ぱきんっ、と小気味いい音がした。
振り返ると、○○はデータを見ながらチョコレートを食べていた。
四角い直径3センチくらいのチョコを無心で食べている。糖分摂取の為らしい。
それを見てたら、なんだか…
「あっ」
「ん?」
○○が視線を私に向ける。だけど、○○が噛み付いたチョコは最後の一個で。
「あ…いや、なんでもないんだ。すまない、気にしないで」
「………」
キョトンとしたまんまるの目が私の心を見透かすように見つめてくる。気恥ずかしくなって視線を逸らすと、○○は噛み付いたチョコを割るように噛み切った。ぱきんっと音がしたと思うと、○○は立ち上がり、手に残ったチョコを私の口に突っ込んできた。
「むぐっ!?」
「ごめんごめん、セツの分残すの忘れてた」
「………んぐ、い、いや…」
口の中に甘いカカオの香りが広がる。
○○は気にしていないみたいだったけど…食べかけ…
顔が熱くなるのを感じる。
○○はそんな私を見て、どこか嬉しそうに笑った。