34 鍾魈囲んできた魔物は全て大したことはなかった。一体が持つ能力は高が知れている。ただ、群れを成しているため処理に時間がかかっていた。
それでも、容易い。この程度なんの問題もない。
魈は身体と一体となった槍を躊躇なく魔物に突き刺していく。空や鍾離も各自応戦し、残るは数体となった時。
「先生っ、後ろ!」
悲鳴じみた空の声が響き渡る。シールドは全員に張られていたが、数秒前に効果が切れている。魈は舌打ちして振り返ると、腰まで揺らしていた鍾離の髪が肩の高さで刻まれて、はらはら宙を舞っているのを目にした。
「大した敵ではないと思っていたが、まさかあのように背後を取られるとはな。少々油断していたか」
目的であった素材の収集も終わり、心配そうな空と別れた鍾離と魈は洞天の中にいた。愛用の茶器で淹れた鍾離特選の茶を飲みながら、魈な苦々しい顔をする。
1800