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    ぐーかみ

    @Royal_Shiki_Min

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    ぐーかみ

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    ルクシキ!とても事後!だけどエロ描写は無いR15くらいのやつ。ネタバレしかないED後の謎時空です。

    #ルクシキ
    rukshiki

    可愛い。
    どうしてこの世はこんなに可愛いもので満たされているんだろう。

    小さい子供もそうだし、野に咲く花だってそうだ。
    動物も可愛くてたまらない。
    特に犬、ああシバコ可愛かったなあ、元気だろうか、また会いたいなあ。
    キャラクターものだってこの世に可愛いものが溢れすぎている。
    アーロンは星野郎、なんて呼んで気に食わなさげだったけど、僕はACEくんは本当に可愛いと思う。

    お前は何でもかんでも可愛い可愛いと、ガキかよと、これまたアーロンに毒づかれたことがある。
    だって実際に可愛いものがたくさんあるんだから仕方ない。
    込み上げる感情を抑える理由なんてないだろう?誉め言葉だしさ。

    「ボクも、ルークはすぐ可愛いって……言い過ぎだと思う」
    そうだ、以前、シキにもこんなことを言われたな。

    今は僕の隣で静かに寝息を立てている、シキ。

    白い頬は、先程まで桃色に染まっていた名残を残している。
    やや汗ばんだ額に夜色の髪が少し乱れ張り付いている。
    目にかかりそうなそれを手でどけてやるついでに頬を少し撫でる。
    すると、意識なんてないはずなのに僕の手のひらに頬を寄せてくる。
    ほら、そんな仕草をされて「可愛い」と思うな、なんて、無理な話だ。

    「可愛いなぁ〜……」
    思わず口からも出てしまった。
    いま僕は締まりのない顔をしているんだろうな、間違いなく。

    そう、こんな調子でシキに可愛い可愛いと言い続けていたらすっかり困惑されてしまったのだ。
    だって仕方ないだろ、可愛いのは事実なんだから。
    そもそもシキは赤ちゃんの時から可愛かったからな。記憶の蘇った今なら断言できる。

    しかし、研究所で、あんな形で出会い、別れたシキとまた再会できるなんて。
    おまけに間にもう一度出会いと別れを挟んで。

    シキが命を落とした……と、されたその時はもう気が気じゃなかった。
    紆余曲折を経たけれど、今は無事でいてくれたことがただただ、心底嬉しい。

    その経緯も手伝ってか、再会してからのシキはなんとも気まずそうで、僕からの接触を拒みこそしなかったが自分からは近づいて来なかった。
    そうなると、僕は余計にシキが気になって、ことあるごとに会いに行ったり連れ出したりするようになった。

    時折、シキが僕の方をじっと見た。
    何か物言いたげな顔をしていて、しつこい誘いが内心迷惑がられているのか少しヒヤヒヤしていた。
    が、実際には逆だったみたいで……。
    まもなく、シキの方から、僕への想いを打ち明けられた。

    僕がまだ何も言っていないと言うのに、断ってくれていいよ、伝えたかっただけだから、じゃあ、と逃げようとするシキを捕まえて、思わず抱きしめた。
    本当は引き止めるだけのつもりで、抱きしめてしまったのはもののはずみ。
    シキは本当に驚いた顔で僕を見た。
    赤い顔と白黒させている目がちぐはぐで、思わず僕は「可愛い」と言った。
    そう、あれが初めてシキに面と向かって言った可愛いだったと思う。……赤ん坊の頃のシキに言ったのを除けば。

    その時から僕はタガが外れたように、事あるごとに言っている。現在進行形で。

    赤ん坊だった時に、早く大きくなって一緒に遊びたいと思った記憶。
    守れなかったはずの存在が再び手元に戻ってきた喜び。
    いろんな感情があふれ返り、本人の幼い仕草も相まって、可愛くて可愛くて歯止めがかからない。
    もちろん恋人としても愛しているが、それ以上に愛でていたい感情が湧いて仕方なかった。

    そんな折に、アーロンに可愛い可愛い言い過ぎだって言われちゃってさ、と話していたらシキからも上記の反応だった。
    少し拗ねたような態度が珍しくて、やはり……可愛らしかった。

    その時は、シキが何故そんなに不満げなのか知る由もなく呑気に愛でていた。
    手を繋いだり、肩を寄せたり、スキンシップを重ねるとシキは緊張しながらも嬉しそうにしていた。
    同時に、やはり何か物言いたげな様子で僕を見ていた。

    寝息を立てるシキを見る。
    そう、こんな風に肌を重ねるつもりは、少なくともしばらくはそのつもりは無かった。
    幼気なシキに手を出すのは気が引けたし、僕とシキは6つ近く年が離れている。
    もうすぐ成人するとはいえ、未成年に手を出すのは元警官としていただけなかった。

    シキの方もきっと、急にケダモノじみた面を見せられたら怯えるに違いないと、そう思っていた。
    しかし、またしても逆だった。

    スキンシップの度にどこか浮かない顔をするのは単純に接触に不慣れだからだろうか、などと勝手に解釈していたら。

    「ルーク……ボクと、別れて」


    寝耳に水だった。
    シキの言葉にひどく動揺しながら、なんとか聞き出した理由は。

    「ルーク、が、ボクを……だ、抱いてくれないのは、仕方ないと思う……。ボクは、罪人だから……。ルークは優しいから、ボクの我儘に付き合って、こうやって一緒にいてくれるけど、それは、ボクが……ルークの時間を、む、無駄遣いしてるようなものだから、申し訳なくって」

    自分は罪で穢れた身だから抱かれないのだと、シキは結論付けていた。
    もちろんそんなことは一切ない。シキを汚れているなんて思ったことはない。
    むしろ、自分が汚してしまわないか躊躇っていたというのに。
    まさか、軽いスキンシップだけにとどめていた事でこんなにも思い詰めさせていたなんて。
    正直、打ち明けられるまでシキ側にそういう欲求があるなんて思ってもみなかった。
    いや、正確には思わないようにしていたのかもしれない。

    シキの告白を受け入れ、恋人として過ごしておきながら、僕は勝手に『そうなる可能性』を無意識に排除してきた。
    僕の生々しい欲をシキに見せて嫌われるのは怖かったし、僕が下手をしてシキの何かを壊してしまうような、そんな幻覚に怯えていた。
    要するに、僕は臆病だった。

    身も心も文字通り丸裸になることで、シキに幻滅されないか。それが怖かった。
    無自覚ながら、僕にも年上としてのプライドとやらがあったらしい。

    シキにその思いを正直に打ち明けると、不思議そうに目をぱちくりさせて、
    「ボクは……ルークが何をしても、嫌いになんてならないよ。絶対。」

    そう断言した。シキにしては力強い物言いだった。

    「ボク、そんなに……軽い気持ちでルークのことを想っているんじゃない。ルーク。ボクを、舐めないで」

    挑発的な口調。
    シキはその印象に反して内心は強情なところがある。
    本当に譲れない局面では、こんな風に挑発的な態度になることを僕は知っていた。
    滅多に見られないそれが、僕に対して出たことが嬉しくて、思わず抱きしめて、そこから先はその……察して欲しい。

    ともあれ、そこから僕たちは仲良くやっている。

    いつもいつも腕の中のシキが本当に可愛くて仕方ないもんだから、溺れるくらい可愛がると、困惑しながらも受け入れてくれた。
    それがまた嬉しくて可愛いくて堪らず……無限ループだ。

    あまりにも可愛い。
    シキがいないときにも余韻に浸りすぎていたらしく、ある時にひとりソファでぼんやりニヤニヤしていたら(僕はニヤけていたことは無自覚だっだけど)何も言ってないのにアーロンに蹴られた。
    モクマさんからは苦笑いされ、チェズレイからは仕方ないですねェと言わんばかりのため息をつかれた。
    そこまで筒抜けになるとは、どんな表情をしていたんだ、僕は?


    「ん……。」

    シキが身じろぎする。
    薄く開かれた目から、菫色に透き通る瞳が見えた。

    「シキ、起きたか?身体、つらくないか?」
    「だい、じょうぶ……だよ、ルーク」

    ぼんやりとしていた眼差しから、次第にはっきりとしてきた菫色が僕の顔を捉えると、へにゃりと笑った。
    この力の抜けたような笑顔が大好きだ。
    顔をこわばらせていることが多かったシキがリラックスしてくれていることが実感できて、嬉しい。

    意識こそ戻ったものの、身体はまだ怠そうにぐったりとしている。
    いつもこうで、無理をしないでくれと言っているのに限界まで僕についてこようとする。
    健気な姿がいじらしくて堪らないが、同時に心配でもある。
    腐っても元警官なのだから、僕の体力は一応、人並み以上な自負はある。
    対してシキは、見ていてハラハラする程に体力が乏しい。
    正直抱いてる時も折れそうに細くて怖いほど。
    そんなシキが僕に合わせてこようとするのだからすぐに限界が訪れるのはまったく自明の理だ。

    夜色の髪に触れる。たっぷりしたそれは指で掬うとさらさらとこぼれ落ちる。また掬う。僕の手遊びをシキは不思議そうに見つめている。

    「シキ、本当に無理しないでくれ。僕に合わせると身体に負担が大きいだろ?そこまでして合わせてくれなくていいんだ」

    僕の言葉を咀嚼するように、シキは二、三度瞬きをした。まだ少し、意識がぼんやりしているらしい。

    「違うよ、ルーク。合わせてるんじゃなくて、ええと、その……」
    シキは答えを紡ぎながらもぞもぞと起き出し、僕の方へ顔を近づけてきた。澄んだ瞳の色の中に僕の姿が映る。

    「この、ルークを近くに感じる時間が嬉しくて。……出来るだけ長く感じていたいから、なんだ。無理してルークに合わせてるんじゃなくて、ええと……これはボクのワガママだよ。」

    だから、気にしないで。と身を擦り寄せてきた。
    僕は思わず息を呑んだ。
    「可愛い……!シキ、あまりにも可愛い!!」
    「わっ……!?」
    つい、思い切り抱きしめてしまい、シキが苦しそうにしている。慌てて少し腕の力を緩める。
    「ま、また可愛いって言う……」
    気恥ずかしそうにこぼすシキがまた可愛くて、ああ、本当に語彙力ないな僕。

    「だって本当に可愛いから仕方ないだろ?むしろ足りないくらいだ。これからもまだまだ言い続けるよ、僕は」
    「そ、それは……恥ずかしい、けど……」
    シキは気まずそうに顔を伏せ、ごにょごにょ呟いたのち、ゆっくりと顔を上げた。僕の方をまっすぐに見据える。

    「けど、嬉しい。ありがとう、ルーク」
    白い肌を真っ赤に染めながら、微笑むシキが愛しくて仕方なく、僕は思わずキスをした。
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