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    K子06

    ネタを供養する所
    いまはノイ受けが多い

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    K子06

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    以前投下した
    私のコノチャはこう始まる!
    を小説にしました。ハイ→ノイ要素があります。

    君の笑顔に恋してる「…やっとくっつきましたね」
    チャンドラ中尉は満足そうに笑っていた。


    ーーーーーー


    チャンドラ中尉がアルバートに艦長室へ始めて拉致されて来たのはもう何ヶ月前だっただろうか。
    しかめっ面をしたチャンドラ中尉をアルバートはソファーに座らせ自分はその正面の席に座った。
    そしてコノエを自分の隣の席に呼び寄せる。
    それで何が始まるのかと思えば、アーノルド・ノイマン大尉にどうすれば自分に好意を持って貰えるかという相談、もとい恋愛相談だったのだ。チャンドラ中尉を拉致して来たのは彼がノイマン大尉と親友と言って過言ではないほど親しいからだろう。
    コノエは今まで色恋になんて興味がなく開発に明け暮れていたアルバートからまさか恋愛相談を受ける時が来るなんてと少し感動まで覚えてしまったが、チャンドラ中尉からしてみればあまり親しくない同僚に拉致されたうえ、親友をどうすれば落とせるかを相談されているのである。

    (お詫びをしなくては)

    この時コノエはアルバートの相談が終わったらチャンドラ中尉にお茶とお茶菓子を出そうと決めた。

    アルバートはノイマン大尉とのこれまでの顛末を語った。
    しかし、それを聞いたチャンドラ中尉から、とりあえず好感度マイナスから脱却してからにして下さいと言われてしまい、コノエも同感だったのでまず友人になる所から始めてみたらどうかな、とアドバイスを送った。
    アドバイスを受けたアルバートはチャンドラ中尉の好感度マイナスの言葉に茫然自失といった感じで、コノエとチャンドラ中尉への礼もそこそこに艦長室を去って行ってしまったのだ。

    「チャンドラ中尉。お詫びと言っては何だけどお茶でもどうかな?美味しいお茶菓子があるんだ」
    「申し訳ないと思うならもうこんな事がないように言っておいて欲しいですね。俺休憩に入る所だったんですよ」

    本当に迷惑だと思ったのでお茶とお茶菓子はいただきますね。チャンドラ中尉はぐったりした顔でそう続けた。
    コノエは心の底から申し訳ないと思ったのでその日は来客用の上等な紅茶と秘蔵のバームクーヘンをチャンドラ中尉に振舞った。
    その紅茶とバームクーヘンはチャンドラ中尉の舌に合ったのか、食べ終わる頃には彼の顔は少し綻び、機嫌は上向きになったようだった。そこに水を差すのも悪いなとは思ったがコノエはチャンドラ中尉にこう告げた。

    「…美味しいお茶とお茶菓子を用意しとくから、また宜しく頼むよ」
    「えぇ、嫌なんですけど…。というか次回なんてあるんです?」
    「ないと思うのかい?」

    そう言えばチャンドラ中尉は苦々しく笑って

    「あるでしょうねぇ…」

    と言った。


    ーーーーーー


    こうしてアルバートが迷惑をかけたお詫びとして始めたお茶会はアルバートからの相談が終わった後の恒例となっていた。十回を超えたあたりから回数は数えなくなっていたがチャンドラ中尉とはなりの回数お茶会をしただろう。そしてアルバートからチャンドラ中尉はもう本人から聞いていると思いますがノイマン大尉と恋人同士になれました、と報告を受けた日もいつもの様にお茶会は始まった。

    「今日のお茶菓子はなんです?」
    「今日は羊羹だよ。何回か前に出した時君も気に入っていただろう?」

    そう言って羊羹を出せばチャンドラ中尉はひととき、目を輝かせそして顔を綻ばせた。

    「それ美味しいですよねぇ。なんでしたっけ、確かリョクチャ?が良く合いました」
    「もちろん緑茶も淹れるよ。少し待っていてね」

    緑茶を入れ始めるとチャンドラ中尉からの視線を感じる。

    「どうしたんだい?」
    「いや、今更なんですが、毎回だいぶ上官の方にお茶を淹れさせてしまっていたなと思いまして。普通に考えれば俺が淹れるべきでしょ?」
    「アルバートの相談に付き合って貰ったお礼なんだ、気にする事ないよ」
    「そう言われるのなら、遠慮なく」
    そう言うと、チャンドラ中尉は嬉しそうに羊羹を食べ始めた。

    「これでこのお茶会も最後かな」
    「そうだったら良いんですけどねぇ」

    きっと喧嘩でもしてまたすぐ呼び出されますよ。チャンドラ中尉は楽しそうに笑いながら言った。


    ーーーーーー


    (…チャンドラ中尉が好みそうだな)

    そんなお茶菓子を見つけたコノエは次のお茶会用に購入しとこうかと思い、手に取ろうとした。しかし、アルバートの恋が実った今あのお茶会が次いつ開催されるのか全く分からない事に気がついた。短い時は三日置きに開催されていたのだが今それを予測するのは難しい。買っておいても傷んでしまうかもしれない。コノエはそれをとても残念に思ったのだ。

    (…ん?残念?)

    コノエはこの時チャンドラ中尉とのお茶会を自分が存外楽しみにしていた事に気がついたのだ。


    ーーーーーー


    果たしてお茶会の機会はすぐ訪れた。
    急にアルバートが艦長室を訪れたと思えば後ろから草臥れたチャンドラ中尉もついて来たのだ。
    それを見てコノエも一つため息をついた。

    (喧嘩をするのが早すぎやしないか?)

    アルバートから話を聞いてみれば、それはなんて事ない痴話喧嘩であって、
    事前にノイマン大尉から事情を聞いてたというチャンドラ中尉に言わせて見れば犬も食わないってやつ、だそうだ。

    アルバートにチャンドラ中尉と一緒に色々言ってやると、少し考え込み、そして納得したのか彼は礼を言うと艦長室から急いで去って行った。きっとノイマン大尉のところに向かったのだろう。

    「まさかこんなに早くまた相談を受けるとは…」
    「ノイマンも、喧嘩っ早いところありますからねぇ…」

    ノイマン大尉は一見すると落ち着いた青年だが、意外と喧嘩っ早いことをコノエもアルバートから相談を受けるうち知っていた。

    「今日はだいぶ草臥れているけれどどうしたんだい?」

    アルバートに連れてこられる彼はいつも疲れた顔をしていたが、今日は何時もに増して疲れているように見えた。

    「昨日の夜は、ノイマンから今の話を聞かされたんですよ」
    「それはお疲れ様、お茶飲んでいくかい?」
    「宜しいので?」
    「もちろんだよ。でもこんな事ならあの時、お茶菓子を買っておけば良かったな。今日はお茶菓子がないのだけれどそれでも良いかい?」
    「もちろんですよ!コノエ艦長とお喋りは楽しいので。お茶菓子付きでももちろん嬉しいですが、なんなら食事でも良いですね」
    ノイマンとハインライン大尉の事がなくても宜しければいつでも誘って下さい。
    チャンドラ中尉は続けてそう言った。

    「本当かい?それなら今度プラントに寄港した行きたいカフェがあるんだ。一緒に来てくれるかな?」
    「もちろんですよ、ぜひご一緒させてください」

    コノエ艦長の行きたいカフェなら間違いなく美味しいものが食べられますしねぇ。楽しみです。

    そう言う彼は満面の笑みであった。


    ーーーーーー


    「最近良くチャンドラ中尉と良く食事に行ってると聞きますが?」

    艦長室で仕事をしていれば、たまたま所用で部屋にいたアルバートが話しかけて来た。

    「ん?確かに行ってるね。それがどうかしたかい?」
    「アレクセイが特定の誰かと何回も食事なんて珍しいと思っただけです」
    「そうかな?君とだって何回も行ってるじゃないか」
    「それはそうですが…」

    アルバートはまだ何か言いたそうにしていたが結局口を噤んでしまった。

    チャンドラ君とはプラントのカフェへ行った後も何度か食事やお茶に行っている。
    誘えば嬉しそうについて来てくれるのでついつい彼を誘ってしまうのだ。
    アルバートのおかげでチャンドラ君とは何十回とお茶をした仲だ。彼はだいぶ気安く、リラックスした様子でコノエと会話をしてくれる。
    年齢と艦長という役職のなかでそういう若者は案外貴重だ。
    彼との会話はポンポン弾むし、コノエも楽しみにしている時間である。

    「次にオーブに寄港した時はチャンドラ君のオススメのお店に連れて行ってもらう事になっているんだ。楽しみだよねぇ」

    そう会話を続ければ

    「そうですか」

    とアルバートはやっぱり何か言いたそうな表情でそう言った。


    ーーーーーー


    ミレニアムがオーブに寄港し数日、コノエが楽しみにしていた日がやって来た。チャンドラ君オススメの店に行く日である。
    事前に彼からは庶民が行く一般的なカフェだからラフな格好で来て下さい。と言われていたので紺のスラックスに白いTシャツそれにベージュのバンドカラーのシャツを羽織ってミレニアムを出た。
    するとチャンドラ君は艦から少し離れた場所でもうコノエを待っていた。こちらに気づくと彼は大きく手を振って「コノエさん!」と呼びかけて来た。それに手を挙げて答え近づいていく。
    コノエにラフな格好でと言った彼もまたデニムのカーゴパンツにグレーのプルパーカーというラフな出立ちだった。

    「失念してたんですけど、ここからバスなんですが大丈夫です?」
    「問題ないよ。君と一緒なら楽しい時間になるだろうしね」
    「そう言っていただけると嬉しいですね」

    そう言ってチャンドラ君ははにかむ。

    バス停からバスに乗り込み、約20分。
    着いたのは海沿いにあるカフェだった。眺めが良いのでテラス席がオススメなんですとチャンドラ君は言い、店員にも頼んでテラス席に通してもらった。

    「甘いのが良ければこのパンケーキがオススメですが、コノエさんはどうします?」
    「ではそれにしようかな。チャンドラ君は?」
    「俺はしょっぱいもの気分なんでこっちにします」

    そう言ってメニュー表の中からエッグベネディクトを指差した。写真を見れば実に美味しそうで
    正直先ほどのパンケーキと迷う所だ。

    「コノエさん迷ってます?」
    「…顔に出てたかな?」
    「ばっちり出てましたねぇ、あ、一つずつ頼んでシェアします?」
    「いいのかい?」
    「もちろんですよ。俺は両方美味しいの知ってるんで。飲み物は食事の後で決めるので良いです?」
    「うん。そうしよう」

    コノエの返事を聞くとチャンドラ君は店員を呼び手早く注文を終えた。

    そしてテラスの前の景色眺めながら、本当に穏やかに微笑んだ。
    その穏やかな笑顔に、思わず頬に手が伸びる。
    自分自身の行動に驚きながらも、そっとその頬に触れる。
    そんなコノエの行動にチャンドラ君は少し驚いた様であったが、「コノエさん、どうしたんです?」と困った様に笑っていた。
    そんな彼を見てコノエの心臓は年甲斐も無く早鐘を打ったのだ。

    (…あぁ、これは)

    なぜ今まで気づかなかったのだろうか。コノエは自分の中のこの感情の名前に心当たりがあった。もしかしたら、あの時口を噤んだアルバートはこの事に気づいていたのかも知れない。

    「ごめんね、虫がいた様に見えたんだ」

    居なかったから大丈夫だよ。
    そう言ってチャンドラ君の頬から手を引くが名残惜しさを感じる。
    平静を装い、会話を続けながらこれまでの彼に対する自分を振り返ってみる。互いの呼び方だってプライベートの時は階級を取りたいと頼んだのは自分だったし、食事に自分から何回も誘うなんて確かにこれまでなかった事だった。

    「あ、コノエさん。来ましたよ!」

    テーブルに料理が運ばれてくるとチャンドラ君は
    さっそく料理を取り分けてくれた。
    それを笑顔で手渡されればやはりその笑顔に心臓は煩く音をたてる。

    (僕はチャンドラ君に恋してる)

    コノエは改めてそう感じた。
    そして彼を将来的には自分のモノにしたいと思っているのだ。
    自分の目的がわかれば後はどうやって達成するかである。彼から自分への好感度は悪くないだろうしその辺りから攻めようか。
    そんな事を思うが、今は目の前の想い人との食事を楽しむ方が大事だろう。

    チャンドラ君から渡された食事を一口食べれば彼のオススメだというパンケーキはとても美味しかった。素直にその事を伝えれば

    「でしょう?」

    と嬉しそうにチャンドラ君は笑った。




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