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    azyoshi740

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    azyoshi740

    DONEどこかの富豪に囚われてた胡蝶せなくんと用心棒寅永くんが出会う話🦋🐯戦う寅永くんが見たかったなんちゃってファンタジー
    カラチェク展示その2!
    こちょとらさん「こいつらが盗ったお宝っておまえ?」

    鉄の檻に掛けられた布の隙間からにゅっと顔を覗かせた青年に、ちらりと視線をやる。随分と華奢な出立ちで声も若い。しかし外で潰れた蛙のような悲鳴が無様に大合唱したのち現れたということは、それなりの手練れ。見覚えはないから、その現場限りの雇い契約かなにかで自身を囲い捕らえていた屋敷の主人が差し向けたのだろう。

    「あれ、もしかして言葉わかんない? それとも人のかたちをしてるだけで人間の言葉を使わない生き物?」

    ツン、とそっぽを向くと、青年は掛け布を取り払いぐるぐると回り込んでまたこちらを覗き込んでくる。

    「わ、綺麗! おまえ綺麗だな! 月光で髪がきらきらしてる!」

    そのまま青年はこちらの容姿を褒めそやす言葉をぽろぽろと漏らし「霊感が」だの「音が」だのと視線を外したり戻したりしながら騒ぎ立てていたが、その一切を無視する。やがて無反応という状態に気が回るようになったのか彼は再びこちらに視線を戻し、ねだるように首を傾けながら間延びした声でこちらを呼び始めた。
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