『追憶ー杜々凪最永ー』「えぇか~?最永~。」
「まーだ!」
「まだなーん?もうえぇんちゃう?」
「もうちょっとやから!
な、お母ちゃん!」
「そうそう、もうちょっとよ~♪︎
はい、できた!」
無機質な病室の一部屋。
楽しげな声が部屋を満たしている。
母の声に最永はキラキラと目を輝かせた。
ベッドで座りながら、顔を手で覆っている父の方に身体を向ける。
「なぁ~、まだー??
もうお父ちゃん待ちきれんのやけど~?」
「えぇーよ!」
相手の反応をワクワクしながら待つ声に、父は覆っていた手を外す。
目の前には小さいながらにビシッと決めた
紺のスーツに、まだその身体には
大きすぎるランドセルを背負った息子の姿が飛び込んできた。
「どう??お父ちゃん!
めーっちゃカッコえぇやろ?」
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