第3回 相合傘 ラーヒュン1dr1wr 大魔王を倒してからの数日、怪我と疲労で常人以下の体力にまで落ちこんでいたラーハルトは人間の陣営に留まることを余儀なくされた。本当は這ってでも出ていくつもりだったのだが、寝たきり状態のヒュンケルの付き添いを頼まれて、二人部屋に押し込まれたのだ。
最初の日はヒュンケルの体を布団から起こさせて、膳の上げ下げもしてやった。
次の日は両手で支えながら部屋の中を歩かせてやった。
回復が早い。さすがの頑強さだ。
三日目には片手を貸すだけで階段も降りられるようになった。
いわばダブル足枷作戦なのだろうと察しはついている。
敵軍の幹部だったラーハルトとヒュンケルは、近くに置くのも、目の届かないところに逃がすのも危険な存在だ。けれど万全ではない二人を一緒にしておけば、互いの身をおもんぱかって滅多なマネはするまいという腹なのだろう。
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