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    社会人まなんちょ

    モブ目線&語りによる推しカプ描写とかとても好きなので書きました!構想が今年の冬だったのに書き出すまでが長かったんですが、楽しく書いたので少しでも楽しく読んでもらえたら嬉しいです。
    真波くんいるけど名前が一回も出てこなかったなって軽く推敲して気がつきました(そのまま突き進んだ

    #まなんちょ
    southSideBook

    とある後輩による尊敬するセンパイの恋愛事情「えっ、宮原センパイって彼氏と同棲してるんですか?」
     タレをまとったつやつやの鳥串を口に含んで問えば、目の前の宮原センパイがきょとりと首をかしげた。
     お洒落なバーとは正反対の赤提灯が目印の居酒屋のテーブル席、常連のおいちゃんとすっかり顔見知りになった女将さんが談笑しているお店は、あたしたちの憩いの場でもあった。
     自分たち含めた酔っ払いの雑多な話し声や、マスターにしかチャンネル権のないテレビがスポーツニュースを大音量で読み上げる中で、あたしの声は周囲の誰の耳にも入らなかっただろう。
    「……そんなに意外かしら」
    「だって、のろけとか聞きませんし。金曜の夜に飲みに誘ったら来てくれてますし」
     色のない爪で枝豆をつまんでくわえれば、センパイの首がまた傾いた。
     仕事の後だというのにくたびれたところの見えない真っ直ぐ伸びた背中と、しわのない白のブラウスが眩しい小柄のセンパイは学生時代学級委員長も務めていたらしい。わかる。風紀委員とかも似合いそう。
     社会人三年目、あたしの教育係として頼りになる目の前のセンパイは宮原すずこセンパイといって、小さくて華奢な見た目とは裏腹にとても頼りになる大好きなセンパイだ。
     新卒で入って右も左もわからないあたしに、一から十まで丁寧に教えてくれる説明はわかりやすく、時代錯誤なコンプラポイ捨て上司からかばってくれる背中はとても頼もしい。
     まあうちの会社、社長がそういうコンプラに抵触する言動に目を光らせてくれてるので、コンプラポイ捨て上司も指摘してくれるセンパイをありがたがってはいるし、気をつけてるけどダメだねえなんてツヤツヤの頭をかきながら反省してくれてるので、そこまでひどい状況でもないんだけど。
    「別に恋人と一緒に住んでることと後輩とご飯食べるのって関係ないんじゃない? わざわざ職場でお付き合いしてる人いますなんて公言するものでもないし」
     言われてみるとたしかに?
     職場で自分からそういうの吹聴してくる人はちょっと嫌かもしれない。
    「でもでも、センパイのコイバナならあたし聞きたいですよ。相手ってどんな人ですか? イケメン? かっこいい? 男前?」
    「……全部外見のことじゃないの」
     まったくもう。
     顧客対応の電話で間違った言葉遣いを指摘するみたいな呆れ顔で、大きなジョッキのビールをこくこくと飲んでいく。その小さな身体でセンパイはとてもよく呑む。いまはビール三杯目。まだまだ余裕そう。
     食事量はあたしとそう変わらないけど、酔ってるところはみたことないからお酒に強いんだろうな。とは思う。
    「幼なじみなのよ、相手とは。それでちょっと自分の好きなことに一生懸命っていうか夢中になると色んなことをおろそかにするから、あなたにしているみたいについついお節介焼いてるうちに、そういうことになったっていうか」
    「えー、漫画みたーい。幼なじみでそこまでいけるのもすごいですね」
     でもそれって恋愛なのかな。
     余計なお世話だろうけどついつい考えてしまう。
     親友の元彼は彼女を家政婦扱いしてたし、センパイのことそんな風に扱ってるようなら天誅をお見舞いしたいところではある。だってこの人、しっかり頼られると無理矢理頑張っちゃうみたいなところあるし。っていうのは、三年目にして気づけたところ。
    「どうなのかしらね。昔はなんていうか、私の片想いだろうとか、相手からの恋愛感情はないんだろうとか思ったりもしたんだけど、なんだかんだいま幸せだからいいのよ」
     あたしにはみえないなにかを噛みしめるように、ほっぺたをアルコールでないもので染めて微笑むセンパイの笑みに、頭をよぎった悪い予感はするりとどこかへ吹っ飛んでいった。
     きっと今日までいろんなことがあって、そういうの全部ゆっくり時間をかけて解消していったんだろう。そんな歴史がうっすらみえた気持ちになった。
     実際はわかんないけど。
    「エー。でももし泣かされたりしたら言ってくださいね。あたしそいつぶん殴りにいきます」
     最初は優しかったのに、生活を共にしたらとんだモラハラクソ野郎でしたなんて話も聞くし。
     でもセンパイが世話焼いてた幼なじみ相手に性格を見誤るってこともなさそうか。うん。ああいうのって見た目に騙されたとか、身内認定されたら変わるとかいうけど。
     と、最近泣いて愚痴ってた友達の話を思い出す。
    「いいわよ。万が一そうなったら、しょうもない男よりも可愛い後輩の手の方が大事だもの。それに、泣かされる前に自分で文句言うわ」
     なんだろうな、絶対そうはならないって顔で先輩が笑う。
     こくりと惰性で呑み込んだ枝豆の破片と一緒に、なにかが腑に落ちた気がして一気におかしくなってあたしはついつい声を立てて笑ってしまった。
     そうだ。
     尊敬してるけど、同性としては小さくて可愛い外見の宮原センパイはあたしをかばうようにいつだって上司との間に立って、理不尽要求は真っ向から突っぱねてくれているような人だ。お礼を言えば、いつか出来るあなたの後輩にも同じようにしてあげて。なんて、まだちょっと上司への怒りを残したような怒り顔で言ってくれる人。
    「でもそうね、殴ってもらわなくてもいいけど、こうしてまたお酒を飲んで欲しいわ。愚痴をたっぷり話したり、そういう経験ってないのよね」
    「……え、ずっと愚痴らずに来たんですか? すごくないです?」
    「あー、違うの。さん……えーと、その、恋人……あ、彼、とはね? 付き合い長くて私が結構長いこと片想いをしていて、付き合いだしたのはお互い社会人になってからなんだけど、私の方に自信がなくって、一人でぐるぐる悩んだり空回ったりしていた時期が、その、あって」
     もじもじと指先をテーブルの上で組んだり外したりしながら、視線をうろつかせてセンパイが言いづらそうに話すのを、あたしはなんというか感動すら覚えながら眺めていた。恋人とか彼氏とかそういうワードを口にする度照れてるの、なんていうか可愛いなって。
     そこらのあざとい女が言ってたらお呼びじゃないけど、センパイはどっちかというと慣れてなくて恥ずかしいっていうのが全面に出てて、年上の女の人だけど恋する女の子って感じがして可愛い。
    「相手もね、なんていうかそこまで私のことを好きじゃないだろうって思ってたから」
    「……実際は?」
     返事はなかった。でも、お酒では変わらない顔色がトマトみたいになったのが答えだろう。
    「ええええ、やだー。センパイかっわいいいいい。あたしもそんな可愛い恋してみたいなあ」
     前のカレシと別れてから一年と半年、仕事と俺どっちが大事なんだよなんてことを言うしょうもない男だった。そんなもん今この瞬間まではどっちも大事だったわ! と、怒鳴ったのが懐かしい。
     自分の恋愛遍歴をたどれば人数はそれなりにいるけど、いまフリーな辺りに失敗の積み重ねってことだよなって気づいたのが最近で。SNSで男切れません! ずっとモテ期! そのための方法教えますハート。とか宣ってる自称オンナのアカウントは、つまりそういうことよなって。
    「お互いを大事にし合える関係で、それがずっと続くのって理想ですよねー。昔は顔さえ良ければなんでもよかったけど」
     なんていうの、顔で好きになったアイドル目当てに見てたドラマの再放送。懐かしくて見返してたら主役張ってる当時の推しよりも、三枚目で周りを気遣って貧乏くじひいちゃうタイプを好きになっちゃう。みたいな。
     有名人とかが学生時代からの恋人と結婚しました。って聞くと、めちゃくちゃ好感度上がるやつ。
     センパイのコイバナもっと欲しかったけど、そんなに話すようなことはないって断られてしまい、拗ねた気持ちで残りのビールを飲み干しつつふと視線をテレビへ向けた。
     流れていたのがスポーツニュースだったからかスポーツドリンクのCMがやっていて、ああ、これ知ってる。色んなスポーツ選手が出てるってことでSNSでちょっと話題になってたっけ。
     あたしは全然詳しくないから名前聞いてもふーんって感じだったけど、野球選手、サッカー選手、あとなんだったかな。相撲とレスリング、競艇、それから――。
    「自転車もプロとかあるんだ」
     ちょうどいまやっていたのは、細くて白い自転車に乗った青い髪のアホ毛が妙に印象に残るイケメンのものだった。あたしの好みとは外れてるけど可愛い顔をしているな。うん。
     なんて思ってセンパイを見遣れば、めっちゃ目を見開いてテレビを凝視していた。
    「……せんぱい?」
    「あ、いえ、その、ななななんでもないわ」
     仕事であたしのやばいミスが発覚したときだって、ここまで狼狽えてるところはみたことないんだけど?
     そのくらいセンパイの様子がおかしい。
    「ええええっと、今日はそろそろお開きにしましょうか。週末ゆっくり休んで来週また仕事頑張りましょう」
     めちゃくちゃ早口にテーブルの上を片付けだしたセンパイに、まあ、そろそろ出る頃合いだとはあたしも思ってましたけど。とは思う。でもちょっとだけ理由を聞きたい気持ちもあったり。
     出された食べ物はきちんと食べる。
     そう公言してるセンパイはお皿に乗った食べ物を高速で口へと運び、わたわたした様子で伝票を手に取った。
     お会計はきっちり折半。一緒にご飯を何度も食べたいから、片方にだけ負担のかかるやり方はやめましょうね。それがあたしたちの取り決めなんだけど、なのにセンパイはちょっとカクカクした動きでひとり会計を済ませようとして、盛大に小銭をぶちまけてしまっていた。
     酔ってたわけでもなさそうなのに、一体どうしてしまったというのか。
     慌てて駆けよって小銭を拾いつつ会計もきっちりではないにせよ、ほぼほぼ折半ですませて、さすがにこんなセンパイをひとり帰すわけにはいかないと使命感に燃えた。
     大事で大好きなセンパイが、週明けケガなんてしていたらきっとあたしは後悔するだろう。
     心配そうな女将さんの目線を受けずとも、駅と言わず家まで送るつもりであたしは足下のおぼつかないセンパイを支えつつ馴染みの居酒屋を出た。
     駅からほんの数分離れただけの裏路地の飲み屋街はまだこれから飲むぞと言わんばかりの、スーツ姿のおじさんとか大学生くらいのグループとかが楽しげに前を横切っていく。
    「センパイ、どっかで水飲んでちょっと休憩します? 歩けないようならタクシーつかまえますけど」
     週末とはいえ駅前にいればタクシーくらいつかまるだろう。思って声をかければ、とんでもないとでも言うように首を振られる。
    「酔ってるわけじゃないから大丈夫よ。思いもよらないところで思いもよらないものをみて、びっくりしただけなの」
    「それでも心配ですよ。あたし、今日は絶対に引きま」
    「――すずちゃん」
     酔っ払いの雑多な喧噪の中で、よく通る柔らかい声が耳に届いて思わずそっちへ目線を向けてしまった。
     その先に見知らぬ男がいた。
     高いとも低いとも言い難い背丈の細身の男、キャップを目深にかぶっているから人相はわかりにくいけど、多分若い。ラフな私服姿の見知らぬ男はこっちを真っ直ぐにみていた。
     ――ナンパ?
     知り合いみたいな顔で声かけて、人違いだったらそこから話を広げるタイプなのかもしれない。若干酔いの回った頭でもセンパイはあたしが守るという意思だけは固く男の動向を見守っていたら、センパイがあたしの前に進み出た。
     そうだった、この人は小さな身体で後輩は守るって言ってくれる最高ナイスなセンパイなんだった。
     ふらふらした足取りのセンパイが危なっかしくて、後ろから支えようと手を伸ばしたけれど、センパイの小さな手をあたしよりも先に目の前の男が捕まえた。
    「っ、ちょ」
     センパイに触ンな!
     咄嗟に声を上げそうになったあたしをとどめたのは、その手をセンパイがなんの迷いもなく握り返したからだ。
    「なんでここにいるのよ!」
    「えー、遠征から帰ってきたら家にいないし、メッセージに既読つかないからお気に入りの後輩さんとご飯ついでに飲みにいってるのかなーって」
     大正解でしょ?
     そう笑った男はセンパイにとても親しげで、って、あれ、もしかしてこの人。
    「宮原センパイの、彼氏さん、とかですか?」
     思わず声をかければ、人なつこい笑みがあたしをみた。
    「うん、はじめまして。いつもすずちゃんがお世話になってます」
    「あ、いえ、お世話になってるのはこっちの方なんで」
     うわ、よく見るとイケメンだ。
     センパイたまに営業の人とかにナンパされてるけど、意に介するどころかそういう意図すらスルーしてたけど、カレシこんなイケメンならお呼びじゃないわ。うん。顔で選んだわけでもないんだろうけど。
    「でも、彼氏さん来てくれてよかったです。センパイ途中からちょっと様子がおかしくて、家まで送っていこうと思ってたんで」
    「え、大丈夫?」
     あたしの言葉を受けてセンパイを覗き込む彼氏さん。を、センパイが手で押しのけた。あっ、この絵面しってる。飼い猫に顔を寄せて嫌がられて顔面猫パンチされるやつ。
    「平気よ、酔ったわけじゃないし。というか、あんまり遅くなったら彼女が心配だから早く帰りましょう」
    「あ、大丈夫です。実はこの後ここ最寄りの友達の家に寄ることになってるんで」
     はいと小さく挙手をして駅と真逆の方を指せば、センパイがめちゃくちゃ胡乱な顔をした。まあ、そうです。嘘です。本当に友達はいるけどね。
     でもさー、センパイきっとあたしが近くにいたら彼氏さんに甘えたりとか出来なさそうじゃん? 駅で解散するけどそこまでの道中、なんとも言えない顔でもだもださせるのも申し訳ないし。
     なにせあたしも社会人三年生、そのくらいは空気読みます。
    「なので、今日はここで解散ってことで。また月曜日によろしくお願いしまーす」
     本当に大丈夫なのかと問う目線に笑顔で返してやれば、察してくれたらしい彼氏さんがセンパイを促してくれる。実際酔ってなくても挙動不審だったことに理由があるんだろうし、あたしに言えずとも彼氏さんになら話したり解決の協力を申し出たりもするんだろう。
     ちょっと悔しさはあるけど。
     可愛い後輩はその辺りわきまえてるので、ちゃんと役割をゆずりますとも。
     心配そうにあたしを見遣るセンパイと彼氏さんに笑顔で手を振って、振り返されて、ひとまず近くのコンビニにでも寄ろうかと周囲を見渡す。たしかこっちにある焼き鳥屋さんの裏手に、お気に入りにコンビニチェーンがあったはず。
    「んー。でもあの彼氏さん、どっかで会ったことあるような?」
     下手なナンパみたいだなって思ったので飲み込んだけど、でもまあ、どっかですれ違ったとかかもしれないな。好み判定から逸れるけどイケメンだったし、ちょっと目線を奪われるくらいはするだろう。
     納得したあたしは月曜の休憩時間でセンパイにまたコイバナを振ろうと決めて、コンビニで明日の朝ご飯にするパンを買って出た。
     帰りの方向は違うから駅で鉢合わせることもないだろうと駅に向かって、ホーム越しに見慣れた小柄な背中をみつけてひっそりと盗み見をする。
     センパイと彼氏さんは手を繋ぎあっていて、寄り添って立っている辺りらぶらぶなんだろうな。羨ましい。そんな気持ちと、センパイをしあわせにしないと容赦はせんぞという気持ちで眺めていたら、こちらの電車がホームに入ってくる。
     電車の窓ガラス越しに先輩たちが何やら話しているのを見送って、自分以外誰も乗っていない車両を独り占めだとばかりに進んでいたら、ふと目の前の電車内広告が目に入ってきた。
     あれだ、さっき居酒屋でみたスポーツドリンクのやつ。
     そして、窓越し、センパイと電車に乗り込んだイケメン彼氏さん。
    「っあーーーーーーーーーーーーーーっ」
     車内に響く大声は発車する電車の音でかき消えた。と、思いたい。誰も周りにいなくてよかった。ありがとう。ありがとう。
     いやそうじゃない! 彼氏さん、見たことあるもなにも居酒屋でみた飲料水広告の自転車の人だった! 嘘でしょ!
    「……センパイ、だから挙動不審だったんだ」
     そうだとすればなんか腑に落ちる。
     えーーー。
    「どうしよっかな。あんまりミーハーみたいなこと言いたくないし、そこは気づかなかったふりでいこっかな」
     でも、ちょっと調べたりしてもいいかもしれない。
     万一よくないすっぱ抜かれ方とかするようなら、センパイを慰めたり愚痴を聞いたりしたいし。普通のコイバナも聞きたいけど。うん。
     酔っ払い特有のあっちこっちに逸れる思考のまま、座ることも忘れたあたしは誰もいない車内でドア傍のつかまり棒にしがみついてひとりブツブツと作戦を練る。
     でも、あれだ。
     電車に乗り込むときにみえた二人は、なんというか幸せそうなありふれた恋人同士にみえたので、やっぱり聞くならのろけがいいなと思う。
     幼なじみだって言うし、恋に変わったきっかけはなんですかとか、やっぱりその辺りからかな。
     そうと決まれば、月曜ランチのお誘いメッセージを後からしておこう。
    「あーでも、変装のためかもだけどBESTBOYって書いてるキャップはないな。ないわ」
     うんうん頷いていたら段々と楽しくなってきて、車内に誰もいないのをいいことに独り言を漏らしていたあたしは、ひとりニヘニヘと笑ってから真っ暗な夜を映す窓ガラスに我に返る。
     明るい車内は案外と外から丸見えだもの。と、表情を引き締めるものの、大好きなセンパイの会社とは違う素の表情を思い出してしまえば、やっぱり頬が緩んでしまうのだった。
     


    END
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    ktgn_pdl

    DOODLE2017年1月にあったペダル女子プチの記念アンソロさんに寄稿した
    やつです。
    まなんちょ坂綾今幹(女子からの片想い程度や香る程度の)要素があります。

    女の子のプチオンリーが嬉しくて嬉しくて大喜びで女子たくさん書くぞと意気込んだ記憶があります。
    ペダル十年くらい早めにアニメ化してたらアニメオリジナルで女子回とかやってくれそうだなってふと思いました。
     年が明けて間もない冬休みのある日、両親とともに親戚の家へ挨拶にやってきたもののすぐに大人たちはお酒を飲み交わし騒ぐことに夢中になってしまい、手持ち無沙汰にな宮原はなんとはなしに出かけた散歩の途中ぴたりとその足を止めた。
    「サイクルショップ……」
     木製の看板が可愛らしいそのお店は住宅地の中にあってあまり大きくはないけれど、展示されている自転車は彼女の幼なじみが乗っているものとよく似たデザインだったので。
     思わず覗き込めば自転車乗りと思しき人と、店員さんらしき人が談笑しているようで雰囲気も悪くなかった。
    「……」
     ちょっとだけ、入ってみようかしら。
     心の内で呟いてみる。
     べっ、別に他意はないけど? お年玉もらったばっかりで懐暖かいし? 二学期の終業式に先生からこの調子で行けば進学出来るって言われたからお祝いっていうかご褒美っていうか。
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    ktgn_pdl

    DOODLE真波くんは一揉みもしてません!!!!!
    タイムアタックだったので推敲してないので色々だめかもしれない。実質ワンライみたいなものですよろしくお願いします。
    ひっどいタイトルと中身の差がすごいし色々二人の会話を思い出したくて2年時IH決勝のふたりのやり取り読み返してたらどんどん趣旨がそれました!
    高校三年生の付き合ってる時空まなんちょです。
    いいおっぱいの日に乗っかりたかったけど乗れなかった「委員長ー、ねえ、委員長ーー」
     帰宅して宿題をこなし、愛鳥がもう休むので籠に大きめな布をかけてやったタイミングで、外からそんな声が聞こえてきた。
     誰かなんて聞かなくてもわかるけれど、隣家の窓越しに呼ばれているにしては大分近い声に、まさかとカーテンを開けばガラスのすぐ外に幼なじみの姿があった。
    「ちょっと窓から出入りするのやめなさいって前から言ってるじゃない。落ちたらどうすんのよ!」
     からりと引き戸を開けてやれば、全然反省していない笑顔がごめーんと言う。
    「今日がいいおっぱいの日だって聞いたら、委員長に会わなきゃって思って」
    「……?」
     一瞬真波がなにを言っているのかわからなくて、宮原は沈黙する。
     聞き間違いかもしれない。
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