俳優×一般人プロローグ

　いつも通り大学に通い、いつも通り帰りにスーパーで買い物をして、いつも通り夕食を作って、いつも通りナイトルーティンをこなして眠りにつく予定だった。僕、花京院典明は極々普通の一般的な大学生だ。サークルには入らず、個人経営のラーメン屋のバイトを週3入れて、親のスネをかじりながら激安の学生アパートで暮らしている。そんな僕の生活が一変したのは、この日郵便受けに入っていた1通の封書だった。
「嘘だろ…信じられない…。」
　それは、とある芸能人のトークショー＆握手会の当選チケットだった。僕がサークルに入っていない理由は、この「とある芸能人」を応援し、日々情報を集めているからだ。
　空条承太郎。ニックネームJOJO。幼少の頃からいわゆる子役として演技をはじめた。演技も達者で、神童なんて言われていた。子供の容姿から少年、そして青年へ。可愛いから美少年、美丈夫へ。演技力は言わずもがな、主演ドラマも主演映画も全てにおいてありとあらゆる賞をかっさらい、今ではハリウッドへの進出もささやかれている。NGなのはラブシーン。キスも例え格好だけだとしても受け入れないらしい。海外進出を拒んでいるのはその部分という噂がある。そんな彼はプライベートを一切明かさず、この名前も本名か芸名かも明かされていない。195㎝82㎏、水瓶座のB型。誕生日は不明。年齢は僕と同い年の20歳。瞳の色が緑と青の中間なので、ハーフかと言われてはいるがそれも不明だ。