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    ksm_oosm

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    馴れ初め的なのをぽちぽち

    郭賈なれそめ「まいったまいった。降参だ、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」

     (彼が策士、賈詡…)

     張繍の軍が降伏し、曹操殿自らと僅かな護衛とともに入城し、軽い酒宴でもてなされ武器も持たずに油断しているところを急襲された。親衛隊の典韋殿が命をかけて曹操殿を脱出させ、一人逃げ延びた曹操殿と共に援軍として直ぐに助けに向かったが親衛隊筆頭の典韋殿、曹操殿の長子の曹昴殿、甥の曹安民殿が亡くなるという痛手を負わされてしまった。策を暴き、敵の軍師を捕縛し張繍は逃げ、宛城を落とすことができたが、勝利というには失ったものが大きかった。
     そしてそのような策を仕掛けたのがこの軍師、賈詡。捕縛され、縄で繋がれているが覚悟を決めているのか落ち着いている。切れ長の目に飄々とした態度。私よりもだいぶ年上の風貌で、手や顔には年季が刻まれている。この頭脳で様々な戦場を乗り越えてきたのだろう。

    (さて、曹操殿はどのような判断を下すのかな)

    降伏して酒宴を開き、武器を持たずに油断しているところを狙うという狡猾な策。典韋殿の武勇がなければ、曹昴殿が殿に馬を渡していなければ曹操殿は今頃……
     我が主君に視線を向ける。曹操殿は、賈詡を一瞥してから皆に声を発した。

    「賈詡よ……お主、わしの元に来い」

     兵たちが騒めく。賈詡も驚いたのだろう、曹操殿を目を丸くして見つめている。
    「孟徳、正気か!」
     夏侯惇殿が曹操殿に掴みかかる勢いで問いかけた。無理もない、典韋殿達の仇なのだから。
    「無論。わしを追い詰める程の才、見事であった。我が軍でその才を奮ってほしい」
     曹操殿は手に持った将剣で賈詡の縄を切る。賈詡は一瞬驚きつつも、覚悟を決め話し始めた。
    「……あっははぁ。これは予想外だ……お褒めに預かり光栄です。どうせ失いかけた命だ、もちろん仰せのままに」
    「……だがその才、使えぬとわかれば命はないぞ」
     賈詡の喉元に将剣を掠め、そう呟くと賈詡はゴクリと喉を鳴らした。
     面白い。彼を仲間にする曹操殿の度量には感服する、仲間を失ったことは悲しいがそれよりも曹操殿を追い詰めた程の軍師と共闘できる事の喜びが溢れてくる。
    「曹操殿、では私が賈詡の監視をしましょう」
     ひらりと手を挙げ、賈詡と曹操殿の前へ出る。兵達は騒いでいたが、これも曹操殿の予想通りなのだろう。
    「わかった。郭嘉に任せよう」
    「おい、孟徳。俺は反対だぞ」
     曹操殿と夏侯惇殿はそんな話をしながら城へ戻って行く。見ていた兵も賈詡を睨みながらも散っていった。残されたのは、私と賈詡のみ。
    「というわけで、私は郭奉考。軍師として曹操殿に仕えている。あなたの監視役をすることになった。よろしくね」
    「……自ら監視役に名乗り出るとは変わった御仁だ」
     座ったままの賈詡に立つように促すと、渋々重い腰をあげた。
    「あなたの策略は見事だったよ。だから、興味が湧いた。近くであなたのことをよく知りたいと思ったんだ」
    「といいますが、俺の策をあなたは看破したでしょう。」
    「満寵殿の助言や典韋殿の武勇がなければ、もう少しで曹操殿の命はなかった。ここまで追い詰められたのは初めてだよ」
    「あははぁ、今日はよくおだてられる。しかし、あなたみたいな軍師がいればこの軍も安泰でしょう。俺は楽できるかもしれないね」
    「……全て思い通りにはいかないものでしょう?あなたにも全力を尽くしてもらうよ」
    「はぁ……そりゃあもちろん力は尽くしますよ」
    「改めてよろしくね、賈詡」
    「こちらこそ、郭嘉殿」
    手を交わし握手する。彼の手腕を見るのが楽しみだ。
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