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軽やかなメッセージ通知音が鳴った。
『ブラッドさま、これはどうでしょうか』
同時に送られてくる写真。
『運動強度としては少し司令にはキツイのでは?』
内容を見て、俺は即座に返信する。
『そうですか』
少しおいて通知音。
『こちらでは?』
『トレーニング、という視点よりは体力強化に重点を置いてはどうだ?』
自分やルーキーとは違うと認識してはいるようだが、オスカーには一般的な女性が使うという視点に欠けているような気がする。
『なかなか難しいですね』
メッセージの文では困っている風だが、選ぶ楽しさを味わっているようにも感じる。
『店員にも相談してみるといい』
『そうしてみます。お忙しいところ、ありがとうございます』
そこからは通知音が鳴らなくなった。
司令の誕生日に健康器具を、とオスカーが選びに行くと聞き、別のものを勧めるべきかと一瞬思ったが、それは俺が決めることではないと止めた。
オスカーが選ぶ健康器具を司令は喜ぶだろう。
先ほどの感じからすれば、そこまで突飛なものは購入してこないはずだ。
誰かのために何かを選ぶ、ということ、それを喜んで受け取ってくれる誰かがいるという、オスカーの世界が広がっていくことを喜べる程度には。
俺にも余裕があるのだと考えるのも面映い。