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    あかきの小説

    @AkameganeS

    投稿するまででもないなぁ〜、でもせっかく書いたしなぁ〜BOXです。短編多し(当社比)

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    あかきの小説

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    リハン回避キョシキョシ夏五
    短いけどおめでとうーーーー!!!

    ##キョシキョシ

    大切な人 「任務が終わったら待ってて。迎えに行く?」

    そうメッセージが入ったのは、二十三時過ぎだった。迎えに行くって言ったって、ここは山道。街灯もなく、ただザワザワと蠢く木々と不気味なガードレールが急なカーブを象っている。
    何より傑が迎えに行くと宣言してくるのは、初めてだった。迎えに来る時は呼んでもないのに迎えに来る。何か話したいことでもあるんだろうかと頭を探るが、一向に出てくる気配はなかった。その間にかろうじて見えていた、一本の街灯の下まで辿り着く。
    辿り着くと同時に、遠くから車の音が聞こえると、僕の目の前でちょうど止まった。躊躇無く助手席に座ると、思い切りアクセルを踏み込んで急発進する。やけに力が入った運転だ。

    「よく分かったね、場所」
    「前々から伊地知に聞いてたんだ。悟こそ、任務が終わるのは日付変わったあとだって聞いてたんだけど」
    「調査の必要があると思ったら無かったんだよね」

    そんな他愛ない話を終えても、未だ山道は続いていた。車のエアコンが音を立てながら、温風を吐き出している。傑の横顔を見ると、ガタガタな道だから真剣そのものだが、カーブを曲がる度にゆらゆらと前髪が揺れていた。
    それでも車内は無音で、さっきから傑も何も喋ってくんない。何でわざわざ迎えに来たんだか。ただ標高は下がるどころか、上がっていく。
    やがて山頂に辿り着くと、遠くの方に街灯りがチラついていた。はぁっと息を吐くと真っ白で、後ろからマフラーをぶん投げてくる。

    「今日が何の日か覚えてる?」
    「え?あー、流星群でもあったっけ」
    「君の誕生日」
    「………?」
    「誕生日おめでとう」
    「…あ、」

    誕生日。そんなものあったか。そう言えば、任務の忙しさに終われて、学生時代は恒例だった誕生日会も、十年近くやってなかった。なんなら傑の誕生日も忘れている。
    暖を取る為か、背後からピタッとくっ付いてきて、二度目の「おめでとう」を言われる。

    「あり、がとう。忘れてた」
    「そうだと思った。私も忘れてた。…あとこれ。」

    そう言って、小さい花束を渡してきた。両手で持てるくらいの大きさだ。暗闇でよく見えないが、匂いはするので造花じゃなく、生花なのは分かる。
    そのまま声を埋めるように抱き着かれると、ぼそぼそと僕にしか聞こえない声で話しかけてきた。

    「今まで言ったことなかったんだけど、さ…」
    「うん」
    「君のこと、その…一番大切な、ひと、というか、…し、んゆう、だと思って、るんだけど、」
    「うん」
    「………」
    「終わり?」
    「…うん。」

    確かに今まで、面と向かって親友だなんて言われたことなかった。言ったこともないし。言うもんでもない気がする。
    たったそれだけ言って満足したのか、声にならない声を呻きながら、腕の力を強めている。わざわざ暗闇で背後に回ったのは、顔を見せたくなかったからか。そのせいで花の色すら分からないのだが。…相変わらず不器用な奴。
    マフラーを目元まで押し上げると、後ろに思い切り寄りかかる。

    「僕はずぅっと前から親友だと思ってたのに、傑は親友だと思ってなかったのね」
    「な、違っ、」
    「そう言えば何年か前に喧嘩して、そのままだったよねぇ。二度と関わりたくないって言ったの誰だっけ?」
    「………」
    「…ごめん。虐めすぎた」

    でも、傑から親友なんて言われたのは初めてだ。顔がにやけて仕方ない。友達とすら言われたことなかったのに。
    嬉しさに耐え切れなくなって振り向くと、押し倒すようにボンネットに両手を付けて、退路を奪う。驚いている傑に、そのまま頬に唇を当てると更に目を丸くする。

    「傑が言うの遅すぎて、親友じゃ足んないんだけど…今度は何年かかりそう?」
    「…五年?くらい?」
    「あはッ、そんなに遅いんじゃ、老けちゃう…」

    言いかけたところで顔をガッシリ掴まれると、しっかりと唇に唇が当たった。そこまでするつもりは無かったのに、傑が全く目を逸らさずに見つめてくるから動けない。本当は傑が反応してこなかったら、ただのおふざけで流そうと思っていたのに。これじゃあ、言い訳のしようがない。

    「ぁ、っあーあ…せっかく親友だったのに、親友じゃなくなっちゃった」
    「一番大切な人なのは変わらない」
    「ぁ」

    急に恥ずかしくなってきて、きゅぅっと萎むと、ぺしぺしと傑の背中を叩く。せっかく優位に立っていたのに、気がつくとこれだ。最初から同じことを思っていたのか、それとも単に切り替えが早いからか。
    最後にもう一度ぎゅぅっと抱き締めると、傑も迷いながら同じくらいの力で抱き締め返してくる。学生ぶりに心を通わせたようで、ぐりぐりと頭を擦り付ける。

    「プレゼントは大切な人?」
    「いや、ちゃんとプレゼントは別で用意してあるから。ここに来たのは言いたいことがあっただけ」
    「そこは大切な人って言ってよ」
    「じゃあ私の誕生日に、プレゼントは僕ってやって欲しい」
    「吹っ切れると早いよね。裸エプロンでやってやるよ」
    「服は着たままの方がいい」
    「めんどくさ」

    車に乗り込むと、来た時とは打って変わって自慢げに僕の方を見つめてくる。
    ようやく見えた花束は、季節外れの真っ赤な赤色の薔薇がゆらゆらと揺れていた。

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