ギブミー! 二月十四日がもうじき終わる頃、自室で勉強をしていた悟飯は窓がコンコンとノックされる音に気づいた。既に意識が夢の世界に落ちている弟を気づかうかのようにささやかな音。来訪者が誰なのか理解するのに時間はかからない。
窓を開けるとそこには予想通りの人物がいる。腕を組み仁王立ちしている。表情を伺うと眉間には立派でくっきりとした皺が寄っている。
「こんばんはピッコロさん。あの……怒ってますか?」
尋ねてみたが悟飯は確信していた。怒っている。いや正確には拗ねている。自分はなにかこの人にしてしまっただろうかと今日一日を振り返るが特に問題はなかった筈だ。
朝から夕方まで、長い間とある作業をしていた。慣れていない作業に苦戦しつつもなんとか作業を終わらせて、さぁ次は勉強をやるぞと夕食の後からはずっと部屋で缶詰状態だ。ピッコロを不機嫌にさせるようなことはそもそもできる状況でなかったのだ。
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