ヤマ千 未来から来た大和くん髪を乾かしてリビングに戻ると、大和くんが居た。
数ヶ月前にもこんなことがあった。一通り家の中を案内してあげて、好きに使うように許可を出したのに、頑なに僕のテリトリーを侵さないよう慎重に動く彼は、同棲を始めた頃のモモくんに似ていて面白かった。当時の僕は作曲に、大和くんはグループについて、お互い精一杯だったから楽しめる雰囲気でもなかったけれど。
扉を開けたままにしているせいか、大和くんは僕に気づかず、キッチンで洗い物をしている。
家事をしている大和くんは珍しい。僕の前ではやってくれないから。彼らが住んでいる寮では家事分担をしているって、MCで言っていたような気がする。多分。
シンク下の引き出しから慣れた手付きで布巾を取り出すのを見たところで、風呂上がりの嗅覚がようやくバターの匂いに気がついた。
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