闇の霧【闇の霧】
少年時代の煉獄杏寿郎の物語
夜の闇の中鎹鴉を追う杏寿郎 『急げ〜急ぎ現場へ向かえ〜』
草をかき分け進むと鬼の気配がする。
しかし闇がいつもより濃い。
『何か霧のようなモヤの様なものに更に黒い色がついている様だ』
杏寿郎は通常の人より夜目が効く。
新月の夜でも街灯の明かりがなくても野生動物並みに見ることができる。
しかしこの夜は違った。
あまり見えないのである。
しかし常人とはかけ離れた視力で目を凝らすと朧げに見えてきた。
なんだ?
森林の開けだ場所に隊士達が倒れている。
みんな背中に自らの刀を刺されていてそれがまるで墓標の様に見えた。
『どうしてこんな…』愕然とする。
不意に鬼が近くにいる気配で身を固くした杏寿郎。
2991