ひゅ「おまえさ、最近冷蔵庫の物に名前書くようになったじゃん?」
「それが何だ」
事後のピロートークの甘い気怠さを含んで、迅が隣に座るヒュースの髪を撫でる。ベッドに腰掛け水を飲んでいたヒュースが眉を顰め、触るなと言わんばかりにその手を払った。先程までの甘さはどこへいったのか。困ったように迅がため息をつき、ちょっとくらいいいじゃんかと口を尖らせる。
「ひらがな書けるようになったんだな」
最近ヒュースは自分の持ち物、主に食べ物に「ひゅ」と名前を書くようになった。冷蔵庫を開けると食べるなと言わんばかりに大きく主張する「ひゅ」の文字に「ヒュ」じゃないんだと思わず苦笑したのも最近の出来事の一つ。何はともあれ、こちらの世界に馴染んでくれているのは微笑ましい。本人は不本意だと怒るだろうが。
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