淵源に至るいつだって誰かに手を引いてもらっていた
お兄ちゃんや里長、ゴコク様に教官に、姉妹弟子や兄弟弟子の皆、里の皆に
私には父母の記憶は無いけれど、いつも皆が傍にいてくれた
怖くたって、痛くたって、泣きそうになる程辛くても
本当は特別、ハンターになりたかった訳じゃないの。
お兄ちゃんだって、別に私がハンターにならなくたって良いって言ってくれてたし
教官だって皆だって私もハンターになる!って言った時は心配してくれた
でも…
里で皆の帰りを待つ事なんてできなかった
影から支える事なんてできなかった
嫌だったの
私の大切な人達が私の知らない所で傷付くのが
私の大切な人達が何かに脅かされるのが
できるならソレを私が叩き潰したい
だから皆の後を着いていった
ここまで頑張ってきた
「でも、やっぱり怖いなぁ…」
奈落の底とも言えなくもない景色の中
今、私は災禍の淵源に降り立つ
「それでも、それ以上に……はらわたが煮えくり返るわ」
貴方達がいると、欲しくて堪らないあの人とゆっくりお話する事もできない
お兄ちゃんがいつか一緒に行こうと願う彼の地に踏み出す事もできない
近々子供ができると言っていた里守の人も落ち着いて過ごせない
ー百竜夜行は終わらせなければ
お兄ちゃんもいる、兄弟姉妹弟子達もいる
ーならば
「このまま奈落の底で番共々私の為に潰えてしまえ」