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    k_rinsei

    だめであれな成人済みふじょし。😈義炭にお熱です。

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    k_rinsei

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    おめがばーす義炭。発情期を迎えぎゆうさんを求めてさ迷う可愛いたんじろうのSSです。

    #義炭
    yiCharcoal
    #甘々
    sweet

    果実が甘く熟すまで、「…な…べく、ーー……から……」

    頭上から降る優しい声音に、炭治郎はゆっくりと目を開けた。
    こわい。じりじりと焼けつくような欲が身体の奥底でずっと燻っている。自分が自分じゃなくなりそうだ。身を焦がす程の熱が噴き出しそうなのに、目に膜が張っているせいか、視界がぼやけてよく見えない。真っ暗闇の空間にひとりぼっち、放り出されてしまったようで炭治郎の目には益々涙がたまってゆく。

    「…うっ、うー……」
    「大丈夫だ炭治郎。ここにいる」

    ぽろぽろと頬を伝う涙を指先で拭われた。視線をさ迷わせ手を伸ばすと、人影がゆらりと動いて炭治郎の手を取る。覚えのある温もりと香りに息をつくと、正面の彼もほっと表情を緩めた。

    「……ぎゆ、うしゃ」
    「炭治郎ごめん。なるべく早く、帰るから」

    よく見れば彼は仕事着だった。炭治郎の発情期が思っていたより早く来てしまったため行くに行けず、時間ぎりぎりまで傍にいてくれたのだ。

    「……いって、らっしゃい」

    抱きついて身ぐるみ剥いでしまいたい。衝動を我慢して炭治郎は懸命に言葉を紡いだ。義勇は心苦しそうに顔を歪めたあと、済まないと溢して家を出た。


    炭治郎は再度、目を開ける。きょろきょろと周囲を見渡すが、部屋はしんと静まり返っていて人の気配はない。

    「ぎゆうさん?」

    ぽつりと呟いて炭治郎はベッドを降りた。寝室の扉を開け、リビングに行く。義勇のシャツのみ羽織っただけで素足の今の格好では、フローリングは少し冷たい。しかも暖房もついていないため部屋は非常に寒かった。しかし炭治郎はまったく気にすることなく歩みを進める。ぺたぺたと可愛らしい足音を立てて、椅子に腰かけた。

    「ぎゆうさん」

    義勇がいつも食事の際の定位置に陣取り、机に突っ伏す。先日の彼の食事の様子を思い出して、炭治郎は言い様のない感覚に襲われた。身体の芯が痺れて、ぞくぞくする。繊細な指が箸を操って、食べ物を口に運ぶ動作。

    俺のことも、たべてほしい、なんて。

    「ぎゆ、うさん」

    思い出すだけでは満足出来ず、炭治郎は立ち上がった。ふたり並んでテレビを見たソファ。彼が使っているお茶碗、お箸。それだけでは足りない。ふらふらと覚束ない足取りで浴室へ向かう。目を向けたのはシャンプーとリンス。長髪の義勇のため、炭治郎が厳選したものだ。髪を乾かしてあげる時、一緒に寝る時に仄かに香るそれ。鮮明に甦って、炭治郎の頭は茹だるように暑くなった。手にとって泡立てる。鼻を近付けて嗅ぎ、胸いっぱいに吸い込んだ。抱き締められているような心地になるが、まだ、足りない。

    「……ぎゆうさんー……」

    手が泡まみれのまま、先程まで義勇といた寝室に戻る。義勇と過ごした痕跡はたくさんあるのに、満足できない。満たされない。感じれば感じるほど、からっぽになっていくように感じる。ぐすぐすと泣きじゃくりながら、炭治郎はクローゼットを開けた。手についた泡がふわふわと漂って、炭治郎の鼻をくすぐる。

    「……ぎゆうさん……、ぎゆう、さん……」

    ハンガーにかかっていた洋服を片っ端からはずして、ベッドに放り投げた。初めてのデートの時のもの、彼のお気に入り、炭治郎がプレゼントしたもの、冠婚葬祭様。どれでも構わず、義勇の洋服をありったけ積み重ねた。ちょっとした山になっているそれを見て、炭治郎は涙を散らしながら満足そうに微笑んだ。その中に、一気に飛び込む。

    「ぷはっ」

    洋服を撒き散らしながら、炭治郎は息を吐く。ここにいれば、彼を身近に感じられる。思い出よりも、かおりよりも、ずっとずっと。

    「……」

    義勇の服を抱えて、ぎゅっと抱き締める。皺だらけになるシャツを握りしめる自身の手を、炭治郎はじっと見つめた。数時間前、“これ”に触れた義勇の体温。ぼろぼろとまた炭治郎の瞳から大粒の涙が溢れ落ちる。手を繋ぐだけじゃ満足できない。炭治郎ってたくさんよんでほしい。四六時中離れずにいたい。ずっとずっと、くっついていたい。抱き締めてほしい。触れられた自分の手にすら嫉妬してしまいそうで、炭治郎はベッドに踞った。

    「ぎゆうさん」

    幾ら呼んでも返事はない。義勇の服に顔を埋めながら、しくしくと涙を溢す。

    「さみしいよ、」

    はやく、会いたい。
    彼を思い、何度も何度も名を呼ぶ。義勇の私物に囲まれながら、炭治郎は少しでも気を紛らわせるようゆっくりと瞳を閉じた。(了)
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    ゆき📚

    DONE【sngk】【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅱ
    続きました。現パロです。
    現世では感情豊かに生きていて欲しいという作者の願望がにじみ出ているのでキャラが崩れてる感あります。
    あとエレリと言っていながら今回はほぼハンジ&リヴァイがメインのような感じになってます。
    相変わらず諸々雑な感じですが
    大丈夫、どんなものでもどんとこい!な方よかったら読んでやってください
    【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅱ 「えぇッ!?エレンに会ったの?」
     某月某日、とある大手企業会社の一室にてリヴァイは大声を出した相手に睨むような視線を向けながら耳を塞ぐ仕草をしてみせた。
     「うるせぇぞハンジ、ボリューム落とせ」
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     「そうなの?え?え?話しかけた?彼リヴァイの事―」
     「覚えてなかった」
     ハンジが言い切る前にリヴァイはそう言うともう一度「覚えていなかった」
    9224

    ゆき📚

    DONE【sngk】【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅵ
    現パロエレリです。
    試される会社員、やっぱりテンパる会社員、若さと勢い!大学生!!
    そんな感じのお話です。いい加減いちゃいちゃ書きたいと思い最後のほうちょっとだけちゅっちゅしております。
    相変わらず諸々雑な感じですが
    大丈夫、どんなものでもどんとこい!な方よかったら読んでやってください
    【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅵ ゆるやかに街が暗くなれば反するように地上からそびえ建つ様々な人工物が人工的な明かりを灯していく。
     高層ビルの窓が不規則に四角く輝き、何かを宣伝するように緑と赤と青がびかびかと交代でリズムに合わせて光っているのが遠くに見える。
     リヴァイはそう言った人工的な明かりがあまり好きでは無かった。
     暗闇を照らす明るさは人間が発明した最高の科学のひとつだと思う。
     リヴァイはそんな事を考えながら空を見上げる。
     星が、見えねぇな
     心の中で呟きながら朝に見た天気予報を思い出す。今日は一日晴れ模様という事で確かに地下鉄まで歩く道すがらに見た空は小さな雲がいくつか浮かぶだけであとは青い色が広がっていた。
     そのまま夜になれば見る事ができるだろう星は
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