SSランクガンナー赤井×喫茶店マスターの魔王れーくん カランコロンとドアベルが軽やかに来客を知らせる。作り立てのサンドイッチをテーブルに運ぶと同時に、安室は「いらっしゃいませ」と笑顔で振り向いた。
町の片隅に小さな喫茶店を開いて二年。ありがたいことに常連さんが増えて、お昼時はひとりじゃ手が回らなくなってきた。手伝いを雇うことも考えたけれど、人に頼むより自分でやった方が早いと思ってしまう性格のせいで結局毎日大忙しの日々だ。生活の為ではなく半分以上が趣味というか、ある目的のために営んでいるのでまるで苦ではないのだけど。
「いつもので大丈夫ですか?」
「あぁ、頼むよ! なぁ安室さん聞いたか? ついに魔王討伐の命が国からギルドへ下ったってよ」
「……魔王討伐? それはまた、物騒な話ですね。でもどうして急に? もう何百年も被害は出ていないし、姿を見た者すらいないって言うのに」
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