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    ぐーかみ

    @Royal_Shiki_Min

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    ぐーかみ

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    ⚠️ばでぃおら視聴前提です
    メテオライトショー直後のルクシキ
    匂わせありがとうな…!

    #ルクシキ
    rukshiki

    「あ!いた!シキー!」
    元気で明るい声色に不意に呼ばれ、青年は思わず肩をびくつかせる。
    彼が振り向くや否や、声の主は跳ねるように近寄り、彼を両腕の中に収めた。
    「る、る、ルーク……!?」
    急な展開に目を白黒させ、彼は声の主の名前を呼ぶのがやっとだった。
    「ありがとう、シキ!ナデシコさんに聞いたよ、犯人の特定をしてくれたのは君だって」
    「あ、ああ……」
    中止となった大祭KAGURAの仕切り直しとして行われたオンラインイベント。そこに爆弾を仕掛けた男が逮捕されたのは、つい先程の出来事であった。

    「ボ、ボクは……ナデシコさんに言われた通りしただけで……」
    「でも、シキが犯人を特定してくれたからこそ、すぐに逮捕に至れたんだ。胸を張ってくれ、シキ。ありがとう!」
    礼を言いながら、ルークはシキを軽く抱きしめる。彼としては挨拶代わりや親愛の証としての行為だろうが、側に感じる体温や、案外逞しい腕を側に感じると冷静でいられなくなる。
    シキがおろおろしていることに気づいたのか、ルークは抱擁を解いた。

    「それにしても流石シキだな。たった一文のチャットからあんなに早く特定できるなんて」
    「あ、あれは……実は、元からシステムをそれ用にしていたんだ。その……誰かが何かを企んでも、すぐにわかるように。今回はオンラインでのイベントにしたいって、スイさんが言ってたから……その、ボクがメインのシステムを組んだんだ」
    「え?シキは今回の事件を予見していたのか?そういえば犯人はDISCARDの残党だって言ってたけども……」
    「も、もちろんあらかじめ誰が罪を犯す、とわかっていたわけじゃないよ……。けど、DISCARDの残党が喪失感からヤケになって何か事件を起こす可能性は……も、元から高いと思っていたんだ。」
    世界的犯罪組織であるDISCARD。その構成員はこのミカグラ島に果たしてどれほどいるのだろう。
    いま目の前にいるシキも、その構成員であった。
    尤も彼はいち構成員に留まらず、そのボスであるファントムの共犯者という一段飛び抜けた存在であった。
    「なるほど。シキはDISCARDの元構成員がどういう動きをするかある程度推測できていたんだな。自分の所属していた場がなくなって、八つ当たりするやつが出てくるだろうと」
    「うん……。だって、DISCARDが無くなって、どうしたらいいかわからないのは、ボクも同じだもの……」
    「シキ……」
    シキは眉根を寄せて目を閉じている。物憂げな雰囲気から、苦悶が見て取れる。
    「……スイさんと一緒にいたり、こうやってルークと話したりしていると、キズナ計画が頓挫したことは、良かったと思う。けど……キズナ計画がボクの支えだったのは事実だよ。それのために生きてきたと言っても過言じゃない。それが無くなって……先が、見えなくなった」
    失った家族との繋がりを持てる方法だと嘯かれ、シキはミカグラ島を巻き込む巨大実験であるキズナ計画の中心人物となっていた。
    彼がハスマリーを脱し、ミカグラ島でキズナ計画のために捧げた7年間。19歳の彼にとって決して短いとは言えない時間だ。

    「……シキ。けれど君は、僕の手を取ってくれた。今回も、ナデシコさんや僕達に協力してくれた。決して行き先を失ったわけじゃないと、僕は思うんだ」
    シキはかつて、ルークから幾度手を差し伸べられても、自分にはその資格がないと跳ね除けてきた。しかし、キズナ計画がクライマックスを迎える頃。シキは、自分を“助けに来た”と称するルークの手を取ったのだ。
    「現に、君は今回の犯人逮捕に大いに貢献してくれたんだ。シキの力は、人を助けることにも十分役立つんだ。過去は変えられないかもしれないけれど、だからといって未来を変えないのは、僕は違うと思う」
    「ルーク……」
    「シキ。ショーでニンジャジャンが言った言葉を覚えてるか?たとえ離れていても、僕達は繋がっているよ。僕はしばらくしたら帰国してしまうけれども、君と繋いだ絆は離れない。絶対に。」
    「……うん…………」

    ルークは再び、あの時のように手を差し伸べてきた。シキは改めてその手を取る。ルークの掌の暖かさと、力強い眼差しに胸の奥が熱くなるかのようだ。

    「ルーク。いつか、いつになるかわからないけれど……ボクが、犯した罪を贖って、胸を張ってルークと会えるようになった時に……ボ、ボクの気持ちを伝えてもいい?」
    「えっ?シキの気持ちって?」
    「……その時まで内緒だよ。ルーク、ボクもうナデシコさんの所へ行かなきゃ……。さよならルーク、見送りには行けないけれど……元気で。」
    「シキ……。わかった。また会える日を楽しみにしているよ。その時まで、どうか元気で。」
    別れの挨拶代わりに、ルークから軽くハグをする。シキは身じろぎしたが、今度はシキの方からも軽く抱き返す。

    ナデシコが向こうからシキを呼ぶ声が聞こえる。二人は身体を離し、しばらく見つめ合った後、それぞれの道を歩み出した。
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