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    u_yasagi

    @u_yasagi

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    u_yasagi

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    アカデミー時代を80%捏造したアグ出逢いのお話。アッシュは何でグレイのこと好きなのかな~?って自問回答です。
    二人の間にはまだ何の柵もなく、グも消せない傷を負っていないため、二人とも若干性格が違うように思われるかもしれませんが本質は今も変わらないと思ってます。

    #アシュグレ
    ashGray

    タイトル未定 ニューミリオンにおいて『ヒーロー』になり得る人材を多数輩出する此処──アカデミーは、いわゆる名門校の一つに数えられる学校だ。だが、アカデミーに通う人間すべてがヒーローになれる訳ではない。そもそも、皆がみんな『ヒーロー』を目指している訳ではないのだ──。

    (──チッ! どいつもこいつも……クソみてぇな奴ばっかりだな)

     アカデミーに入学して最初に抱いた感想は"それ"だった。何より気に食わなかったのは、力も才能も──テメェの野望すら何も持っていないくだらねぇ奴らが、此処でのうのうとしていること……俺もまた、その内の一人なのだと勝手に決めつけられていることだった。

    『なぁ、アイツ……アッシュ・オルブライトだろ? どうせ親のコネで入学したに決まってる』
    『「親の七光り」ってヤツか……ダッセェ』
    『いいよなぁ~……財閥の御曹司なら「ヒーロー」になれなくたって将来安泰じゃね?』

     そういう不愉快な流言は、俺の耳にもはっきり届いていた。

    「──ハッ、だったらそれが真実かどうか……直接"俺"に確かめてみるんだな!」

     この俺が、周りのアホどもに『格の違い』ってヤツを力づくで知らしめてやったのは早々のこと……。何度目かの学力試験を終えた頃には誰も、俺様の実力が──知力・体力共に、だ──どうのとは言えなくなった。ざまぁみろ。
     "アイツ"を見つけたのは、そうやって周りの連中が漸く静かになったある日のことだ。

    「は、ぅわ……! お、オルブライト……くん?!」

     立ち寄った書店でバイクの専門誌を見繕っていたら、隣に居たやけに線の細い男から唐突に名を呼ばれた──よりにもよって、俺の嫌いなファミリーネームの方で。

    「あ"ぁ?! テメェ……誰だ?」
    「あ、えっと……ごめんなさい! アカデミーで一緒のクラスにいるんだけど……」

     そう言われてみれば……? 記憶の片隅に、その男の"特徴的な癖っ毛"が引っ掛かる。その間にも、目の前の男はおどおどした様子で「そうだよね……オルブライトくんが、僕みたいな影の薄い奴のことなんて覚えてる訳が……」とか何とかブツくさ言ってやがるが──俺は一言、その呼び方を訂正させた。

    「『アッシュ』──だ」
    「……え?」
    「俺のことを『オルブライト』とか呼ぶんじゃねぇ。フルネームで呼ばれた方がまだマシだ」
    「あ、あの……僕は、『グレイ』……です」

     ……その名前には、覚えがあった。学力試験の成績上位者──殊勝にも毎回この俺と競り合っている奴の名だ。「なるほど。お前が『グレイ・リヴァース』か……」と独り言ちると、男──グレイがハッとしたように顔を上げる。アカデミーにいる大抵の奴らは俺を無視するか敵視するかのどちらかしかいないため、こんな風に人と目を合わせることは久しい……意思が強そうなソイツの瞳の色は──

    (フッ、悪くねぇ……)

     少し気分が良くなった俺が珍しく会話を振ってやる。

    「まぁ、顔の方は覚えちゃいなかったがな……いつも学力試験の上位にはテメェも食い込んで来てるだろ?」
    「あ、いや、そんな……僕は、勉強を頑張ることくらいしか出来ないから……」
    「へぇ? 謙遜するのも良いが、それも過ぎるとお前……他の奴らに"食われる"ぞ?」
    「ひっ……なな、何……? く、『食われる』って?」

     困惑して顔を曇らせるグレイは、訳が分からないことを言う俺に対して怯えているようにも見えた。随分と"お上品"な野郎だ──思ったようには会話が続かず押し黙る。

    「…………」
    「──ア、アッ……シュは……何を見に来たの?」

     果敢にも再び口を開いたグレイに、俺は手にしていた雑誌の表紙を掲げ見せる。妙な奴に捕まったというか、俺が捕まえたというか……我知らず溜め息が出たが、グレイはそれに気づかなかったようにやや興奮して早口で紡いだ。

    「バ、バイク……! 好きなんだ……カッコいいもんね!」
    「まぁな……」
    「ぼ、僕も──」

     ──その言葉が俺自身に向けられたものではないことは当然、解っていた。けれどアイツが、まるで心から本当にそう思っているかのように──あまりにも柔らかな声音でそれを口にするから、俺は錯覚してしまったのだ。
     今になって思えば、あれは俺に対する呪いの言葉だったのだろう──

    『僕も好きだよ』
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    さわら

    DONEできてるやつ もともと一人きりで過ごしていた共用スペースでは、トレーニング終わりに暇だからと適当に流し始めたアクション映画をつけたまま。
     アッシュと同じくオフの日だからと自室に籠もってゲームばかりをやっていたはずの自堕落な男が珍しく隣にやってきたのが小一時間前のことになる。
     おかげで、肩を並べてとりたてて興味もない映画をだらだらと観るはめになった。
     グレイと交わした言葉でアッシュが覚えているのは、『……隣、いい?』『勝手にしろ』くらいなもので、その後二人の間には特に会話らしい会話もない。
     既に話は佳境に入っているような盛り上がりを見せているが、アッシュの頭には欠片も映画の内容など入ってはこない。というのも、全ては隣に座るグレイが悪いのだ。
     グレイは、普段はアッシュと顔を合わせないようにとそそくさと自室へと引き篭もってしまうような男である。自分の他に誰か居れば別であるが、基本的に彼はアッシュと自ら二人きりの空間に身を置くことを避ける。
     それは紆余曲折を経て、ずっと曖昧だった関係を所謂世間で言うところの恋人同士なるものに落ち着かせても変わらない。
     自分たちはヒーローである以上、本分がある 4452