「………フン。君が生き残ったンだ」
「…みたいだな」
ため息をつく。今回は俺たちの負けだ。メインコンソールに来た俺がグノーシアでないことはわかってくれたらしい。そして、それが意味することも。
「まぁ、どちらにせよ結果は変わらないけどね。僕も君も、いずれは消される」
「ああ」
「…僕に恨み言でも?」
「んなわけあるか」
今回のグノーシアはステラとシピ。そして、シピはラキオと協力関係にあった。ラキオはまんまとシピに騙されていたわけだ。ラキオだけでなく、今日消えたSQもグノーシアが誰か気づいていなかった。
「誰がグノーシアかは俺もわかってなかったよ」
「…だけど、君はシピを疑っていたじゃないか」
「シピが俺に疑いかけてきたからってだけだよ」
「…僕を馬鹿にしてるの?先に疑いをかけたのは君だろう?」
「…覚えてたか」
コメットからの報告があったから、というだけで俺自身が気づいていたわけではないのだが。流石に協力者に疑いをかけたのだからラキオが記憶違いを起こすわけがないか。
「ま、なんにせよお前のせいだなんて思ってないよ」
「………」
苦笑する俺に、ラキオが顔を歪める。その時。
「「!?」」
メインコンソール室の入り口が閉まった。
「なンだ!?」
「………まさか」
嫌な予感がする。ステラと一緒に、グノーシアとして勝利した時のことが頭をよぎった。
「…どういうこと?」
「ステラだよ。俺たちを閉じ込めたんだ」
「…閉じ込めた?なンの為に…」
「俺たちを無力化する為、だな」
駄目元で扉に近づいてみるが、ビクともしない。おそらくここの酸素濃度を下げて俺たちが抵抗出来ないようにしてから消すつもりのようだ。最初から抵抗なんてする気もないけど。
「いくらグノーシアって言っても、人を消すことが出来る以外は人間と変わりないから」
「………フン。知ったような口を聞くじゃないか」
不愉快そうに鼻を鳴らして、ラキオは中央テーブルにもたれ込んだ。それから、しばらくの間沈黙が流れた。
どれくらい時間が経っただろうか。
「っ…」
「…ラキオ!」
よろけたラキオを支える。とても苦しそうに息をしていた。
「……流石に…キツくなってきたな」
「………君は…平気、なの…?」
「お前よりは…」
ラキオと共にしゃがみ込む。俺も息が苦しくなってきた。
「っ…ぐ…」
辛そうに、俺の体に寄りかかってくる。おそらくもう数分もしないうちに、俺もラキオも意識を失うだろう。
「………」
「はぁっ…はぁっ…」
「…ラキオ、ちょっと」
「あ…?」
ラキオの顔を上向ける。そして、そのまま唇を重ねた。
「っ…!?」
ラキオが驚いて俺の服を掴む。
「ン、ンっ…!!」
無理矢理に舌を絡める。快楽で少しでも、酸欠の辛さが和らげばと思った。今までのループでラキオが弱いやり方は熟知している。
「ンっ…ァ……!」
甘い声を漏らしながら、徐々にラキオは俺に縋り付くような状況になっていた。俺の視界も少しずつ白んでいく。しばらくして口を離すと、そのままラキオは眠るように気を失った。
「………っ」
ラキオを抱きしめて床に転がる。俺ももう限界だった。そのまま、意識を手放した。
「……………」
「…ステラ?どうしたよ?」
「……ふふ…うふふふふふ」
「…!?」
「シェル様、ラキオ様……うふふふ…
私、楽しみです…うふふ…」