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    nana0123co

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    nana0123co

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    アシュルクウエブオンリー開催ありがとうございます
    夏なので怪談と思ったけど怖くない話です
    レイズ時空で二人は仲良しです

    夏だけど怖くない話「それで、なんでお前はここにいるんだ」
    「え、だってアッシュが怖がってるんじゃないかと思って?」
     そう言ったルークをアッシュがひと睨みすると、ルークはいたずらに失敗したように小さく肩をすくめた。
    「俺が話してるのにアッシュ表情何にも変わんないからどうだったのかなって、怖かったのかどう思ったかもわからないじゃん」
     ルークは勝手に持ち込んだチーグルのぬいぐるみを胸に抱きしめながら不満げな顔でアッシュを見ている。
     そうだ、持ち込んだのはそのぬいぐるみだけではない。ルークの周りにはアッシュのものでない荷物が散乱している。けれどもここはアッシュの部屋なのである。しばらく調査のために滞在しているため1人でコテージを借りていたのになぜかルークに押しかけられている。
     ルークは自分の部屋のように椅子を引っ張り出してアッシュに向かうように座って足をぶらぶらとさせている。
     保護者はどうしたと聞けばアッシュがいるだろ? と不思議な顔をされた。アッシュは保護者のつもりなどなかったが本当に一人で来たのなら捕獲しておけば誰か迎えに来るだろう。……来るよな? 最近ルークもほかに同年代の友だちができたり交友関係も行動範囲も広がって以前より自由にしているし、いつでも連絡が取れるのでこうやってアッシュのところに突然一人で現れるのも今回が初めてでもなかった。
     アッシュが依頼を受けてここに来たことを漏らしたやつがいるのだろう。特に隠しているわけではなかったが出かけると告げてもいなかった。
     なのにこうやってルークがここにいるということは保護者たちもルークの行方を知っている。すなわち迎えに来ない可能性が高い。
     仕方がない、アッシュがそう思って諦めるのも織り込み済みで。
     違う世界に具現化されて、思ってもみなかった未来を手に入れて、まだ戸惑いしかないけれども、もう完全に順応したようなルークを見ていたら、アッシュがこだわっていた事など何だったのかどうでもいいかと思うときもある。こういうときは役に立つ奴だなと思わないでもなかった。
     アッシュとルーク、二人いてちょうどいいくらいなのだろう。
     だが、ルークの面倒を今一身に見るということは別の問題である。
     アッシュの今いるここは海と白い海岸が売りの観光地であるが、ここ最近に夜中に不審な音か声がするらしく、めっきり客が減ってしまったらしい。依頼のあったアッシュは1人で来たつもりだったが置いていくなよとルークがあとから付いてきた。「1人で海に遊びに行くなんてずるい」らしいが遊びに来たわけではないのをわかっているのだろうか。
     そんなルークだがさっきまでアッシュをよそに地元の子どもと海遊び(調査らしい)をして、どこかで話を聞いてきたのだろう地元の伝説の「海から来る恐ろしいもの」の話を聞いて、何か怖くなったのだろういそいそと帰ってきたところであった。
     アッシュ聞いた? こんな話、から始まる明らかに誇張と無駄に恐怖を煽る伝承らしい怪談を語るルークをみれば、よっぽどそれを伝えた者が上手かったのだろう怖かったんだろうなと言わなくてもわかった。ここから窓越しに夜の海が見えるものだから尚更だ。
     そして同じ調査をしているアッシュも勿論その話は聞いていた。怖いものが魔物なのか人なのかわからないが、その音が海からすると急に嵐が起きて人が消えるらしい。そうならないために音がしたらそれが止むまで供物を捧げるらしいとかそれはよそ者の旅人を捧げたことも! とか伝承によくあるパターンだった。依頼にあったのも不審な音がということだったので、この昔話のような伝承のような話はこのあたりでいろんなパターンで聞いた。
    「魔物や盗賊だったらさ、討伐しちゃえば解決するけど、何かの怨霊とか形のなさそうなよくわからないのってほら、窓閉めてても入って来そ……っ」
     といっている間に風が吹いて窓がガタンと揺れた瞬間ルークが言葉を詰まらせてすがるような目をアッシュに向けた。怖かったんだな。
    「それで1人が怖かったから俺のところに来たと」
     そうだろうと思うのだがルークは素直にうなづかない。
    「いや、もともとアッシュが海に行って一人でコテージ借りてるって聞いてたから、部屋余ってるだろ?」
     やはりリークしたのはもともとのアッシュの情報源か。ルークに話を漏らしたのではなく送り込んだまでの疑惑が湧いてくる。アッシュに普通にルークと一緒に調査に行ってきなさいと言っても素直にはいと言わないと思われている。……そうかもしれないが。
    「今は客がほとんどいないらしいから向こうの宿でも空いてるだろ」
     わかっているけれどもルークが素直に言わないのでちょっとした意趣返しだったのに、ルークは慌てたように首を振った。
    「やっぱりそうじゃなくって、海から来る恐ろしいものの話だよ! 調査するなら二人がいいだろ? ほら、今でもなんか外から音がするような……」
     外から今は特に音がしたりはしなかったが、ルークはどうにかここにいたいことはわかった。やけに熱心に怖いものアピールしてくるのだからそうなのだろう。
    「なんだ、おばけなんて信じてるのか」
    「おばけとか言ってないだろ正体わからないとしか! 怖いこと言うなよ!」
     そういいながら窓を背に椅子に座ったままチーグルぬいぐるみを抱きしめているのだから察しである。
    「まあ、この世界のことはまだ良くわかってないんだから存在のよくわからないのもいるかもな」
    「お前さっきおばけなんていないって言ったじゃん、言ってることは貫けよ!」
     観測できてないものはいない派であるアッシュだから、なぜ怒られないかいけないのかわからないが、ルークの言うことも一理ある。
    「いないなんて言ってない、信じてないって言っただけだ」
     一緒じゃねえかとつぶやきながら外を気にするのでアッシュは黙ってカーテンを閉めた。見えないだけでも多少はマシだろう。
    「おばけなんてものが存在したら、レプリカでも魂はフォミクリーで作ったものでないなら消えずに残るものがあったのかと思っただけだ」
     だからきっと魂だけなんて存在しないのだ。全て、消えて、しまう運命だったのだから。
     記録だけでは存在ではない、それを人として存在させる魂は残らない。
     そう思ってきたから。
    「……」
     ルークはぎゅっとぬいぐるみを抱きしめたまま。小さくうんと呟いた。
     また窓がガタンと揺れて音を立てたがルークが反応している様子はなかった。
    「……俺はもう消える予定ないし」
     小さな声はアッシュにぎりぎり届くくらい。アッシュの一言がただ、ルークに本当に怖かったことを思い出させてしまっただけだったのか。アッシュにも覚えのあるその感情を理解している。だから別に最初から突き放すつもりなんてなかった。
    「怖いならちゃんと言え」
     別に慰めてやるつもりはないけれど今はそばに居ることは出来るのだから。
     どんなことでも、言える体が今はあるのだから。
    「そうだな、色々ちょっと怖かったけど……アッシュがいてくれるから、今はあんまり怖くないかも」
     おばけなんてほんとにいないかもしれないし、そう呟いたルークの声でアッシュはふと思い出した。
    「待てよ、この世界なら具現化できるということは魂のようなものは残りそうだな。……としたら体無しでも祟るやつくらいいるだろう……か」
    「ああ! 前言撤回! なんか怖い! 敵は体のあるやつでお願いします! それでアッシュ! もっと近く行っていい? やっぱり得体のしれないものは怖いし!」
     そういいながら、近づいてくるルークの顔は思ったより怖そうでもなかったので、まずはぬいぐるみを置いてこいとアッシュはため息を付いた。
    「なんで」
    「間にそんなものあったら邪魔だろ」
     怖いなんて口実でルークは最初からただアッシュに構いたいだけのようだったからアッシュは仕方なくルークを手招きした。


     
     ※問題解決してないけど問題のあるところにルークを一人で行かせるような保護者たちではないので大した事ないもののはず(書ききれなかった)

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    Replies from the creator

    nana0123co

    PAST過去本の再録
    pixivにもある「ルークが剣になってかえってきた話」はこの前の話ですが、話を書いた順番はこっちが先です。中身はED後ルークが剣になって帰ってきた話(そのまま)です
    この時系列っぽいxxx年後の話が「音の記憶」(pixiv再録済み)です
    音の記録 はるか昔に記された預言のとおり、聖なる焔の光はこのオールドラントに生れ落ちた。
    預言に記された聖なる焔の光は一人、けれどもう一人の聖なる焔の光が人の手よってこの世に現れたのは預言にも記されていないことだった。二人の聖なる焔の光は同じ時間を生き、そして二人が最後にたどり着いた場所で、その同位体でもあるローレライが音譜帯へと駆け上るその中で二人はオールドラントから姿を消した。
     けれど。
     契約の歌に導かれるようにして再び地上に現れたのはたった一人の姿だった。
    「それがさ、あるべき姿だったって思わねぇ? だってもともと預言に詠まれていたのはアッシュだし、普通に考えるならどれだけアッシュのレプリカを作ってもそれはアッシュ自身にはならないんだし、だとすれば、もともとこの世に「聖なる焔の光」ってのはアッシュただ一人ってことじゃん。途中でルークを二人にするからややこしくなるんだよ。もともとルークは一人。一にゼロ足したってひいたって一。一人なんだよ。だから、あの夜何かよく分からない間に生還してたのはアッシュ、お前でいいんだって」
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    nana0123co

    PAST過去本から
    家出するルークと当たり前のように追いかけるアッシュの話
    (2011年8月)
    沈黙の破片 それはもうだいぶ前からルークの中にあった。
     こんな思いを抱いているなんて、誰にも気が付かれてはいけなかった。心の奥底にそっとしまって鍵を掛けて、誰にも、唯一ルークの心の中にまで足を踏み込むことの出来るアッシュであってもそれを見ることが出来ないように。
    「ごめん」
     小さく呟いたその先には誰もいなかった。
     ふわりと風に揺れた髪の間から緑の瞳がかすかに揺れる。そっと伏せられたそれが再び開いたその時には先ほどの陰りはどこにもなく、意思を持って歩き始めたその足取りはいつもと変わらぬルークのそれだった。
     はずだった。


     ルークがいなくなった。その知らせがバチカルへ届いたのはその日の夜のことだった。


     定期船の着く時間帯はその船から乗り降りする客ばかりでなく、その客を狙った辻馬車や行商人が港に現れていっそう騒がしくなるのはいつもの光景だった。船の上の揺れる足元から開放されたルークは、潮風の混じる外の空気を思いっきり吸い込むと、体をほぐすように大きく伸びをした。船は嫌いではないが、その性質上長時間波に揺られている上、定期船では個室などないから寝てやり過ごすという手段が取りにくいから普段より疲れた気分になる。それに、普段ならば他の乗客とたわいもない話をして気分を紛らわせれるが、今回は事情があってそれも出来ず、ちょっとだけ今の状況を悔やんだりした。
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