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    maybe_MARRON

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    maybe_MARRON

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    左馬一
    襲い受の一郎は膝に乗っていきなりちゅーかましてほしいです

    vs誘惑 正面から伸びてきた指先が、咥えていた煙草を奪い取る。落としていた視線を上げれば、欲を携え揺らめく赤と翠にかち合った。膝の上に加わる重み。名前を呼ぶよりも先に、唇が奪われる。
    (おお……)
     随分とまあ、積極的になったものだ。最初は触れるだけのキスでも顔を真っ赤にしていたくせに、今となっては一丁前に自ら舌を突っ込んでくる。煙草の苦さで顔を顰めていたのが嘘のようだ。
     拙いなりに一生懸命動くそれは、普段されている動きを真似しているようだった。特に執拗に繰り返される箇所は、おそらく自分がされて気持ちのいいところなのだろう。冷静なままの頭が、その箇所を一つ一つインプットしていく。
    「ん……」
     頑なに閉ざされたままの瞳が、うっすらと色を取り戻す。ぱちりと視線が合えばギョッと瞳は見開かれ、その勢いで唇も離れていった。二人の間を繋いでいた糸がぷつんと切れる。
    「……なに、目、開けてんの。趣味わりぃ……」
     口では文句を言いながらもおずおずと裾から差し込まれた右手は、そのまま控えめに肌の上をなぞる。薄く開いた唇がどこに触れるのかと待っていれば、かぷりとピアスごと口に含まれた。ふっと声が漏れる。
    「くすぐってぇよ」
    「……」
     不服そうな一郎に、くつくつと笑いが込み上げる。
     構ってほしい一郎のアピールは、日に日にあからさまになっていた。視線だけで強請っていたのが、キスしてほしいと言葉になり、とうとう自らけしかけるまでに至ったのだ。どうしたって可愛いと思ってしまう。
     けれど要求はキスだけではない。その気にさせたくて必死なのが伝わってくる。もっとして、と強請ってくる。
     とはいえ、未成年相手にそれに応える予定はなかった。お互いわかっているくせに、今日もそんな甘い攻防が繰り広げられている。
    「……」
     再び重ねられた唇は、先程までよりも幾分か丁寧で。ちぅ、と可愛らしく食みながら、ゆっくりと首に腕を回された。
    「……さまときさん」
     吐息が重なる。真っ赤な舌が乞うように唇を舐める。
    「さまとき、さん」
     ゆらゆら誘う瞳と甘く響く声に、くらくらする。
     嫌なわけではない。だから今、その声で呼ばれると、弱い。
    「……せっかく我慢してやってんのによォ」
    「誰も我慢しろなんて頼んでねえっすよ」
    「…………チッ」
     下手くそな挑発にわざと乗って、後頭部を捕まえ唇を奪う。
    「ん、んんッ」
     舐めて、絡めて、吸って。
     息苦しそうに眉根を寄せながらも必死にしがみついてくる様に、ぞくりと何かが込み上げた。互いの息遣いと時折漏れ出る鼻にかかったような声を耳にしながらそのままソファに押し倒せば、まあるい瞳が驚きに揺れる。
    「……」
    「おい、最初の勢いはどうしたんだよ?」
    「…………うっせ」
     意地の悪い笑みを浮かべながら服の裾に手を差し入れ、腹筋を辿り心臓の上に右手を置く。期待と不安で高鳴るその音を、手のひら全部で感じた。しばらくそうした後に、最後の悪戯とばかりに小さな頂を軽く指先で弾いて、それから右手を抜いて晒されていた肌を再びパーカーで覆い隠した。戸惑い、何かを言いたげな唇を先に塞いで止める。
    「……お子ちゃまにはまだ早ぇんだよ」
     指の背でそっと頬を撫でる。不満そうな顔をしながらも、何も言ってこないのが答えだった。
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