(細かいことは割愛しますが
男主人公がらきおぬいを手に入れました)
「…よく出来てんなぁ、コレ」
直径約20センチ。独特のメイクも綺麗な目もしっかり再現されてる。流石に頭の羽根かざりは色々試行錯誤した様だが、小さいながらもしっかりラキオだ。キョトンとした表情はあまり見ないもので見てると思わず顔が綻んでしまう。
そして、当のラキオはどこか上機嫌だ。
「まぁ当然だよ。僕をモデルにするからには半端なことは許されないからね。大体ぬいぐるみなんて玩具に僕を使おうってことはつまり凡愚共は僕の」
「嬉しそうだな」
思わず笑うと、ラキオはむっと口をつぐんだ。
「…君こそ、さっきから口が緩みっぱなしだけど?」
「…あ、はは…まぁな」
「…ふぅん?君、そういう趣味なワケ?」
「そういうわけじゃないけど…」
ちゅっ
「!?」
「コイツになら、誰にも怒られないだろ?」
人形にキスを落として笑う。ラキオ相手に何かすれば大体理性が足りないだの動物的だのと言われてしまうが、このラキオが文句を言うことはない。
ラキオは唖然としていたが、すぐに大きなため息をついた。
「………はぁあ。まさか君に子供みたいなことを言わなければいけないとはね…」
「うん?」
「…それ、きちんとタグがついているだろう?よく読んでみなよ」
「タグ?」
人形をひっくり返す。確かについているタグには商品名と注意書きが書いてあった。
「………これがどうした?」
「君、文字読めないの?」
「いや、読めるけど。だから?」
「…理解できないなら教えてあげるよ。『絶対に本製品を舐めたり、口に含んだりしないでください』って書いてあるだろう?」
「……………」
今度は俺が唖然とした。
「………いや、キスくらいいいだろ」
「駄目」
即答だった。黙り込んで、少し考える。
「………」
「………何、その顔。文句でも_」
言いかけたラキオの顎を上向け、抵抗される前にその唇に軽く噛み付いた。ラキオの目が大きく見開かれる。
「っ!」
「コッチならいいのか?」
「………場所を弁えるならね」
「…ふーん」
噛み付いた唇を一舐めして離れると、ラキオはぷいっと顔を逸らした。思わず苦笑する。
「人形にヤキモチ妬くなよ…」
「何勘違いしてンの?仮にも僕の姿してるものに汚い真似して欲しくないだけなンだけど?」
「はいはい、そういうことにしとく」