ある補助監督の談 嫌いなんだ、と思っていました。
五条さんの名前を出したり、実際五条さんが目の前に現れると歌姫さんは本当に嫌な顔をしていたので。
あ、僕は関西地区で補助監督をしています。歌姫さんとは任務に同行することが多くて、でも特に女性として意識はしていなかったです。素敵なひとだな、とは思っていましたが。どこかひとを寄せ付けないというか、ひととの距離を詰めすぎないというか。あ、でも決して冷たいとかじゃなくて、親切だし聡明だしお酒の席では楽しいし……憧れ、ていたんだと思います。
でもあの日。歌姫さんの東京出張に同行した日。廊下で会った五条さんといつもの言い合いの後、少し俯いて、それから顔を上げて五条さんを見て、笑ったんです。
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