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    Enki_Aquarius

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    「Scent Command」+六話目です。

    ##ScentCommand

    Scent Commandーcontinuation6 一年以上前から、司甲は剣道部員たちに魔法による差別の撤廃を目指すよう、訴えかけていた。壬生も含め、一部の部員は司に連れられてブランシュの支部にすら足を運んだことがあるという。
    「さて、ここで問題なのは・・・ブランシュの奴らが今、どこにいるのかという事ですが・・・」
     達也がそう言って少し視線を外して見せれば、そこに居た者たちは一同に驚いたような表情を見せた。勿論、渡辺も同じような表情をして見せている。彼女も、達也がそこまで深追いするとは思っていなかったのだろう。
    「達也君まさか・・・彼らと一戦交えるつもりなの?!」
     代表するように七草が一歩出て達也に疑問を投げつけるが、その表現は妥当ではない。
    「叩き潰します」
    「危険だっ・・・学生の分を・・・」
     超えている。とでも続けたかったのだろう。けれども続けられなかった。渡辺の言葉は紡がれることなく地へと落ちていき、それから彼女は両手で口元を抑えた。
    「えぇ。学生としてやるつもりはありませんよ」
     何より、このまま学外のことを警察に任せれば、壬生は強盗未遂で家裁送りになるだろう。これは建前という奴だが、言い訳としては十分だろう。
    「司波・・・相手はテロリストだ。俺も七草も渡辺も、当校の生徒に命を掛けろとは言えん」
    「当然です。何より、学校の力を借りるつもりはありません。先ほどから言っているではありませんか」
     達也はそう言って、保健室への道のりの最中に寄った、教室のロッカーから久方ぶりに引っ張りだしてきたバッグを取り出した。
     緊急時用、と言ってもいいだろう。
     本来であればこのようなことに使いたくはなかったのだが、仕方のないことである。
     中身を悟ったらしい渡辺は、青ざめた表情を浮かべて達也を止めに入ろうとしたが、達也が止まることなどあり得なかった。
    「俺は軍用犬・・・です。軍のモノ・・として、やります」
     達也はそう言ってバッグの持ち手を握りしめた。どうにしろ、達也にお鉢が回ってきただろう案件だ。先に手を付けておいても、何ら問題はないだろう。
    「マスターのご同行も結構。俺一人で向かいます」
    「だがっ・・・」
     達也は身を乗り出した渡辺を制した。彼女が共にきてくれることは、確かに達也に精神的な安定をもたらす。心強く思うし、達也だって安心して背を任せることができる。が、
    「この状況で風紀委員長が不在は困るでしょう?」
     そう言って微笑を浮かべながら肩を竦めて見せれば、渡辺は何も言い返すことができなかった。
     彼は常に冷静だ。きちんと周りを見ることができており、客観的な判断を下すことができる。
    「・・・これじゃあ、どちらがマスターか分からないな」
     渡辺はそう言って肩を落とす。けれど、達也が求めているマスターとしての素質はそこではない。達也は更に笑みを深め、それから彼女の手を取った。
     ゆっくりと片膝を追っていき、その手に自身の口元を近づける。
    「私に、勇気を・・・」
     まるで神聖な儀式を見ているような気分であった。戦乙女、あるいは勝利の女神に頭をたれ、彼女からのギフトを授からんとする騎士のよう。

    「【Give】」

     けれども一たび彼が瞳を開けば、その奥に燃えるのは獣性であった。

    ***

     随分と薄く見えるそれは、一応国防陸軍にて採用され、制作された戦闘服。防弾、耐熱、緩衝、対BC兵器の性能を備えており、パワーアシスト機能も搭載した優れものである。
     見た目以上の効果を発揮するそれの名称はムーバル・スーツ。達也が考案、設計したものであった。
     ただ、達也が使う場合はそれに追加される装備がいくつかある。
     鎧でいうところの、サバトン。足を覆うそれは、五センチほどのヒールが備わり、前足部の辺りに小型の特化型CADを仕込んだもの。
     それから手の甲を覆う鉤爪。収納が可能なために一般的な動作も難なくこなすことのできるそれは、武装一体型CADである。
     おおよそ攻撃手段、移動手段に使われる部位をCADで包んだそれは、まさしく戦闘特化軍用
     彼が軍用犬であるための装備。
     数多の戦場を闊歩し、勝利へと導いてきた。

    ‐ザ・ロー・オブ・ビクトリー
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