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    新(あらた)

    @ArataTsusima
    文章描いたり、お絵描きしたり。
    竜仁、たか仁を中心にツシマの仁さん受け書いてます。

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    新(あらた)

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    先の俳優パロ竜仁の続き。
    ラウ○ンで弾ける二人を書きたかった…。
    若い男の子同士って、かわいいわよね

    俳優パロ2「やあ、竜三」
    「帰れ」
    目の前の男を見た瞬間、俺はすぐに玄関の扉を閉めにかかる。
    しかし、相手も負けじとすぐに隙間に脚を入れ込み、扉を閉めさせないように応戦してくる。
    押し売り訪問販売か。
    「なぜ扉を閉めようとする?」
    「閉めるに決まってんだろ、足どけろ」
    「入れてくれるまで外さん」
    「こえーだろやめろ」
    ギリギリと続く攻防。
    お互いに声を張り上げたりはしないものの、絶対に譲らないといった様子で睨み合う。
    すると、仁の後ろをスッと隣室の住人が苦笑いしながら通りすぎていった。
    まずい、これは目立つかもしれない。
    「あーもう、わかったよ入れ」
    諦めて、大きく扉を開く。
    仁は我が意を得たとばかりに破顔し、玄関に入ってくる。
    俺はため息をつきながら、忠告した。
    「入る前に、ひとつ。そのデジカメの録画をやめろ」
    「……わかった、ちゃんと説明するから」
    家の中に入ると、仁は勝手知ったるなんとやらで小さなローテーブルの前に座った。
    座布団なんてうちにはない。
    それを仁もわかっているから座る場所は割りと適当だ。
    俺は冷蔵庫から麦茶を出し、マグカップに注ぐ。
    このマグカップは以前仁が置いていったものだ。
    愛らしい狐のキャラクターがプリントされたヤツで、俺の趣味ではない。
    そういえば以前、違うマグカップで茶を出したらあのマグカップは捨ててしまったのか?とやたら聞かれた。
    どのマグカップでも一緒だろ、と返したら俺はあの狐が良いんだ、何の為にわざわざ置いていったと思ってるんだ、とキャンキャンやかましかったので、あれ以来仁に何か出すときはきちんと狐のマグカップを使うようにしている。
    俺にしちゃ何で茶を飲もうが変わらんが、あいつはそうじゃないらしい。
    にしても、最近特に仁の私物が増えてきた気もする。
    1Kだからあんま物増やしたくねえんだけど。
    「ん」
    「おお、竜三。ありがとう」
    狐のマグカップに入れた麦茶を渡す。
    今の季節、外はかなり暑い。
    脱水になられては困る。
    遠慮無くグビグビと麦茶をのむ仁を横目に見ながら、俺は胡座をかいて座る。
    「で、お前さっきなんで動画撮ってたんだ?」
    「ああ、それなんだが……週末の昼にやってる番組の企画でな」
    話によると、その番組のコーナーのひとつにタレントが休日何をしてるか動画を撮ってくるというものがあり、仁は俺と過ごすことが多いからカメラ片手に現れた次第との事だ。
    んなの家で酒飲んでるとか、適当にでっち上げてりゃ良いのに、なんともまあ律儀というか……。
    「俺は嘘は吐きたくない」
    「そんで俺を巻き込むのか」
    「う……それは、……すまなかった」
    両膝を抱えて、落ち込んだ様子を見せる仁に、少しだけこちらの良心も少し痛む。
    いや、何で俺が罪悪感覚えてんだ。
    「……あー……家は、他の住人に迷惑がかかるからよ」
    「……」
    「……ほら、駅から少し離れたとこにボーリングとか色々出来るとこあるだろ。あそこ行かねえ?」
    何言ってんだ、俺。
    何妥協案出してんだよ。
    しかし、仁の表情はみるみるうちに明るくなり。
    「良いのか?」
    「……お前が金出せよ」
    「もちろんだ」
    まあ、俺だって顔出ししてる役者の端くれだ。
    家じゃなけりゃ良いか。
    そして、それから一時間もしないうちに現地に到着した。
    お金を払い、レンタルシューズのヒモをキッチリと縛り上げて、お互いに目配せをする。
    平日の昼、他の客は少ない。
    選び放題、遊び放題だ。
    このアミューズメント施設は、屋内だが体を動かす物が多い。
    俺たちは運動神経は良い方だから、持って来いだ。
    それに、お互いに勝負事は譲らない質。
    「本気でやるからな?」
    「俺たちの闘い、撮るからな」
    「ハッ、せいぜい負け戦を記録すれば良いさ」
    何だか気分も盛り上がってきた。
    「最初は?」
    「バッティングなんてどうだ?」
    「上等」



    バッティングから始まり、テニス、ミニボーリング等、軒並み挑戦していく。
    一進一退の攻防、途中でバブルサッカーなんて馬鹿馬鹿しいゲームもやった。
    トランポリンではお互いになまじ体力があるものだから、あまりのアクロバティックな動きに注目を浴びかける。
    アーチェリーは、配られた矢が歪んでいたのかまっすぐ飛ばず、お互いにボロボロの結果。
    ロデオマシーンに至っては、派手に吹き飛ばされる様子をお互いに爆笑しながら撮影した。
    起き上がれないくなるくらい笑ったのは、本当に久しぶりだった。
    二人で、ロデオマシーンの横で崩れ落ちて笑い続ける。
    「りゅ、竜三、楽しいな! ぶっ、はっ、ははっ!」
    「お、おま、ひっ、なんだよ、今の落ち方ぁッ…! ぐっふっ! だははっ!!」
    「おまえこそ、っさっ、さっきの! 顔面から!」
    「お、おめーよりゃ、ぶっ、はっマシ…! は、腹いてえ…!」
    笑い死ぬんじゃないかと思うくらいには、笑った。



    後日、撮影されたそれらの様子はお茶の間へと流れ、その日の呟きトレンド1位をかっさらっていった。
    普段見せないやんちゃぶり全開な仁の様子はファンにとって驚きだったようだし、一緒にバッチリ写っていた俺の事もネットで話題になっていたらしい。
    らしい、というのはその時の俺は家で寝てたから、実際どうだったのかをよく知らなかった。
    放送翌日の昼に稽古場に顔を出したら他のメンバーに「やっぱ仲良いんじゃん…」と呆れ顔で言われ、その時初めてその事実を知ったくらいだ。
    「お前のこんな顔、見たことねえわ」
    メンバーに見せられた動画に映る俺の顔は、自分でも見たことの無い表情をしていた。


    この事が切っ掛けで、テレビの仕事をするかどうかの判断を迫られることになるのはもう少し後の話。
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