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    アンリ

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    アンリ

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    交換用金丹のサンプルです。
    はじめてなので拙い部分もあると思いますがご了承ください。

    泥中の呻吟夜狩へ発った江澄が帰って来ない。自分達ではもう探す心当たりがないと江氏の門弟達が藍氏に助けを求めてきたのは江澄が蓮花塢を出発してから一週間経った頃だった。代表で来た二師兄を雅室へ招き事情を聞いた、藍曦臣は自分達でも捜索してみると約束し、彼らを蓮花塢に帰した。
    その後改めて、弟夫夫の元へ行き捜索についての相談をする。暫く考えていた魏無羨は藍忘機と顔を見合せ話し出す。
    「少し前から雲夢で行方不明者が続出しているって噂を聞いたことがあります。江澄に聞いた時は状況を調べに行くって言ってたからもしかしたら巻き込まれたのかもしれません。」
    その噂は藍曦臣も以前耳にしたことがある。
    その件で江澄が、蔵書閣に用があると雲深不知処に来ていたが顔色は悪く、対応に追われていることが明白だった。
    思い返している藍曦臣に魏無羨が訝しげに聞いてくる。
    「でも沢蕪君はなんでそんな心配そうにしてるんです?確かに姑蘇藍氏は依頼を断らないし、沢無君は優しいから行方不明になった江澄の心配をするのも分かるけど、今の貴方の心配の仕方はいつもと違う。」
    そこで一度言葉を切り、ニッとイタズラな笑みを浮かべる。
    「もしかして、アイツのことが好きなんですか?……なんて、冗談ですよ!」
    「魏嬰…。」
    思い付きを言う魏無羨を藍忘機が宥める。藍忘機に悪い悪いと謝りながら改めて藍曦臣にも謝罪しようとした。
    「ごめんなさい沢蕪君、てっきりそう見えちゃって…。まるで好きな人を心配するみた…え?」
    藍曦臣の顔が真っ赤なのに魏無羨と藍忘機は思わず固まる。
    二人に見つめられ、恥ずかしさが頂点に達した藍曦臣は顔を隠した。
    「え、……まさか……ほんとに?」
    「あ、兄上…?」
    恐る恐る尋ねる二人に曦は恥ずかしそうに顔を伏せる。
    魏無羨が叫びそうな気配を察知し藍忘機が静室に防音の結界を張った瞬間、部屋に魏無羨の大声が響き渡った。
    暫く経った頃、空気を戻そうとしゴホン!と魏無羨が咳払いをする。
    「ま、まぁ今はその話は置いといて……。沢蕪君、俺と藍湛で江澄の足取りを追ってみます手掛かりを掴み次第戻ってきますね!」
    先程までの若干気まずかった空気を戻し、魏無羨が出した提案に藍曦臣も承諾する。彼等なら実力は十分であるし問題は何も無い。
    「兄上、行ってまいります。」
    藍忘機は藍曦臣に挨拶をし、藍曦臣も頷く。彼の道呂は一足先に準備をするため既に静室へ戻った。
    「忘機、気をつけていくんだよ。」
    兄の返事にコクリと頷き、それからおずおずと口を開く。
    「兄上。…………思いが成就するといいですね。」
    藍曦臣は目を見開き、そのまま細める。
    「ありがとう、忘機。」


    それから一時辰後、魏無羨と藍忘機は雲深不知処を出発した。

    ***


    各地で聞き込み調査をした結果、江澄が最後で目撃された街に辿り着いた。
    江澄が戻って来ないまま、雲夢江氏以外の修士が来たことによって住民に不安そうな空気が漂う。魏無羨は人好きのする笑顔を浮かべ聞き込みを開始した。
    そして、江澄が北の山へ向かったのを見たということを知り、魏無羨と藍忘機は例の山へと向かった。夜の帳が降りた山は人の気配も、邪崇の気配もせず、ただただ静かだった。
    「なあ藍湛ここで江澄の手がかりは途切れちまったけど問霊は出来るか?」
    「問題ない。」
    静かな山に琴の音色が響く。いつ聞いてもいい音だと魏無羨が思っていると問霊は成功し、霊が応えた。
    藍忘機はその霊に質問をしていくが、表情が僅かに険しくなったのを魏無羨は見逃さなかった。
    「藍湛、どうした?」
    「魏嬰…この霊は…。」
    言い淀む藍忘機に嫌な予感がヒシヒシと募る。もしかして、江澄だったのかと尋ねると首を振る。
    考えうる最悪では無いことにひとまず安堵の息をつき、じゃあ誰だったんだと聞き直す魏無羨に告げられた名は己もよく知る江氏の師兄の名だった。その男は数少ない射日の征戦の生き残りにして江澄の腹心だった。勿論、魏無羨も面識があり、それどころか幼少期共に悪戯をした仲でもあったのだ。
    悲しげに目を伏せる魏無羨に藍忘機は心配そうに見つめる。だが、この男が死に、問霊に応えるということは伝えたいことがあるはずと思い直す。
    「大丈夫だ。続けてくれ。」
    そう言う魏無羨の意図を汲み取り藍忘機は江澄について尋ねていく。
    ポーン、ポロロンと何度も弦が鳴る。その音はとても焦っているように聞こえた。藍忘機を通して師兄は何があったかを魏無羨に伝えてくれた。

    事が起きたのは観音廟での事件の後始末が落ち着いてき、日常が戻り始めた頃。雲夢の各地から行方不明者が出たことが報告され、捜索の嘆願書が大量に届けられた。江澄はこんなにも同時期に行方不明者が出たことに不信感を抱く。あきらに異常事態であるこれははたして邪崇の仕業か、それとも人為的に起こされたものか。現状ではどちらとも判断が付けられないため、数人の門弟を連れ夜狩へ向かうことにした。宗主である江澄が行くのは、雲夢江氏がこの事態を重く見ている事を示すためと、次は自分や身内が行方不明になるかもしれないと怯える民を安心させるためであった。
    一番新しい陳情を出した町へ向かう。そこでは十七歳の青年が行方不明になった。情報収集をした結果、その青年はここから北にある山へ行くと言って町を出てから帰ってこないらしい。その山は子どもでも一日で行って帰ってこれるほど小さな山で、一日に何人もその山へ薬草の採取などに行くため、顔を合わすことも多いという。やはり今回の事態は邪崇もしくは人間によるものだろう。江澄は門弟を連れ、件の山へ向かった。
    数日の間調査を行ったり張り込みをしたがわかったことは少なかった。地面に怨念が染み付いていた場所が何ヶ所かあったのだ。しかし、その他に痕跡は残っておらず行き詰まってしまった。現在ももうじきやってくる夜に備えて各方面に門弟達を待機させている。江澄もまた、山の中腹にて待機していた。そこは昼間なら柔らかい陽の光が差し込むだろうと予想できるくらい開けていて、もし信号弾を上げられてもすぐに気づくことが出来るだろう。夜の帳が降りた山はなんの変哲もなく、邪崇の気配もない。耳が痛いほどの静寂に辺りは包まれたこの緑の中で、月に見守られ今夜も生き物は眠りにつくのだろう。
    そんなことをふと考えると、江澄を中心に何らかの結界が張られた。 先程まで見えていた夜空は遮断され、この辺り一体が外界と引き離されたようだった。すぐさま辺りを警戒すると、前方に気配を感じる。人に比べ、目がいい江澄がじっと見つめること数秒、襤褸布を纏った人物が姿を見せた。
    体格からして恐らく男だろうとアタリをつける。敵意は感じられないが、状況的にこの結界と関係がないはずも無い。相手からもこちらは見えているはず。
    「何者だ。」
    江澄が鋭い声で尋ねる。するとその者は恭しく拱手をしてくる。けして綺麗とは言えないその拱手は、何かあると思わせるには十分だった。
    「雲夢江氏宗主、江晩吟殿。私はしがない旅の修士でございます。今晩は貴方にお願いがあって来た次第です。」
    ただ願いがあるなら普通に会いにこればいい。このような回りくどい手段をもって接触を図ろうとする輩にはろくな者がないことは長年の経験から分かりきっている。
    警戒を強めた江澄は短く返答する。
    「願いがあると言うが、人に頼み事をするならまずその顔を見せろ。誠意を示せ。話はそれからだ。」
    「これはこれは失礼致しました。」
    そんなこと思ってもいない様子を隠しもしなかったが、案外素直に顔を見せた。
    やはり男のようだ。見覚えはないが、どこの仙門にも結びつくものはなさそうなのでひとまず旅の修士というのは本当らしい。もう若くはない、金丹を持たないなら六十あたりの外見年齢の男だ。背もそこまで高くなく、簡単にねじ伏せられそうだ。だが、その顔に浮かぶ下卑た笑みが江澄の嫌な予感を刺激する。
    無意識に紫電を摩りながら顎で続きを促す。
    「で?」
    「おお、聞いていただけるのですね…!!私の願いと言いますのは、とある実験に協力をして頂きたいのです。」
    そこで一度言葉を切った男は更に口の端を吊り上げて笑う。
    「修士を傀儡とする実験に…!!」
    もとから怪しかったが、この言葉で確定した。邪術の修行者だ。それも、ヒトを巻き込むことをなんとも思わない、己の目的が達成すればなんだっていいと考える類の。その態度に反吐が出る。
    そもそも、男がいう人を傀儡にする術など禁術しかない。江澄がそういったものを昔から厳しく取り締まっていた事は世に知れている上に自ら率先して行ってきた。そんな江澄にはこの発言を見逃すことの出来ないものだった。
    元々願いを叶える気などさらさらなかったがこの男を捉え、詳しく聞き出す必要が出てきた。紫電を手にとり、霊力を回す。バチッバチリッと夜闇に紫の雷光が輝き出す。
    「言いたいことはそれだけか?ならば俺と共に蓮花塢へ来てもらおうか…!」
    バチバチと紫電が放電する光に照らされ鬼気迫る表情は、とても恐ろしく見える。だが男は臆することなく、挙句の果てに笑い声をあげた。おかしくてたまらないと言うように。
    「何が可笑しい!」
    問いただす江澄へその笑みを向ける。おぞましい笑みだった。思わずゾッとしたことを隠すように眦が吊り上がる。
    「そんなことを言ってもいいのですか?江晩吟。これを見ても同じことが言えますか?」
    そう言って結界を解いた男の背後には夜狩へ連れてきた門弟達がいた。だが、皆一様に気を失い、男の仲間によって首に刃物を添えられていた。
    「貴様…!」
    己が護るべき弟子に手を出され、怒りを募らせ唸る江澄に男はせせら笑う。
    「彼らがどうなってもいいなら攻撃するといいさ。けれど、私たちのうち誰かが死ねば蓮花塢にいる術者が邪崇を大量に放つがね。」
    男の言葉はハッタリかもしれないが、真実とも限らない。蓮花塢のことを考えると下手なことをする訳にもいかない。蓮花塢には多くの師兄を残してきてはいるが、こんな夜間に邪崇の襲撃を受ければ住民達にも多大な犠牲が出る。温氏によって蓮花塢が制圧された時と同じように修士の都合に民を巻き込む訳にはいかない。ここにいる門弟達に加え蓮花塢に王手をかけられた時点で江澄の敗北は決まっていた。
    「何が望みだ。」
    悔しさに身を震わせながら睨みつける江澄に男は心底愉しそうに嗤う。ひとしきり笑った後、男は地を指さす。
    「何、簡単なことだよ。紫電と三毒を地面に置いてもらおうか。」
    言う通りに三毒と紫電を地面に置く。その瞬間、足元にとてつもない怨念を放つ黒い泥沼のようなものが出現し、紫電と三毒ごと江澄をドプリと飲み込んだ。
    「なっ!?」
    その言葉を最後に江澄は地上から姿を消した。沼も姿を消すが、僅かな時間しか泥沼は出現していなかったのにも関わらず、あたりの土は腐り植物は枯れ果てていた。まるで、泥沼に生命を吸い尽くされたかのように。
    異様な光景の中、男は天を仰ぎ高笑いをあげる。
    「フフ、フハ、ハハ、フハハハハハ!!!!やった!!やったぞ!!遂に江晩吟を手に入れた!!ここまでこればあとは簡単だ!!だが、その為には暫く潜伏せねば。……あぁ、コイツらを生きて帰す訳にはいかないな。まぁ、肉体くらいなら良い養分になるか……殺せ。」
    冷たい命令と共に門弟達の首へと剣は振り落とされた。ゴトリ、と地に落ちた首のひとつを踏み潰す。
    「それにしても面白いくらい上手く事が運んだな。手当り次第民を殺せばやはり陳情が行くのか…。だがこれで念願の研究が遂に完成する…!私はあの夷陵老祖を越えてみせるのだ!」
    門弟達の死体も、同じように沼が呑み込むのを見届けた男たちはその場を後にした。後に残ったものには先程までここに命があったと感じさせるモノはなく、空に浮かぶ月だけが変わらずに在った。



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    takami180

    PROGRESSたぶん長編になる曦澄3
    兄上がおとなしくなりました
     翌朝、日の出からまもなく、江澄は蓮花湖のほとりにいた。
     桟橋には蓮の花托を山積みにした舟が付けている。
    「では、三つばかりいただいていくぞ」
    「それだけでよろしいのですか。てっきり十や二十はお持ちになるかと」
     舟の老爺が笑って花托を三つ差し出す。蓮の実がぎっしりとつまっている。
     江澄は礼を言って、そのまま湖畔を歩いた。
     湖には蓮花が咲き誇り、清新な光に朝露を輝かせる。
     しばらく行った先には涼亭があった。江家離堂の裏に位置する。
    「おはようございます」
     涼亭には藍曦臣がいた。見慣れた校服ではなく、江家で用意した薄青の深衣をまとっている。似合っていいわけではないが、違和感は拭えない。
     江澄は拱手して、椅子についた。
    「さすが早いな、藍家の者は」
    「ええ、いつもの時間には目が覚めました。それは蓮の花托でしょうか」
    「そうだ」
     江澄は無造作に花托を卓子の上に置き、そのひとつを手に取って、藍曦臣へと差し出した。
    「採ったばかりだ」
    「私に?」
    「これなら食べられるだろう」
     給仕した師弟の話では、昨晩、藍曦臣は粥を一杯しか食さず、いくつか用意した菜には一切手をつけなかったという 2183

    y4u3ki

    DONE曦澄ワンドロワンライのお題が「夢」だったので考えたけどこんなんしか思いつかなかった。やばい。まじでやばい。キャラ崩壊とかいうレベルじゃない。ギャグセンスのないやつが書いたギャグ。怒らないでほしい。「阿澄、私の夢を話してもいいかい?」
    「なんだ藪から棒に。まぁ…構わないが」
    「私の夢はね、いつの日か、江家にも藍家にも後継ができて、我々がその役割を終えるときがきたら」
    「うん」
    「それはきっと遠い遠い未来の話だと思うのだけれど、すべてを捨てて。立場も家も、すべてを取り払って、ただのひとりの男として」
    「うん」
    「BARを開きたい」
    「うん。………え?」
    「バーテンダーさんってかっこいいなって」
    「えっちょっと待って今そういう流れだったか?そこは『過去も立場も全て捨ててあなたとふたり只人として慎ましく暮らしていきたい』って言うところだろ」
    「それもとても魅力的なのですが、どうしても蔵書閣の書にあった『あちらのお客さまからです』っていうのをやってみたくて」
    「どういう世界線?」
    「ちょっと予行演習で今やってみてもいいですか」
    「漫才の導入部分だった」
    「お願いです阿澄…!!」
    「くそっ顔がいいな。わかったじゃあ俺が客をやればいいんだな」
    「話が早くて助かります」

    「はぁ…仕事は山積みだし、見合いはことごとくうまく行かないし、酒でも飲まないとやってられんな…」
    「失礼します、お客さま。 1633

    途綺*

    DONE🐑🔮//綺羅星の微睡み

    甘やかされてふわふわしてぼんやり眠くなる話。※実際にある睡眠導入法を軽くアレンジしています。
    「ふーふーちゃんのばか」

    足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。

    外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
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