奇英少年と花城主の7日間(仮題)極細の銀糸が張り詰めているようであった。
それは大気を裂く一閃であり、烈風を巻き起こす斬撃だった。
権一真の目にすら剣戟が糸のように細く見えたのだから、常人にはきっと目に止めることもできないだろう。
これは謝憐であった。
謝憐が新設された太子殿の中庭で修練していたのだ。
奇英少年は彼を見ていた。瞬きもなく開眼し、木陰から太子を食い入るように見つめる。
このキラめかしい視線に気づかない太子殿下ではなく、熱視線を全身に浴びて彼は苦笑した。
「奇英、そんなところで見てないでこっちにおいで」
笑顔で手招きしてくれる太子殿下の元へ一真は駆けていく。
権一真は数歩で謝憐に向かっていき、そして、長い腕を振り上げた。
勢いよく振り下ろされるそれを謝憐は半身でさっと避けたが、当然に何事かとこの少年武神の顔を見た。
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