むかひの寝顔をみていろいろ考えるゆうしのはなしろうそくがふっと消えたみたいに、部屋が突然しんとしたので「ああ、岳人寝たんやな」と忍足は思った。向日はいつも忍足より先にベッドでくつろぎ始めて、いよいよ眠くなってくると今日一日あったおもしろかったことを天井に向かって投げかける。向日のおおきくてまんまるでつやつやの瞳は、すごく暑くなる日の朝露のように、いつも太陽の光を集めてはきらきらと楽しげに瞬いていて、忍足にとっては結構なんでもないことでも、なぜか向日の瞳フィルターを通して見ると、世界の色の彩度がぐっと上がって、なんだかとってもすばらしい日だったような気がしてくるから、忍足はこの『岳人くん寝る前ラジオ』のヘビーリスナーだった。