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    Nbm458

    @Tythj
    推しカプのエッチな絵を投下したりする。

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    Nbm458

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    なんか体から始まってずるずる関係を続けているタイプの豊土。ドハッピーエンドです。(未完)
    軽くしか確認してないので、誤字脱字めちゃくちゃあります。

    #豊土
    richSoil

    未定目を覚ましてから、土方は周りの惨状に己の頭を抱えた。
    もう陽は昇り鳥が外で歌っている。振り乱れた髪をかきあげて飛び散った衣服を纏い、隣で未だ鼾をかいている男を後目に刀を携えてその場を去る。
    暫くして周囲を偵察しに来ていた竜騎兵と遭遇し、そのまま乗せてもらった土方は、風によろめきそうな身体を叱咤した。
    廃棄物達が長を務める北壁が見えてくる。そこは異形のもの達が既に農耕を初め商いを行い、街のようなものも出来た。商店に群がる怪物たちの、その合間を縫っていく黒い糸に、周囲がざわざわと敬礼を取ったりした。
    石が積まれた建物の中は、寒いのか暑いのか分からない。ひたすらに長く暗い廊下を進んで自室に向かう。
    戸を開けて部屋に入るや否や、ずるずると足から力が抜けていくようだった。酷く体が疲れている。それもそうだ、あの男の相手をしていたのだから。
    「くそ、」
    呟いた言葉は死んだ空気にすぐに溶けた。
    くしゃりと掴んだ髪から、ふとあの男の匂いがした。

    どろついた関係の始まりを、どう説明したらいいのだろうか。
    ヴェルリナでの戦が終わり、その後漂流者の偵察を行うため少数のコボルト兵と共に付近へ遠征に来ていた時の事だった。瞬間、兵の胴と首が綺麗に分かれ飛んだ。
    島津豊久、あの男だ。
    白い包帯に体を包んで、それでも敵と見れば嬉嬉として飛びかかる。所々滲んだ赤は男のものなのかコボルトのものなのか説明がつかない。
    カッと頭に血が上り、ぶわりと己の中からかつての同胞達が飛び出した。空気を割いて刃を向けるも、男はそれらを受けながらも真っ直ぐに己に飛びかかってくる。
    「土方ァ、土方歳三義豊!!功名じゃ、俺が首じゃ、置いてけ…そん首此処に置いてけェ!!」
    五月蝿く叫ぶ男の声がわんわんと脳に響いた。相も変わらず自分勝手な男だ、誰が首など置いていくものか。ギチギチと合わさる刀が鳴った。以前土方が折った刀ではなく、あともう一振の刀のようであったが、カチリとヒビが入るのが見える。
    ぐ、と力を入れて弾き、お互い離れる。ビィンと空気を震わせた刀。再び右足を踏み込んで切りかかろうとしたその時、目の前の男がばたりと倒れた。
    それからビクとも動かなくなり、それにどうしようも無く苛ついた土方は豊久の頭を蹴りあげ、仰向けに転がした。つま先に頭蓋の感触が嫌に残る。
    「勝手に突っかかっておいてもう黙りか、エェ?」
    見ると白がみるみるうちに赤に染まっていった。どうやら傷が開ききってしまったようだ。恐らく、血が足りなくなったか。
    太い二の腕を革靴の底で踏みつけると、新鮮な、赤い錆臭さが辺りを漂った。ぐぅ、と喉を鳴らした男の声すらも憎らしい。
    「そういえば、縫うたばかりじゃち言うとったなぁ…与一に叱られる」
    うわ言のように笑って呟いた。男の恐ろしいほど穏やかな声音が気分を大きく波立たせる。こんな所で、こんな風にくたばるのか。お前に手当をしたその名を持つ人間のことも考えずに、ふらふらとこんな所を歩き回っていたのか。
    とことん腹の立つ男だ。
    土方は刀を納め、その場を立ち去った。
    偵察なぞ出来るはずもなく、なんの情報も得ぬままにかえった土方を、黒王は何一つ責めなかった。
    そこが返って気色の悪いところであり、眉をひそめてこちらを睨めつけるラスプーチンの横を通り過ぎる。
    部屋を出て廊下に立つと、いつの間にか背後にいた男に声をかけられた。
    「ヒジカタ、お前あの男が憎いのだろう?何故殺さなかった」
    薄暗い廊下は蝋燭の揺らめく灯りに二つの影を落としている。
    ラスプーチンの眼鏡が光で反射し、男が放ったその問は、揺らめく影のように男の足元から土方に手を伸ばしてきた。
    「……あの状態で首を取ってなんになる」
    長く垂れた髪を弄りながら、ラスプーチンはふん、と鼻を鳴らした。納得していないのだろう。理解してもらおうとも思わないが。
    「しかし相手はあちらの頭目。あの男を倒せば人間達は総崩れになる……、お前もよぉく分かっているはずだろう?」
    嫌な笑みを浮かべてこちらを見るラスプーチンにぞわりと嫌悪が湧いた。この男のこういう目線が、土方の薄皮を引っ掻いてくるのだ。
    傷がつかない程度に、しかし跡をつけるように爪を立てる男に嫌気がさして、何も言わずに部屋へ篭った。
    「相変わらず無口で何を考えているのか分からない男だ、日本人は全員そうなのか?」
    呟きは閉じた先の土方に届くことはなく、外から響く龍の声がそこらに反響していた。

    次に島津豊久に出会ったのは、それから間もなくのことであった。
    どんよりとした北壁の空に嫌気がさして、なんとなしに陣を抜け出した先にあの男がいた。
    成り行きで、そのまま手を引かれてどこぞの廃屋に足を踏み入れ、土方はさして抵抗もせずに泥沼に浸かった。
    それから男とはずるずると床を共にしている。
    何故抵抗しなかったのか分からない。嫌ではなかったのか…、考えたくもなかった。あの熱がどうにも心を焼いて掴んでいくのが心地いいことにも蓋をした。あの男に抱かれて、嫌悪で絶望しない自分を認めたくなかった。

    「進軍する」
    抑揚なく言った言葉にそうだろうな、と納得した自分がいた。これから人間側には多大な屍の山が積み上がるだろう。
    黒王はそれだけ言うと、俺たちの前から静かに去っていった。歩いた後には、塩の塊が小さく点々と足跡のように伸びていた。
    「進軍ですって」
    少女が冷たく言い放った。興味がなさそうに見えるが、実際はどうだか分からない。
    「またジャンヌが怪我するわね」
    「人も何もかも焼き尽くすのは…戦力としてはいいが、資源が無くなるのが問題ですなぁ」
    「……」
    そう言ったラスプーチンを嫌悪の眼差しで見つめるアナスタシアは、視線を逸し、またいつもの表情に戻った。
    ジャンヌは頭蓋を割られている、島津豊久と戦った時に、女だからと手加減されたことを少女は怒っていた。それを聞いて、あの男のこういう所に土方もまた苛立ちに似たものを覚えていた。
    「あの男にジャンヌは一度敗北しているが、今度相見えたらどうなるでしょうね」
    髪を弄りながらニヤついたラスプーチンがこちらを見る。なんだか見透かすような嫌な視線だ。
    「トヨヒサシマヅの首なんて、跡形もなくなってしまうでしょうな」
    「ラスプーチン」
    カッと頭に血が上りそうになった。が、アナスタシアの通った声がその場の空気を冷たくする。
    「誰になにを言っているのか分からないけれど、意地汚いわよ」
    「左様で?」
    下から睨めつけるように見つめられるが、ラスプーチンは丸眼鏡の奥にある瞳を細めているだけだった。アナスタシアは暫く男を睨みつけた後、踵を返して部屋から出ていった。ラスプーチンもそれについて行くようにいなくなった。一人になり考える。
    あの紅い上着が硝煙の中翻り、その中心に丸に十字の憎い家紋。
    ふるふると頭を振って、思考を外に追いやった。くそ、とまた独りごちて、だるい身体を自室まで引きずった。
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