COLORS 街を彩る赤と緑。ゴールド。シルバー。ブルー。
非日常のはずのちかちかとした光がいつの間にか景色に馴染む頃、ようやくクリスマス本番はやってくる。左馬刻はそんな浮かれたイベントで盛り上がるタイプではないのだが、最愛の妹に今年は何を贈ろうかと考えることだけは毎年それなりに楽しんでいた。
そして、今年はイヤリングをプレゼントすることにした。最近は女友達と遊ぶ時でさえ、まるでデートかのように粧し込むと知ったから。
サンタクロースが兄であることなどとうに知っているはずの彼女に、それでもやっぱり枕元に小箱を置きたいなんてことを思う。今晩もきっとテレビを見たり友達と電話したり、夜遅くまで起きているのだろう。さてどうしようかと考えながらイルミネーションが瞬く夜道を歩いていると、すぐ横から「あ」と小さな声がした。不審に思いちらりと視線だけを向け、思わずぴたりと足を止める。
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