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    utsm_syu3

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    メガ恋19にて配布した無配です。

    現パロ社会人リヴァハン(同棲中)
    リヴァイの誕生日話でした。
    お手に取ってくださった皆さまありがとうございました!
    リヴァイさんお誕生日おめでとうございます♪

    #リヴァハン
    riverhan.

    プレゼント どこへいってもクリスマスソングが鳴り響く今日この頃。ハンジは仕事帰りの電車に揺られながら、考えあぐねていた。
    (今年のリヴァイの誕生日プレゼント、どうしよう……)
     世間はクリスマス一色だが、ハンジにとって12月25日は大切な恋人、リヴァイの誕生日だった。
    (去年は反応微妙だったしなぁ…)
     去年のリヴァイの誕生日に、ハンジはインテリア用のガリレオ温度計をプレゼントした。
     物理学者ガリレオ・ガリレイが発見した、液体の比重が気温によって変化する原理を利用したそれは、カラフルなガラス球体が温度によって透明な液体の中を浮き沈みする面白い代物だった。
     一緒に観察しながらおおよその気温を知るのは楽しいだろうなとハンジは思ったのだが、リヴァイは「ガラス物は割ってしまいそうで怖い」と言って誕生日当日に披露したきり、緩衝材をしっかり入れたダンボールに仕舞い込んでしまった。
     今でもタンスの奥で大事に仕舞われている。
    (今年はちゃんとリヴァイが喜ぶものをあげたいな)
     ハンジとリヴァイの好みがだいぶ異なるということは、ここ数年付き合ってきて嫌というほど実感している。
     今年は失敗しないようにと、ハンジはサプライズはやめてリヴァイに何が欲しいのか聞くことにした。

    「ただいま」
    「お帰り」
     ハンジが帰宅すると、先に帰って来ていたリヴァイが夕飯を作って待っていた。
     駅から徒歩10分ほどの1LDKのアパートにハンジとリヴァイが一緒に暮らし始めてから、もう2年が経つ。
     「ただいま」「お帰り」が言い合えるのも、日常の一部になっていた。
     テーブルに向かい合って座り、リヴァイが作ってくれたカレーを頬張りながら、ハンジは尋ねた。
    「リヴァイ、誕生日プレゼントは何がいい?」
     カレーを食べようとかぱっと開けた口をそのままに、リヴァイはしばし固まった。
    「去年はあまりいいものをあげられなかったから、リヴァイの欲しいものをあげたいんだ」
     ようやく口を閉じたリヴァイは、じっとハンジを見つめた。
     何を言われるのだろうとハンジが身を硬くすると、「それなら……」とリヴァイはハンジにスマホを見せてきた。
    「……このレストランでお前と食事がしたい」
     スマホの画面には、煌びやかなレストランの様子が写っている。
    「ここで、俺の誕生日を祝ってほしい」
     ハンジはスマホを覗き込んだ。極上の夜景をお楽しみくださいという謳い文句から画面をスクロールしていき、場所、レストラン名、料金を確認して思わずのけぞってしまった。
    「ドレスコードがあるようなところじゃないか!こんな高級なとこ払えないよ!」
     ただでさえ高いというのに、クリスマス価格でさらに跳ね上がっている。特に今年は日曜日だ。
    「金は俺が出す」
    「え?でも」
    「というか、もう予約してある」
    「ええ‼」
    「お前とここで食事がしたい。一緒に来てくれるだけでいい」
    「……それがリヴァイの誕生日に欲しいものなの?」
    「そうだ」
    「……わかった。いいよ、一緒に行こう。一緒に美味しいもの食べよう」
    「ああ」
     リヴァイの嬉しそうな顔に、ハンジはとりあえず今はこれでいいのだと納得させた。

    (でも、これだけじゃ私は貰いっぱなしじゃないか)
     その夜、ハンジは布団に寝転がりながら考えていた。
    (食事くらい、わざわざ誕生日にお願いされなくても行くのに…)
     隣ではリヴァイがすやすやと眠っている。同棲したばかりの頃は眠りが浅く、ハンジが寝返りを打つたびに目が覚めていたリヴァイだが、今ではちょっとの物音では起きないくらい熟睡するようになっている。
     リヴァイが喜ぶのなら望み通りにしてあげたいが、これではリヴァイよりもハンジの取り分が多い。
    (やっぱり何かプレゼントしたいな)
     しかし、一体何が良いのか。高級レストランでのクリスマスディナーに負けないほどのプレゼントを、はたして用意できるのだろうか。
     リヴァイはブランドものの時計やらネクタイやらに興味はなさそうだった。掃除が趣味だが、掃除機などの家電にはこだわりがあるらしく、ハンジは口を出せない。箒や雑巾なら喜ばれそうな気もするが、それではつり合わない気もする。
    (うーん。どうしよう)
     ハンジは考えた。考えに考え抜いた結果、思わぬ方向に爆発した。
    (誕生日、クリスマス、高級レストランでディナー……もうこうなったらこれしかない)

     12月25日当日。予定通りリヴァイとハンジはレストランで食事を楽しんでいた。
     ハンジは普段パンツスタイルだが、フォーマルな服装のため今日はワンピースを着ている。
     美味しいコース料理とワインに、ハンジはいつも以上に饒舌になった。心なしか、リヴァイも口数が多くなっているように思う。
     美しい夜景を見ながら楽しく談笑する男女。もうここしかないというタイミングだった。
    「誕生日おめでとう、リヴァイ」
    「ああ」
     言うなら今しかないとハンジは思った。
    「誕生日プレゼントなんだけど、なかなかいい案が思いつかなくてね」
    「別に、お前と祝えればそれでいい」
    「というわけで、リヴァイには私をプレゼントするよ」
    「は?」
     ハンジの言葉にリヴァイは驚いて固まった。
    「私の一生をあげる」
    「……」
    「つまりこうだ」
     ハンジはリヴァイの手を取った。
    「結婚しよう、リヴァイ」
     キリッと決めるハンジはとても男前だった。
     リヴァイはずっと硬直したままだった。
     いつまでたってもリヴァイからの反応がないので、ハンジは慌て始める。
    「私が今あげられる最上級のプレゼントはこれだから。ああでも、そう思っているのは私だけなのかな。重いだろうか。でもさ……」
     意を決してハンジは続けた。
    「こんな、男が本気で女を口説き落とすシチュエーションでできることなんて、プロポーズしかないだろう?」
    「くそっ」
     それまでずっと固まっていたリヴァイが、突然悔しそうに声を出した。そして、おもむろに胸ポケットから小さな箱を取り出し、テーブルに置く。
    「開けてみろ」
    「え?」
     言われた通りハンジは箱を持ち上げ、蓋を開けてみる。
    (このサイズにこの雰囲気は……)
     蓋を開けると予想通り、小さなダイアモンドのついた指輪が入っていた。
    「婚約指輪だ」
     ふてくされたようにリヴァイが言う。
    「え?あ……なんで?」
    「さっきおまえが言ってたじゃねえか。こんなシチュエーションでやることなんて、プロポーズしかないって」
    「あ……そう、だね……」
    「俺よりカッコつけやがって」
     リヴァイはすねたようにがしがしと頭をかいた。
    「本当に私で良いの?」
    「おまえ、今自分からプロポーズしてきたじゃねえか」
    「いや、自分で言うのと人から言われるのは違うというか」
    「駄目だったら、そもそもクソ高い時期にこんなところに来ねえよ」
    「そっか。そうだね。それもそうだ」
    「おまえこそ良いのか、俺でも」
    「良いから、こんなプレゼント思いついたんじゃないか」
     そう言って、ハンジは涙を流した。
    「2年も同棲してて、一緒になってもきっといつもと変わらないだろうなと思ってたんだけど、やっぱり嬉しいね」
     泣きながらハンジは微笑む。
    「ありがとうリヴァイ。嬉しいよ」
    その言葉に、リヴァイはハッとした。
    「悪い。やり直させてくれ」
     ハンジから箱を受け取ると、リヴァイはもう一度指輪をハンジに見せた。
    「ハンジ、俺と結婚してくれ……してください」
     慣れないリヴァイの姿にハンジは思わず笑ってしまった。
    「うん、喜んで」
     ハンジが差し出してくれた左手の薬指に、リヴァイは指輪を通した。

    「おめでとうございます。お祝いのデザートになります」
     すかさず現れたウェイターが、盛り付けの凝ったデザートを運んでくる。
    「……サービスを頼んでおいた」
    「リヴァイって、なかなか用意周到なところがあるよね。指輪もぴったりだし」
    「おまえが寝ている間に指のサイズを測っておいた」
    「さすが……」
    「でも、おまえに先を越されちまった」
    「それは悪かったね。でも、おかげで一生忘れられない日になったよ」
    「俺も、最高の誕生日になった」
     見つめ合い、しばし二人は微笑む。
    「……実はこの後ホテルを取ってある」
     急に声のトーンを変えたリヴァイに、ハンジはドキリとした。
    「本当に用意周到だね」
     頬を赤く染めながら、ハンジはリヴァイの右手に指輪をはめた左手を重ねた。
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