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    アンリ

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    アンリ

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    昼スペ作業のおかげでここまで出来ました!

    人間曦×人魚澄④その数日後。姑蘇に帰ってから藍曦臣は改めて魚の治療法を調べてみた。
    だが、やはり魚も基本は自然治癒で大丈夫らしい。ならばなぜ江澄の傷はちっとも治らないのだろうか。


    その疑問は、彼が姑蘇に来た日に判明した。


    藍曦臣が御剣をして、碧霊湖の上を旋回しているとどこからかキュルルルゥゥと声が聞こえてくる。
    この声は江澄だ。彼はもう着いたのかと思いながらゆっくりと湖畔を目指して御剣する。
    藍曦臣が剣から降りると、江澄が水面から顔を出した。
    「それが御剣の術というものか…。面白いな…」
    「お久しぶりです。江澄、傷の具合はどうですか?」
    朔月を鞘に収めると江澄は名残惜しそうにこちらに顔を向ける。
    ほら、と言いながら見せてくれた鰭は破れたり欠けたりしてボロボロになっていた。
    やはり大分無理をしたのだろうと察せられる。これでは泳ぐことも難しいだろう。
    自分が言い出したから…と考えていると顔に水が飛ばされる。
    「大方自分のせいだと言ってるんだろう?この鰭は元々剥がさなければならなかったんだ。ここまで泳いでこなくてもな。鰭は再生するのに一度完全に剥がなくてはならないんだ。だから、剥ぐ前に泳ぎ収めができて俺は良かったとさえ思っている」
    「……」
    江澄の考えは尊重したい。だが、ボロボロでも美しいと分かる鰭が無くなるのは惜しい。
    「む…。俺の新しい鰭は楽しみじゃないと言うのか?」
    「えっ!そんなことないです!!楽しみです!」
    「ならいい。で、肝心の治療法とかはわかったのか?」
    「その事なんですが、江澄の上半身は人間と同じ治療法でも傷が治ってきています。下半身の傷はより貴方に近い魚の治療法を試した方がいいだろうと思い調べてみたところやはり自然治癒ということでした。しかし、ほぼ効果がないことから他に原因があるのだと思います」
    そうか。と気落ちした様子だった江澄が耳元の鰭をピクッと動かし顔をあげる。
    「江澄?」
    「ちょっと待っててくれ」
    そう言って湖に潜ってしまう。どうしたのだろうかと思っていると江澄が水中にいるが故に若干聞き取りずらいが、何か声を発したようだ。
    そして、しばらくすると藍曦臣の耳に何かが水の中を高速で動き、こちらに向かう音が聞こえる。警戒して朔月を構える藍曦臣に顔を出した江澄が大丈夫だと告げる。
    どんどん大きくなってくる音はやがてザパァ!!と激しい水飛沫をあげて中から何か江澄に飛び込んだ。
    「じゃんちょ…」
    「江澄!!!無事でよかったー!!!!」
    水が落ち着き見えてきたのは光を吸い込むような漆黒の鱗を持つ人魚の青年に抱きつかれた江澄だった。
    そして、顔をあげた藍曦臣の目に写ったのは弟の藍忘機がこちらに向かって御剣して来る姿だ。
    「江澄、とそこの君、人が来るから早く隠れた方が…」
    「え?あっ藍湛だ!!おーい!こっちこっち!!」
    「忘機を知ってるのかい?」
    「えぇ。俺の恩人ですよ!ところで貴方は藍湛のお兄さんで合ってますか?」
    「そうだけれど君は?」
    「俺は魏嬰、字は無羨!江澄の義兄です!」
    同時に藍忘機が到着し、剣から降りる。そして、手本のように美しい拱手をした。
    「兄上。彼は私が保護しました」
    「そうだったのだね。彼はここで発見してくれたのかい?」
    「はい」
    弟と話しながら江澄の方を見ると彼は魏無羨と戯れていた。
    「江澄、にしてもビックリしたぞ?今までどこにいたんだよ!」
    「そういうお前こそどこほっつき泳いでたんだ。俺はずっと蓮花湖にいたぞ?」
    「はぁ!?じゃあなんでこんなとこいんだよ!!てか大丈夫だったのか!?蓮花湖にはまだアイツがいるんだぞ!?」
    「はぁ?アイツってなんだよ。てか俺の質問にも答えろ」
    「俺はあの後ここまで流されたんだよ。今は藍湛のおかげで怪我は治ったんだけどさ。お前は怪我は大丈夫か?」
    「俺は、下半身の傷が一向に治らないから療養に来たんだ。藍曦臣が治療法を試しながらするには近くにいた方がいいと言うからな。というか姉上は?父上と母上も一緒じゃないのか?」
    「…江澄、もしかして覚えてないのか?あと、傷を見せてみろ」
    ザパリと水から出た尾鰭を手に取ってじっと見つめる魏無羨の顔がみるみる険しくなってくる。
    もしかしたら同じ人魚である彼にしか分からない何かがあるのかもしれない。そっと見守る藍曦臣をよそに彼が江澄に告げた言葉は衝撃を与えた。
    「お前、呪われてるぞ」


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    sgm

    DONEアニメ9話と10話の心の目で読んだ行間。
    現曦澄による当時の思い出話。
    諸々はアニメに合わせて。ややバレあり。
    [蓮の花咲く]にいれよ〜て思って結局入らなかったやつ
     藍曦臣と睦みあいながらも交わす言葉は、睦言ばかりではなかった。
     夕餉の後、蓮花塢ならば江澄の私室か、真冬以外は四阿で。雲深不知処ならば寒室で。酒と茶を飲みながら語り合う。対面で語り合うときもあれば、すっぽりと藍曦臣に後ろから抱きこまれている時もあるし、藍曦臣の膝を枕にして横たわりながらの時もあった。
     一見恋人として睦みあっているかのようでも、気が付けば仕事の話の延長線上にあるような、最近巷で噂になっている怪異について、天気による農作物の状況や、商人たちの動きなど領内の運営についての話をしていることも多い。
     六芸として嗜んではいるが、江澄は藍曦臣ほど詩や楽に卓越しているわけでもなく、また興味はないため、そちらの方面で会話をしようとしても、あまり続かないのだ。そちらの方面の場合はもっぱら聞き役に徹していた。ただ聞いているだけではなく、ちょうど良い塩梅で藍曦臣が意見を求めてきたり、同意を促してくるから、聞いていて飽きることはなかった。書を読まずとも知識が増えていくことはなかなか良いもので、生徒として藍曦臣の座学を受けているような気分になれた。姑蘇藍氏の座学は今でも藍啓仁が取り仕切って 5582

    pk_3630

    MAIKING平安時代AUの曦×澄♀ ②
    今回は帝(主上)曦臣が女官の中から江澄♀を探し出します。
    ちょこちょこ続きを書いていこうと思っているのでお付き合いいただけると嬉しいです。
    平安時代の衣装や行事等そんなに知識なく書いているのでそのあたりはスルーしてください。
    平安時代AU 第2話「大変ですっ!主上がこちらに向かっていらっしゃいます」

    女官達が集まり、次の宮中行事の衣装を準備していた時だ。まだ年若い女官がばたばたと慌てて入ってきた。常なら大きな足音をさせてはしたないと叱るだろう古株の女官達も、主上のお出ましとあっては目を白黒させている。
    すぐに衣装を片付けるように指示が出たが、片づけ終わる間もなく主上が入室した。
    「忙しいところに急に来てしまって悪かったね。」
    「主上、とんでもないことでございます。御見苦しいところをお見せしてしまいました、お許しください。」
    女官達がひれ伏していると、皆顔をあげるようにと言われた。
    主上を間近で見ることなどそうないことであったため、皆が好奇心を抑えられずにそろそろと顔を上げる。後方に控えていた江澄も前の女官達にならって顔をあげると、驚いたことに主上がこちらをじっと見ていた。
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