Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ペスカル

    気まぐれに!気の向くままに!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 1

    ペスカル

    ☆quiet follow

    #戦国BASARA
    sengokuBasara
    #夢(ギャグ)
    dream
    #伊達政宗
    dateMasamune
    #武田軍
    takeda

    あたし虎になる濃紺と煌めきの天が、黄金に滲みゆく
    小鳥たちがあちこちで歌いはじめる

    炊きたてのご飯の香る廊下。
    仕切りを開けると男が皿を並べている。

    「今日も美味そうだな、小十郎」

    その背に声をかけた。
    名を呼ばれた男が振り返ると、右目に眼帯をした男が見ている。

    「ありがとうございます、政宗様」

    答えて、軽く会釈をした。

    眼帯の男は、伊達政宗。今年の春からBASARA学園に入学した問題児。
    もう一人の男は、片倉小十郎。
    政宗の世話役であり、同じBASARA学園の1年生。

    二人は席につき、食事をはじめる。
    政宗が野菜の盛り合わせに手を伸ばした時だった。

    ととと……

    どこかで鳴る小さな音。
    しかし

    とと……どどドドドド

    それは次第に大きくなり…

    ドダダダダダダダダーー

    スッタァーーンッ

    取れそうなほどの音を立て障子が開かれ

    「だーってまさむねぇーーっ!」

    怒鳴り声が響く。
    緋色のような髪を高い位置で一纏めにし、やや丸みのあるキリッとした猫目、元気印を背負った袴着姿の少女が肩で息を切り立っている。
    てか、障子が可哀相である。

    小十郎「…またお前か、飛鳥…。政宗様は食事中だ」

    政宗「Ah、構わねえ。今朝は何のようだ?」

    飛鳥と呼ばれた少女は、答えずにズカズカと部屋に入ると二人の前に座った。
    一呼吸置き、二人にキッと鋭い視線を向け……

    飛鳥「小十郎様、お水ちょーだい!あと鯖の味噌煮とお味噌汁、それからスペシャルサラダとご飯は大盛りで!」

    『飯かよ!』

    二人の声が見事にハモる。

    飛鳥「朝練して喉が渇いてお腹ペコペコなのよっ!飢えた人間に食うなってか!?アンタ、それでも当主なのっ!?」

    いろいろとツッコミたい気持ちをグゥーッと抑え食事に戻る。
    ちゃんと飛鳥の食事も用意してくれる辺り、小十郎らしい。

    しばらくして。

    食後の梅こぶ茶を一口すすり、ふぅ。と小さく息をつく政宗。

    政宗「で、飛鳥。今日は何のようだ?」

    口に入れていた羊羹を急いで胃に流し、梅こぶ茶をズビビィーッとすする。
    落ち着いたところで、二人に静かな視線を送る。
    そして力強く一言

    飛鳥の「あたし、虎になる!」

    どこからともなく、ざっばーんっと岩にぶつかる荒波の背景。

    飛鳥「あたし、虎になりたい!」

    大事なことらしいです。間髪入れず二回言いました。

    政宗「……ah~……Are you Dreaming?」

    飛鳥「寝ぼけてないわよ!あたしは、真剣に虎になりたいのっ!」

    バンッとちゃぶ台を叩く。
    ちゃぶ台が真っ二つになりそうな勢いで叩かないで下さい。

    政宗「小十郎、Doctor呼べ。頭の。」

    小十郎「は。直ちに」

    飛鳥「ちょっと!扱い酷くないっ!?あたしが言ってるのはこれ!」

    懐からA4サイズのコピー用紙を取り出し、二人の前に叩きつけるように出す。

    用紙には、下記の内容が書かれている。

    ――――――――――

    「甲斐の虎大会」

    ☆年☆月☆日(土)・☆日(日)

    今年も、漢達の熱い祭がやってきた!

    じっちゃんも、ばっちゃんも、
    坊っちゃんも、嬢ちゃんもみんな寄っといで!

    拳が舞い、武が輝る!甲斐の名物・力自慢大会!
    あなたの力を試してみませんか?
    年齢・性別・出身・職業すべて問いません。

    トーナメント勝ち抜き1本勝負 試合型式ランダム。

    1位 賞金300万円

    2位 賞金100万円

    3位 賞金30万円

    ※参加賞 3万円+信玄餅1ケース


    当日 10:00~

    1日目 選手予選会

    2日目 決勝大会

    ※参加受付 朝7:00~9:30まで。

    猛者達よ!いざ、甲斐に集え!!

    ――――――――――


    政宗「ha~、I see.」

    小十郎「これに出たいと?」

    納得したが難しい顔でいうそれぞれ。
    飛鳥は強気な笑みを浮かべて頷く。

    飛鳥「でね「NOだ」なっ♪」

    言葉を遮られる。

    飛鳥「おいこらばかむね」

    政宗「お前、いまサラッと馬鹿と言わなかったか?」

    飛鳥「幻聴じゃない?んで、甲斐に行くから、バイクか馬を貸して欲しいなって♪」

    政宗「小十郎はどうだ?」

    小十郎「私も反対です」

    飛鳥「二人共…あたしが、か弱く可憐な美少女だから心配なのね。優しいなぁ。」

    政宗「小十郎、Doctor呼べ。入院させる手続きもだ。」

    小十郎「はい、政宗様」

    飛鳥「さっきから酷くない?てかさぁ。なんで、駄目なのさ?」

    政宗「てめぇーだけってのが、気に食わねえ。」

    小次郎は静かに目を閉じた。

    飛鳥「…あんた…まさか…」

    政宗「察しがついたようだな。」

    飛鳥「……いやあぁぁぁぁあーーっ!」

    いきなりの大絶叫!
    政宗と小十郎も流石に驚く!が、そんな二人に構わず飛鳥は続けた。

    飛鳥「若いの祭はもう沢山だ!甲斐の虎にしろ!それが嫌なら、小十郎様にしろ!あたしが萌えてやる!」

    政宗「落ち着け!Calm down!」

    小十郎「飛鳥、どうした!?」

    飛鳥「真田に嫁ぐくらいなら、あたしと契約して、甲斐の虎に嫁げ!それが嫌なら、小十郎様の婿になれ!」

    政宗「What!?」

    小十郎「飛鳥。また、お前はそのような失礼な戯れ言をぬかすか!」

    飛鳥「戯れ言とは何ですか!?女子の半分が望んでます!ほら!薄い本だってあるんです!」

    政宗「I don't understand the meaning!(意味わからん!)、何処から出したそんなもん!」

    小十郎「まだあったのか!?」

    政宗「知ってたのか、小十郎」

    小十郎「すみません、政宗。御目に触れる前に抹消させたはずなのですが……」

    言うが早いか。
    小十郎の腰から光が舞い、飛鳥の手にしていた薄いソレが、紙吹雪と化した。

    飛鳥「あぁ!?あたしの最新作がぁー!」

    小十郎「飛鳥、いくらお前でもふざけすぎるのも大概にしろ……」

    小十郎が怒りを瞳に宿し言う。
    シュンと肩を竦めて、大人くなる。
    先ほどの騒ぎが、嘘のように静まり返った。

    政宗「Seems calm.(落ち着いたようだな)」

    飛鳥「……あの、さ……」

    おずおずと前に座る二人に上目遣いで問う。

    飛鳥「バイクか馬を貸して欲しい…です。」

    小十郎「しかし、お前を一人で行かせられない……。」

    政宗「小十郎、準備しろ。三人分だ。」

    小十郎「政宗様っ!?」

    政宗「甲斐に行くぞ。ARE YOU READY?」

    飛鳥がキラキラした瞳で見つめている。
    暑さすら感じる熱視線。
    肌がチリチリとして何やら焦げ臭い気も……

    小十郎「何してるんだ!?」

    飛鳥「んえ?焼いてるのですよ。処分しきれてない本を」

    バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサッ

    服をパタパタすると、出るわ出るわ、薄い本!

    政宗「…………」

    小十郎「…………」

    飛鳥「流石に、これ1冊ずつ焼くの大変だから、庭に出して焼くねー♪」

    唖然とする二人を他所(よそ)に、障子ををあけて、中庭にバサッと出して、本当に燃やしはじめたのだった。

    炎を見つめる少女は、心の奥底で細く笑んだ。
    そして、誰にも聞こえない声を漏らす。

    本当の最新作は1ヶ月後…… と。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works