりに言うようになったのです。
    パパはしばらくすれば、豊前のおつかいに行きたい気持ちも落ち着くだろうと考えていました。しかし、豊前の行動はさらにエスカレートします。とうとう、パパのお財布を抱えて「おつかいにいく!」と言い出しました。テレビの場合はたくさんの人が見守っているからよいのですが、豊前はまだ五才。ひとりで買い物に行かせるのは難しい年齢です。それに、豊前がお使いに行くとなれば弟の松井もついて行くことが予想できました。五才と二才にお使いはムリとパパは考えていました。パパは幼稚園の先生に相談をしてみました。幼稚園の先生からは、お家からいちばん近いお店に行かせるのはどうでしょう? と提案が出されました。確かに、商店街のお店ならば道路や横断非道を渡る必要はありません。あらかじめ商店街の皆さんに協力をお願いすれば、豊前の願いをかなえてやれるかもしれないのです。パパやパパの友達が変装して後ろから見守れば、すぐに対応することもできると考えました。手間はかかりますし心配ですが、本人のやる気を奪うのも違う気がします。色々と学ぶいい機会だとパパは思いました。
    「へえ、意外だったなあ」
    近所で農園を営む桑名が言いました。
    「そうですか?」
    「うん。だって、いつもなら危ないって反対するでしょう?」
    「そりゃあ本音を言えば心配ですよ。豊前もまだまだ人見知りなところもありますから。でも、成長するいい機会だと思ったんです」
    「なるほどねえ。僕たちも可能な限りサポートはするから、いいお使いになるといいねえ」
    パパとお友達の桑名は、隣の部屋ですやすやと眠る豊前と松井を見て、微笑みました。


    今日は休日。パパはお昼ご飯の支度をしていました。メニューは甘辛ソースのから揚げ、おくらを星に見立てたカップサラダ、わかめとコーンのスープ。デザートはスイカです。スープを作っている最中にパパが叫びました。
    「ああ、困った困った!コーンを買って来るの忘れてしまいました!たいへんです!わかめもないですし、夕飯用のひき肉も買い忘れるなんて……これは誰かにお使いに行ってもらわないといけませんね……」
    お使い、と言う言葉に豊前が反応しました。パパの方を見てソワソワしています。
    「困りましたねえ……パパはお昼ご飯の準備がありますので、買い物に行けないんですよね。誰か行ってくれる子はいませんかねえ」
    「パパ! 豊前がお使いに行ってこようか」
    「おちゅかいいくの?」
    「お願いしてもいいですか?」
    「うん!行く!」
    「まちゅもまちゅも」
    「では、二人にお願いしますね。いつも行っているスーパーに行って、コーンの缶詰、わかめ、ひき肉を買ってきてください。豊前のリュックにメモも入れておきますね」
    「おう!おおぶねにのったつもりでまかせてくれよ!」
    「くれよ!」
    「忘れ物はないですね?二人して協力して買い物してくるんですよ」
    「おう!」
    「おちゅかい♪おちゅかい♪」
    「まつは豊前お兄ちゃんとお手てを繋いでくださいね」
    「あい!」
    「うん、いいお返事ですね」
    弟の松井は元気よく手を上げました。お兄ちゃんの豊前とお使いに行けることがとても嬉しいみたいです。
    「パパ、おれかっこいい?」
    「ええ、とてもかっこいいですよ」
    「まちゅは?」
    「まつも可愛いです」
    「「えへへ」」
    豊前と松井は顔を見合わせて、にこにこと笑いました。豊前はお気に入りの新幹線のリュックを、松井は大好きなクマさんのポーチを提げています。豊前は松井の手をぎゅっと握ると、「いってきます!」と言ってお家を出て行きました。
    二人が歩いていくのを見計らって、パパはすぐ電話を掛けました。相手は桑名です。
    「二人とも家を出ました!」
    「よおし!僕らに任せて!」
    「こちらも準備完了しております」
    「僕はめちゃくちゃお腹痛いんですけど」
    「なぜ我がこんなことを……」
    「皆さん、最高の変装です! これなら、豊前くんと松井くんにばれることはありません!」
    変装用の服は、パパの友達である篭手切が用意してくれました。仕上がりに満足したのか、ニコニコと笑っています。
    「まあまあ、これも可愛いこどもたちの成長だと思って付き合おうよ」
    「隠密みたいでワクワクします」

    桑名と、桑名の友人が配置につきました。大人は変装済みなので、豊前と松井にバレることはないでしょう。パパはお友達の桑名に頼んで、子どもたちを見守ってもらうことにしたのです。お家からお店までは近いため、そんなに問題はないと思っていたのですが……。

    「にーに!にゃんにゃん!」
    「まつ、手を離すなよ!」
    「にゃんにゃん!」
    「まつー!」

    二人の前に猫が現れたのです。松井の意識は完全に猫の方へ移っていました。お兄ちゃんである豊前の手を離して、猫に近づいてきます。
    「ああ、しまった」
    桑名は焦りましたが、様子を見てみることにしました。パパには電話で『猫を見つけちゃって…』と報告をしました。そう、松井は猫が好きなのです。
    「にゃんにゃん!」
    「うあん」
    「にゃんにゃん!」
    「まーつ」
    「にーに、にゃんにゃん」
    「にゃんにゃんな、かわいいよな。でも、おれたちにはおつかいに行くっていうじゅうようなミッションがあるんだぜ」
    「にゃんにゃん…」
    「うにゃあん」
    松井は猫に触りたいようでした。ちょっと不服そうです。猫は「にゃあん」と鳴いた後、塀に上ってどこかへ行ってしまいました。
    「にゃんにゃん……」
    「帰ったら、パパにどうぶつえんにつれて行ってもらうようにおねがいしようぜ」
    「うん!おねがいしゅる!」
    「にゃんにゃんにばいばいしてこうな」
    「にゃんにゃん、バッバーイ」
    松井の機嫌はよくなりました。豊前は松井の手を握ると、スーパーに向かって再び歩き始めました。スーパーまではもう少しです。



    「買うものは決まってるの?」
    ――ええ、事前に伝えてあります。今日は二人の好きな物を作ろうと考えているんです。
    「そっかあ。ああ、ちょっと待って!?」
    ――なにかありましたか!?
    「豊前くんが、おもちゃ屋の前で止まっちゃった……」
    ――そうだ、あの子は鉄道や飛行機が大好きでした……。いまはバイクにハマってるんですよね。
    あと少しで目的地のスーパーに着く、というところで最大の誘惑が豊前を待ち受けていました。そう、大好きなオモチャ屋さんがあるのです。ディスプレイには豊前の大好きな電車や飛行機のオモチャが並んでいます。豊前はきらきらした瞳でオモチャを見つめていました。
    「このばいく…すげえかっこいい。ホンダモデルだって…ちょうかっこいい…」
    「にーに、かうの?」
    「かいてえけど! かいてえけど! きょうは見るだけでがまんするぜ。おれはできるおとこだからな」
    「にーに、かっこいい!」
    「へへ、だろ?」
    オモチャ屋の店主に「またくるなー!」と挨拶をして、豊前は松井の手を引いてスーパーへの道を歩いて行きました。
    「まつ、もうちょっとでスーパーに着くからなー」
    「わーい、わーい♪」
    「がんばるぞー」
    「おー♪」
    二人が来たのは、いつもパパと来ているスーパーでした。ここのスーパーは小さいながらも品揃えがよいのです。豊前は頼まれた品物を手に取っていきます。今日買うものは、事前にパパから聞いていました。
    「あった、あった!コーンの缶詰と、乾燥わかめと……あとなんだっけ」
    「にーに、にんじんあった!」
    「かわない!もとにあったところにおいてきて! えーと、あとは…そうだ! ひきにく! きょうのよるはハンバーグだな」
    「にーに! にんじん!かう!」
    「かわないよ!」
    「かうの!」
    「か!わ!な!い!」
    「いや!かうの!」
    人参を買うか買わないで二人は喧嘩してしまいました。豊前は人参があまり得意ではないのです。松井が人参を顔に近づけてくるもだから、豊前は少し涙目になっていました。二人の跡を着いてきた五月雨が、仲裁に入ろうとしたその時でした。
    「こんにちは。豊前くん、松井くん」
    「こんにちは」
    「こーちは!」
    二人の前に現れたのは、お店のマスターでした。泣きわめく豊前と松井の頭を交互に撫でてくれました。
    「あら?お父さんは?」
    「ぱぱは、おうち!」
    松井が元気よく答えました。
    「パパはお家なの?二人で来たの?すごいねえ」
    「うん、おつかいなの。パパからじゅうようなミッションっていわれたんだぜ」
    「うん、おちゅかいなの…」
    「そっか、えらいねえ。こっちにおいで」
    マスターは二人を椅子に座らせました。そして商品を確認しながら袋に入れていきます。
    「人参はどうするのかな?」
    「にーに、にんじんかって」
    「わかったよ、かうよ。でも、まつがたべるんだぞ」
    「あい!」
    「松井くんは人参が好きなんだねえ。そうだ、豊前くん。パパからお金もらってる?」
    「もらった!このふくろに入ってる!」
    「じゃあ、マスターお金もらおうかな。お財布見せて」
    豊前はマスターに財布を渡しました。
    「うわあ、いっぱい入ってるねえ。じゃあ、このお金もらうね」
    「うん」
    「ママ、お会計してくれる?」
    「はいはい、ちょっと待っててね」
    店の奥からママさんがやってきました。マスターからお金を受け取って、お会計をしてくれています。お釣りをトレイに載せると、豊前のところまで持ってきてくれました。
    「はい、これおつりね。お兄ちゃんに持ってもらったほうがいいかな」
    「じゃあ、落とさないようにリュックに入れておくね。あとこれは今日買い物した品物ね。袋に入ってるから」
    「ありがとう!」
    「にんじん! にんじん!」
    「松井くんは人参持って行きたいの?」
    「うん!」
    マスターは袋から人参を出すと、松井に渡しました。松井は人参を持ってニコニコしています。
    「じゃあ、パパのところに帰ろうか?」
    「うん!」
    「帰り道はわかる?いつも来てる道だもんね。二人とも頑張ったね」
    「ありがとうございました」
    「豊前くん、松井くん、ばいばい」
    「ばいばい!」
    「ばっばーい」
    豊前は松井の手を握って、スーパーを出て行きました。
    「ふう。なんとかなったね」
    「喧嘩が始まったときは、冷や汗が出ましたよ」
    スーパーのマスターとママさんに扮していたのは、桑名と篭手切でした。スーパーを出たら、あとは家に帰るのがお仕事です。家路に着く二人の背中は、輝いて見えました。
    「……大丈夫か?」
    通りすがりのお兄さんに扮した稲葉が声を掛けます。二人が買い物できるかどうか、稲葉も心配をしていました。
    「だいじょーぶ!」
    「だいじょっぶ!」
    「そうか……気を付けて帰るんだぞ」
    稲葉はしゃがむと、手を上げました。二人は稲葉にハイタッチをしました。稲葉とハイタッチをしたので、二人はご機嫌です。
    「にーに、かえったらとうけんじゃーごっこしよ」
    「おう。きょうはまけないからな」
    「やったー」
    家まであと少し……と思ったその時でした。松井があるお店の前で足を止めたのです。
    「まつ?」
    「にーに、たいやきたべたいっ」
    「パパによりみちするなって、言われただろ」
    「いーやっ、たいやき!」
    「わかったよ。おにいちゃんとはんぶんこしような」
    「うん」
    「こちら村雲でーす。二人は買い食いしてまーす」
    ――まあ、買い食いもお使いのだいご味ですからね……。
    「二人とも選択が渋いよね。僕は好きだよ」
    ――二人共、おばあちゃんっ子なものですから。
    二人はたいやきを買うと、店の前にある椅子に座りました。
    「はい、はんぶんこな」
    「やったー。たいやき、たいやき。……あちゅい!」
    松井は勢いよくたいやきにかぶりつきましたが、出来立てで熱かったのでしょう。いったんお口から離しました。
    「ふーふーしてたべろよ」
    「ふー…ふー…」
    松井は小さなお口で、ふうふうとたいやきを冷ましています。
    「にーに、もうたべていい?」
    「ああ。もうあつくないとおもうぜ」
    「やったー。いったきます」
    松井はたいやきを口に運びました。美味しねえ、と言ってはもぐもぐしています。
    「たいやき、おしかったね」
    「おいしかったな。パパがないちゃうから、いそいでお家に帰ろうぜ」
    「うん。ぱぱは、さみしんぼだもんね」
    たいやきを食べ終えた二人は、また歩き出しました。桑名や篭手切、稲葉、五月雨、村雲が電柱や建物の影からそっと二人を見守っています。
    「まつ、あとすこしでおうちだからな。がんばろうぜ」
    「おう♪」
    パパが待つお家が見えてきました。あと少しで到着です。豊前は右手に買い物袋、左手は松井の手を握って頑張って歩いていました。よいしょ、よいしょ。重い袋をいっしょうけんめい持って歩いています。
    「――あ」
    桑名が声を上げたときです。袋が破れて、入っていた品物が道に落ちてしましました。コーンの缶詰がころころと転がっていきます。
    「にーに?」
    「ううう……おうちかえりたいいい……! わああああん」
    豊前がとうとう泣き出してしまいまいた。初めてのお使いで緊張もしたし、たくさん歩いて疲れたのもあるのでしょう。お兄ちゃんの豊前が泣いているのを見た松井もなんだか悲しくなってしまって、「にーに、ないちゃやだああ」とわんわんと泣き出してしまいました。
    豊前は必死に涙を拭いました。落ちてしまった品物を拾って、リュックに入れていきます。そうだ、パパがお家で待っているんだ。その気持ちが豊前を奮い立たせました。
    転がっていったコーンの缶詰をリュックに詰めて、豊前は松井の手を取って再び歩き始めました。
    お家が見えてきました。玄関の前にはパパが立っています。
    「パパ!」
    「ぱっぱ」
    歩くスピードがちょっとだけ速くなりました。二人の顔にも笑顔が戻ってきています。
    「おかえりなさい!二人で行けたんですね!すごい、すごい!」
    パパは二人をぎゅっと抱き締めました。
    「ありがとう。豊前も松井もよくがんばりましたね」
    「へへ」
    「初めてお使いをしてみてどうでしたか?」
    「おれ、めちゃくちゃがんばった!」
    「まちゅもがんばったの」
    「よおし、では二人が買ってきてくれた材料で最高のお昼ご飯にしましょう!」
    「おう!」
    「おー!」
    パパは二人の頭を何度も何度も撫でました。電柱の影から見ていた稲葉がそっと涙を流しています。
    「稲葉先輩が泣いてるなんて……!」
    「よほど感動したのでしょう。私も一句読みたくなりました」
    「稲さんて子ども好きだもんね~。二人と遊びたいって顔に書いてあるもん」
    「無事にミッション完了できてよかったねえ」
    こうして、豊前と松井の初めてのお使いは無事に終わることができました。家に入っていく二人の背中は、一回り大きくなったように見えました。

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    aiporonica

    DONEこれはまだ、俺が刀剣男士になれていなかった頃の話。

    本丸が出来て間もない頃、同じ平安刀のよしみで共に出陣を繰り返していた三日月宗近と鶴丸国永は島原の乱に出陣することになる。二人が向かった先はかつて山田右衛門作が暮らしていたという口之津村。その港口に潜んでいた歴史遡行軍と遭遇するが……
    酷薄のインフェるノ②「オロロン、オロロン、オロロン、バイ」
    「変わった歌だな」
     男は幼子を大切そうに抱えながらその歌を謡っていた。
     皺が寄った口元に、穏やかな表情を浮かべて。
    「この土地に伝わる子守歌です」
    「へぇ」
     物珍しそうに近寄れば、彼は眉尻を下げて何かを懐古しながら嬉しそうに微笑んだ。
    「私が謡うとすぐに寝付くものだから、子守歌を謡うのは私の役割だったんですよ」
    「なあ、俺にも教えてくれるかい?」
    「はい、もちろんです」

     ―――これはまだ、俺が刀剣男士になれていなかった頃の話。


         ◆

    「今回の任務もあなたたち二人にお願いします」
    「島原の乱か、……厳しい出陣になりそうだな」
    「なに、鶴丸と一緒ならば平気さ」
     本丸が出来て間もない頃、刀剣男士の数も少なく少数精鋭で歴史改変の阻止に赴かなければならない頃があった。二振りで出陣なんていうものはザラにある。中でも同じ平安刀であるよしみから、三日月宗近と鶴丸国永は中でもより難度が高いとされる地に出陣させられていた。顕現したばかりの刀剣男士はまだ感情が定まっておらず、出陣に支障を来すことが稀にある。特に、自分たちが辿ってきた歴史の地に出陣した時には自らの感情に飲み込まれてしまう者も少なくはなかった。
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    Lope

    DONE「松井江には好いている相手がいるらしい」と小耳に挟んだりいだあが、居ても立ってもいられなくなって、せめて松井くんのファーストキスだけは自分で奪おうと思い立つところから始まるぶぜまつです。甘々です。

    ↓下記のフォームから、項目を選択するだけでざっくりとした感想が送れます。
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    プリーズ・キス・ミー 愛機が仕舞ってある納屋で、内番着の豊前江が片恋相手を待っている。豊前はそわそわとしながら、外を通る足音が聞こえる度に外をちらりと見てしまう。
     松井江には、どうやら意中の者が居るらしい。他の刀剣男士の談笑で小耳に挟んだ情報に、豊前の心が掻き乱されている。自分を慕う松井の眼差しや言葉が、自分以外の誰かに向けられるのは我慢ならない。豊前は、そう思ってしまう自分の狭量さにも嫌気が差していた。
     今の気持ちのままでは、きっと松井の恋を応援できない。では、どうすれば心から松井のことを応援できるようになるだろうか。それをずっと考えていた豊前は、己の中でようやく答えを出した。
     ふと、豊前の耳が、一人分の足音を聞き取った。聞こえた方を向いた瞬間、豊前の胸が一瞬だけ張り詰めて、そして高鳴りはじめる。
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    hydroxidestar

    DONE戦闘の余韻抜けなくてキスしちゃう

    松井の腰が抜ける

    ぶ「キスだけでいかせてやんよ」

    事に及ぶ

    「指舐めて」と松井の口へ近づける。

    これで書けばよくない?と思い、書きました!!
    身も恋も溶かすのはきみヒトリ「やあ、松井江。出陣お疲れ様」
    「蜂須賀虎徹、ただいま。今日は君が昼当番なんだね」
    「ああ。すぐに食べるかい?」
    「そうしたいのだけど豊前が帰還途中から眠そうでね……。寝かせてきたらすぐ食べるよ」
    「了解した。きみたちの分は取り分けておくね」
    「ありがとう」

    上手く誤魔化せただろうか。
    豊前が眠いというのは、嘘だ。僕も豊前も戦闘の興奮がまだ体に燻っていて、興奮している。周りに悟られないよう平静を装っているが、それにも限界がある。なんとか部屋に辿り着くなり、豊前は噛み付くようなキスをしてきた。熱い、溶けそうだ。
    唇が合わさっただけなのに、全身が沸騰したように熱くなっている。お互いのジャケットは畳の上に放り投げた。後で畳まないと皺になるなあ、なんてことを考える余裕はこの時まで。豊前はキスを続けながら、僕の胸を弄る。つねったり摘まんだり。裾から入り込んだ長い手が伸びてきて、胸や腹をまさぐる。うそれだけで思考は停まりそうなのに、豊前はキスを止めない。何度も何度も舌を絡め取られて、豊前の唾液が僕のと混ざる。
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