未定それからというもの、軍の動きは速かった。北壁近くに存在していた村を残さず潰していった、民は逃げ、惑い、一人二人と殺されていく。死体はゴミのように集められ、袋に詰められる。解体され、また市場で売られるのだろう。
同胞たちを出しながら、他の廃棄物と同じように民を殺すが、土方の心はどこまでも凪いでいた。自分に関わりのないどうでもいい人間達、男も女も子供も老人も、切って捨てても何も感じなかった。
脳裏をよぎる紅い羽織がはためく度に、呼び起こされた楽しさが、更に土方を陰鬱な気持ちにさせるのだった。
侵略を繰り返す日々が五日を過ぎた頃、土方は廃棄物の陣を抜け出した。
繋いでいた馬の手綱を握り、何処へ行くでもなく走る。夜風が涼しく、自陣が遠くへなっていくのに躊躇いはなかった。
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