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    オスブラ版深夜の創作一本勝負

    第23回
    【お題】・キラキラ

    第21回【お題】・雨降り・まつ毛
    と同じオスブラです
    単体でも読めます

    恋はこれから

    #オスブラ
    zebra

    ***

     キッズスペースで人探し中、不意に声をかけられた。
    「ブラッドさん、好きな人は誰?」
     長いブロンドの髪をゆらめかせながら見上げてくる瞳は真っ直ぐでその奥の深さは測りようがない。
     幼い彼女のそのキラキラと澄んだそれに深い意味はなさそうだが。
    「好きな人?」
     どういう意図かを問うために繰り返す。
    「オスカーさんに聞いたらブラッドさまだって言ってたの!」
     ひらりと舞った薄いスカートの生地。その後ろにいる少女もまた俺を見上げてくる。
    「ブラッドさんもそうだったら、そうしそうあいね!」
     嬉しそうに言う彼女達に微笑ましい気持ちになる。
    「難しい言葉を知っているのだな」
    「お姉ちゃんの本に書いてあったから」
    「そうか」
     知っていることを披露したいのだろう。
    「そうしそうあいは難しいのよね」
    「そうかもしれないな」
     本当に難しいことを言う。
    「でも素敵なことだって書いてあったわ!」
     くるくると視線が変わりながら再度俺を捉えて。
    「オスカーさんのこと好き?」
     と言う。
    「好き、か」
    「うん!」
    「・・・そうだな」
     彼女達の想定している言葉は単純だ。単純だが、だからこそある程度誠実な答えが必要だろうか。
     意味を。
    「・・・」
    沈黙は肯定と取られたのだろう。
    「オスカーさんに言ってあげてね!」
     そう言って彼女達は手を繋いで。
    「またね」
     と去っていく。
     おそらくは次に会った時には忘れているだろう話題だ。
    「好き、か」
     オスカーが問われて深い意味も考えず答えた様子が目に浮かぶ。
     笑い事ではない。
     笑い事ではないが、そうだろうな、などと思う自分も面映い。
     思いながら、そわり、と心のどこかが擦れるのがわかる。
     少しずつ、少しずつ刻み込むという鋭さではなく、擦られてそこから染み込んでくるような、染み出してくるような。
     それ、に手を当てて向き合わねばならないのではないかという感情を。
     そろそろ無視できないのかもしれないな、と思う。
     オスカーのそれと自分のそれの擦り合わせのような答え合わせのような。
     答えは、まだわからないのだ。
     それはあのキラキラとした瞳と向き合ったまま認識することは難しい。
     後ろめたいのだろうか。
     そしてそれは誰に対しての後ろめたさなのか。
     視線の先に子供に囲まれた探し人がいた。
     この後ろめたさを抱えたまま対峙したならば妙に勘のいい同期には見透かされそうだと思う程度には自分は動揺しているのかもしれないと思う。
    「ああ、ブラッド、探させてごめん」
     色々捕まっちゃって、と言いながら子供達に手を振るディノは。
    「ブラッドも聞かれた?好きな人」
     にこりと裏も表も無い顔で言う。
    「ああ」
     何と答えたのかを問われる前に仕事の話を切り出した。
     ディノの目の奥に、彼女達と同じ、というよりは少し似た色が見えたからかもしれなかった。
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    みぃ☆

    DONE2020→2021 甘々キスブラで始まります♡

    第8回キスブラワンライ「年の瀬」からお読みいただけると、より楽しめると思います!
    『3・2・1……Happy New Year!!』

    おめでとう。
    今年もよろしく!

    タワー内のあちらこちらで新年を祝う声が聞こえてくる。

    「夜勤をしている者もいるというのに……はしゃぎすぎだ」
    けしからんと言わんばかりに眉間に皺を寄せたブラッドも、今夜はグラス片手に談話室で皆の輪から外れたところに佇んでいる。
    先ほどまで、ジェイやリリーと新年の挨拶を交わしていたが、二人もセクターのメンバーや教官仲間たちの元へと戻り楽しそうに酒を酌み交わしていた。
    ブラッドはサウスメンバーと挨拶を交わした後、持て余し気味のグラスを片手に皆の輪から抜けたところだった。
    狭い会場の中心では、お祭り騒ぎの大好きなディノが、2021の形をした眼鏡をかけ、人々の間を楽しそうに歩き回っているのが見え、苦笑と共に小さなため息を尽いた。
    「まったく……明日、いやもう今日か。任務がある者もいるだろうに」
    そう零すブラッドの口元は緩いカーブを描き、言葉とは反対に穏やかな表情でパーティー会場を見つめていた。
    一人壁の花に扮するブラッドを気にするオスカーの視線を感じたが、今夜くらいはオスカーも楽しむべきだと、敢えてその視 3894