秋の空午前中パトロールに行き、遭遇したサブスタンスを確保するというひと仕事を終えたオレは、缶ビールを片手に一服をしようとタワーの屋上に向かった。屋上への入口を開けると降り注ぐ太陽の眩しさに眉を顰める。二日酔いとまではいかないが寝不足気味の目には刺激が強い。まだ日が昇って半日経つか経たないかの空は明るく、きれいな青が広がっていた。ランチタイムやティータイムには賑わう屋上も、昼食にはまだ早いこの時間は人の気配もなく、これ幸いとポケットからタバコを取り出してジッポで火をつける。ふぅ、とひと息吐き出すと、紅葉の始まった小さな木が目に留まった。その下に備え付けられているベンチを見つけて、片手でプルタブを引っ張りながら歩き出した。
2670