5、新郎友人 鳴上嵐 あーあ。本当にイヤんなっちゃう。
なんて正しくて、なんて美しい結婚式。永遠の愛を誓う男女の晴れ舞台。
『間違いなんて初めからひとつだってありませんでした』っていう幸せな空気が会場を満たし、やがて少しずつ、アタシの心の中にまで侵食してくる。
梅雨の合間に開かれた、泉ちゃんとあんずちゃんの結婚式。アタシは泉ちゃん――新郎側の友人として、この祝いの卓に座っている。
今朝までの長雨が嘘だったかのように広がる快晴の空は、清く正しい男女の婚姻を神様が祝福しているからかしら――なぁんて、今日のお式は神前式じゃないんだけどね。
六月吉日。アタシたち『Knights』全員が招待されて参列する人前式は、本当に親しい相手だけを集めたような三十人程度の小規模なウェディング。海辺の小さなゲストハウスで開かれている新婦の手作りらしい結婚式は、ゲストも場所も入れ替えずにそのまま披露宴へと場面を進め、もう間もなく、新郎友人代表からのお祝いのスピーチが始まるところ。
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