太いのと細いのと「こっちがヴァンで、こっちがおまえな」
綺羅に渡された2枚の皿。ヴァンの、と出された皿は太巻きが二本乗っていた。一方、綺羅の、と手渡された方にはヴァンのものより細い巻き寿司が三本乗っていた。他の皿を見てみれば、ヴァンと同じ皿が2つ、綺羅のと同じのが2つ。太巻きが三本乗っている皿が1つ。すでに配膳されている細巻きの皿の前にはナギとシオンの箸が置かれていた。
「……なぜ、俺のは、細い方…?」
「なんでって……おまえ、口小せえだろ。量は同じだから問題ねぇよな?」
当然のように言う大和。綺羅はむっと唇を尖らせる。じっと大和に批判的な視線を送る。
「俺の口は、小さく…ない」
大和の顔を見ていた金の視線が下がり下半身に止まる。
そしてまた、大和の顔をとらえた。
「俺の口が、小さくないのは…大和も知ってる、はず」
綺羅の視線の移動に気付いていた大和はひくりと口角を上げる。
「おまえ今どこ見て言った」
「それとも、大和のは…これよりも、細い?」
大和の問いを無視して綺羅は挑発的に言う。大和はにやりと笑って応えた。
「それこそおまえも知ってんだろ?」