Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ykn_0910

    @ykn_0910

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 17

    ykn_0910

    ☆quiet follow

    えいいちとのツーショットが欲しいきらはゔぁんに消えてもらうことにしました。瑛綺

    マジック!「写真から、人を消せる技術を……知っているか?」
     綺羅からの突然の問いかけになんだろうとヴァンは首を傾げる。そしてとあるCMを思い出した。スマートフォンで撮った写真に写り込んでしまった人や物を消せるという技術。実際に自分でも使ってみて、その技術に驚いたのだ。
    「ワイの名前は桐生院ヴァンです」
     そのCMの印象的なフレーズを口にする。「知っている」という返事のつもりだった。
     しかし、今度は綺羅のほうが首を傾げて「知って、いるが……?」と戸惑いを顕にする。自分の返事が伝わらなかったことにヴァンは少しだけ慌ててしまった。
    「いや、このCMのやつやろ? 綺羅ちゃんが言うてるのって」
     そこでようやく綺羅も合点がいったようだ。「そう、それ」とCMのフレーズを思い出した。
    「それがどうしたん?」
    「この写真……」
     綺羅が見せてきたのはHE★VENSのハンドサインをして得意げな瑛一と、その横でいつもより若干目元が緩んでいる綺羅。そして、そんな二人の後ろに写るヴァンの後ろ姿。「ナギに撮ってもらった」と彼は言う。背景や衣装からこの前の撮影の時の写真だということはわかったが、いつの間に撮られていたのかとヴァンは少しだけ驚いた。
    「これがどうかしたん?」
    「……瑛一との、ツーショット写真が……欲しい……」
     「だから」と神妙な面持ちで言う綺羅に、ヴァンの方もつられて緊張してしまう。
    「ヴァンには……消えてもらう……」
     「すまない」と謝る綺羅は悲痛な表情。その様子がおかしくて思わず笑ってしまうところだった。三人で並んで撮った写真ならともかく、まさに写り込んでしまった自分を消すのに断りを入れるだなんて律儀だ。ヴァンはそう思いながらも大袈裟なほどに悲しみを湛えた表情を返す。
    「それが綺羅ちゃんの幸せになるなら…………ワイは喜んで消えよう」
    「ヴァン……!」
     ヴァンの犠牲心に綺羅は感動を顕にする。これは本心やろうか、それとも演技やろうかと思いながらヴァンは「さよなら」と消えてしまいそうな声で零した。
    「ありがとう……ヴァン…………さようなら」
     悲痛な声で返しながらも、綺羅はスマートフォンを操作する。瑛一と綺羅の後ろに写るヴァンを丸で囲めばあっという間だった。そこには最初から人がいなかったかのような自然なツーショット写真が出来上がる。
    「……見て」
    「うわ、すご。綺麗サッパリやん」
     それまでの悲しみに溢れた雰囲気は霧散して、綺羅とヴァンは綺麗に加工された写真にただひたすら感心する。
    「……こっちのヴァンも、消してみて、いいか?」
     その技術に感心した綺羅が別の写真を表示させる。それはヴァンが綺羅を捕まえて撮ったツーショット写真だった。
    「流石にそれは悲しいからこっちの写真のえーちゃん消そうや」
     ヴァンが指すのは年少組三人が和気あいあいとしている写真に見切れる瑛一。だが、綺羅は真剣な声音で言うのだった。
    「瑛一を消すなんて……とんでもない」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator