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    鴉の鳴き声

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    鴉の鳴き声

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    ルトゥさんとジョウくんが蒼天街をフラフラするお話

    蒼天街観光日記「温泉?」
    「そ!兄さんが蒼天街の入浴チケットをもらってきたんだ」
    「へー」
    俺が差し出したチケットをルトゥさんとジョウ君がのぞき込む。
    「でも結構な枚数もらっちゃってさ。よかったら二人もどうかなって」
    「蒼天街か、確か竜詩戦争終結後のイシュガルドが破壊されて久しい区画を再建した新しい区間だったか?」
    「そうそう、俺も来歴は詳しくないんだけどさ。沢山の職人や商人が行き交ってて、すごい賑わってるんだよ」
    「へーいいね。ルトゥ、行ってみようよ!」
    チケットを受け取った二人は楽しそうに喋り出す。
    「公衆浴場に近いけど、サウナやマッサージもあるみたいだね」
    「ふむ、では近いうちにお邪魔するとしようか。
     もうすぐ星芒祭も近いし、ついでにイシュガルドでシュトーレンを買ってもいいな…」
    ルトゥさんは髭をさすりながら思案に耽っているようだ。

    「じゃあ今週の特訓はこんな所かな?お疲れ様でした」
    「はい!お疲れ様でした!」
    今週のジョウ君の特訓も一段落ついたので、俺は帰路につく準備をする。
    「おい、鷹彦」
    「どうしました?ルトゥさん」
    帰ろうと荷物をまとめているとルトゥさんが声をかけてくる。
    「いや、お前にもらった蒼天街のやつだが、よかったらお前らも一緒にどうかと思ってな。人数が多い方が楽しめそうだろ?」
    「あぁ、来週の頭くらいに兄さんと行く話はしてるんですよね。ルトゥさんとジョウ君の予定が空いてたらその時にどうです?」
    「ふむ、その日なら俺は大丈夫だな。ジョウはどうだ?」
    「オレも大丈夫だよ」
    「じゃあ決まりですね。現地集合でいいですよね?」
    「構わない」
    「俺と兄さんは午前中からいるんで、お二人は到着したらリンクパール鳴らして下さい」
    「わかった。じゃあ来週な」
    「はい、では俺はコレで失礼します」
    ---------------------------------------------------------------------------
    「へーここが蒼天街かぁ。あまりこっちの方には来た事無かったけどすごいね」
    オレは周囲を見回しながら、街並みや通りに並んでいる店を眺める。
    「あぁ。本当に賑わってるな。元々のマーケット通りと違って3国からの出店もあるのか」
    ルトゥも同じように周囲を眺め、感心した声を上げている。
    「鷹彦にはもう連絡してあるのか?」
    「あぁ。こっちに合流するって言ってたからそろそろだと思うんだけど…」
    オレがそう言いながら周りを見渡していると階段の上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
    「やぁやぁお二人さん、蒼天を仰ぐ街にようこそ」
    顔を上げると鷹彦さんが手すりから乗り出してこちらに手を振っている。
    「鷹彦さん!」
    オレが返事をすると階段上から鷹彦さんが飛び降りてきた。
    「お待たせしちゃいましたかね」
    「いや、街並みを見て回っていたしな。大丈夫だ」
    「それはよかった。それじゃあ早速行きましょうか。あ、兄さんはサウナで先に待ってますよ」
    そう言うと鷹彦さんは歩き出す。

    暫く歩いていると広場に出た。
    広場の中心にある噴水を囲むように屋台が立ち並び、人が大勢集まっている。
    「お店がいっぱいるね。あれは何なの?」
    「あぁ、星芒祭に向けて露店の準備をしている人達だね。
     このお祭りは夜通し行われるんだけど、日中もああやって屋台が出てるんだよ」
    「へぇ~そうなんだ」
    「俺達も何か買うか?折角だからな」
    ルトゥの言葉に少し考える。
    「うーん…そうだ!あれ食べたい!」
    「あれ?どれだ?」
    「あの白い粉がかかったお菓子!」
    「あぁ、スノーボールか。よし、じゃあ先に買うか」
    「うん!」
    広場は人でごった返していたけれどなんとか列に並ぶことが出来て、すぐに順番が来た。
    「へい!いらっしゃい!何袋ご入り用だい!?」
    「えっと、4つで!」
    「まいどありっ!」
    注文した数だけ紙袋に入ったスノーボールを受け取る。
    「はい!これお金ね!」
    「おう!確かに!」
    代金を払い終えるとおじさんはにっこりと笑いかけてくれる。
    「星芒祭楽しんでくれよ!」
    「はい!ありがとうございます!」
    笑顔でお礼を言うとおじさんは別の客の対応を始めた。
    「さて、じゃあそろそろサウナに向かおうか。兄さんも待たせてるからね」
    鷹彦さんが再び先導してくれる。

    暫く歩くと湯煙が漂いはじめてきた。どうやら浴場エリアに近づいてきたようだ。
    「あっちが更衣室。俺は兄さんと合流してから向かうよ」
    鷹彦さんは更衣室を指さして、別の方向に去って行った。
    「あぁ、また後でな」
    ルトゥは鷹彦さんに手を振り、オレと更衣室に向かう。
    更衣室の扉を開けると脱いだ服を入れる籠が並んでおり、その向こう側にロッカーが並んでいる。
    「うわぁ!広いねぇ!」
    「そうだな」
    ルトゥと一緒にロッカーに荷物を入れ、手早く着替えを終える。
    普段から見てはいるが、やはりルトゥの鍛えられた肉体と股間のそれにどうしても目が行ってしまう。
    というよりはいつもより妙に視線を感じる気もする。
    それがルトゥに向けられているような気がしてオレは周囲を警戒する。
    「じゃあ行くか?」
    「あっ…うん!」
    ルトゥの方は鈍感というかそもそも普段から気にもしてないから
    構わず股間を碌に隠しもせずにそのまま浴場に向かっていった。

    「お、二人とも来たか」
    「お待たせしました」
    遅れて更衣室に入った一烏さんと鷹彦さんも合流し、オレ達は浴場に入る。
    「おぉー!!すごい!!」
    大きな浴槽には沢山のお湯が張られていて、その周囲には色々な種類の風呂が並んでいる。
    「すごいな!」
    「あぁ、こんなに大きいとは思わなかったな」
    「まぁここは蒼天街で一番人気の温泉施設ですからね」
    鷹彦さんの案内のもと、オレ達はそれぞれ好きな場所に向かった。

    「ふぅ〜気持ちいい〜♡」
    身体の芯まで温まり、思わず声が出る。
    「確かにこれは良いな…」
    隣のルトゥも満足気な表情を浮かべている。
    「ジョウ、あっちにも行かないか?」
    ルトゥが指さした先はサウナだった。
    「サウナかぁ…」
    「あぁ、結構汗をかくぞ」
    中に入ると既に何人かの人がいて、熱気に満ちていた。
    「うわぁ…暑そうだなぁ」
    「だがこの暑さこそがサウナの真骨頂だな」
    ルトゥが言う通り、すぐにじんわりと汗が出てくる。
    「確かに…暑いけど我慢できない程じゃないな」
    「あぁ、むしろ心地よいくらいだ。慣れればもっと熱い所もあるらしいぞ」
    「そうなんだ。でももう十分かな」
    しばらくすると、隣にいた人が出て行ったのでオレ達も出る事にした。
    「そろそろ出るか」
    サウナらか出ると今度は一烏さんと鷹彦さんが湯船に浸かっていた。
    「む、二人とも早かったな」
    「あぁ、少ししか入ってなかったからな」
    「ふぅ…こっちもいい感じだよ」
    鷹彦さんの言葉に誘われてオレも浸かる。
    「気持ち良さそうだね」
    「だろう?サウナも良いが、これも中々悪くない」
    湯船にゆっくりと浸かっていると日頃の疲れも良く取れる気がする。
    一息つきながらオレは周りを見渡す。

    まだ日が早いと言う事もあり、比較的人も少ない。
    ふと…という訳でもなく、ついつい目の前のルトゥや鷹彦さんに目が行ってしまう。
    普段から見慣れてはいるが、開放的な場所だからだろうか、それともサウナの熱気によるものだろうか
    ルトゥの紅潮した頬や鍛えられた身体がいつもよりも妙に色っぽく感じてしまう。

    鷹彦さんは一烏さんと楽しそうに話している。
    といっても鷹彦さんの方が喋ってばかりで、
    一烏さんは殆ど頷いているだけのようだが、二人とも寛いでいるようだ。

    一烏さんはミコッテらしく小柄な身体だけど引き締まっている。
    二人が並んでいるのを比べると、ルトゥが特別大きいんだなと改めて実感する。
    鷹彦さんはルトゥと同じく実践的な筋肉の付き方をしている。
    ルトゥの方が身体が大きいけど、負けず劣らず逞しくてつい目が行ってしまう。

    「兄さん、あんまり長居しないようにしないとのぼせるよ」
    「そうだな」
    「ジョウくんも、あんまり見られると恥ずかしいな」
    鷹彦さんが急にこちらを振り向くのでドキッとする。
    「ははっ、つい見ちゃいました」
    「俺は嬉しいけど、あんまりジョウくんが俺ばっかり見てると、ルトゥさんが睨んでくるからね」
    「…別にそんな事はない」
    ルトゥは顔を反らしながら否定するが、鷹彦さんはニヤニヤしている。

    「そろそろあがるか」
    我関せずな一烏さんが気にせず更衣室に向かう。
    「じゃあ俺も出るよ。いやー、気持ち良かったね」
    鷹彦さんも続いて出て行く。
    「俺たちももうあがるか」
    「そうだね。サウナもお風呂も満喫したしね」

    着替えを済まして休憩所に行くと、先に出ていた一烏さんと鷹彦さんが寛いでいた。
    「あ、そうだ。さっき来る途中に買ったんだ。二人ともよかったら食べてよ」
    「あ、さっきのスノーボールだね。ありがとう。兄さんは大丈夫?俺が食べようか?」
    「いや、折角の好意だ。受け取らせてもらう」
    「あれ?一烏さん甘いの苦手だった?」
    「自分から進んで食べないだけだ。礼を言う、ジョウくん」
    「どういたしまして!今度は別の物も買ってくるね」
    「そういえばお二人さんはこれからどうするんだい?」
    「オレ達は折角だしもう少し散策する予定かな」
    「そうだな。折角来たからな」
    「へぇ、良いねぇ。楽しんでおいでよ」

    一烏さんと鷹彦さんと別れ、ルトゥと二人で蒼天街の道を歩く。
    「次はどこ行こっか?」
    「そうだな……」
    ルトゥが顎に手を当てて考えていると、目の前に見覚えのある人影が現れた。
    「あれ?二人ともこんな所で珍しいな」
    ライアンさんだった。
    「お前も来てたのか。イシュガルドに巨根の材料になる物があるのか?」
    「違うぞ!人をそんな巨根の研究ばかりしてると思うなって」
    「その通りじゃないか」
    ルトゥが呆れたように言う。確かに言われてみるとライアンさんの趣味はあの研究ばかりだったような…
    「まぁ、いいや。今日は俺は普通の魔紋の素材の仕入れに来ただけだからな」
    「普通の?作れたのか」
    「俺をなんだと思っているんだ。研究費を稼ぐ為にも魔紋の論文書いたり色々してるんだよ」
    「初耳だ。まぁ頑張れ」
    「今度見せてやるよ。あぁそうだ、ルトゥのザーメンも研究で無くなりそうだから、今度ちょっとわけてくれ」
    ライアンさんは両手を合わせルトゥにお願いする。
    「お前…そんな気軽に言うなよ…」
    「別に減るもんじゃないし、イイじゃねぇか」
    「減るだろ。お前も鷹彦も本当に遠慮が無いからな…」
    はぁ…とため息をつくルトゥ。
    「まぁ今度ケーキホールで買ってきてやるから、機嫌直してくれって。それじゃあな、邪魔したぜ」
    笑いながらそう言ってライアンさんは街中に消えていった。
    「好き勝手言いやがって…」
    ルトゥが少し頭を抱えていたが、
    オレ達も次の目的地に向けて再び歩き出した。

    「ここもなかなか賑わっているね」
    ルトゥと二人で蒼天街の街を見て回る。
    ここは活気があって、沢山の人が行き交っていて、見ているだけで楽しい気分になれる。
    「ところでルトゥはこの後どこにいきたい?」
    「ん?そうだな……」
    ルトゥがアゴに手を当て考える素振りを見せる。
    「とりあえず腹減ったな。何か食いたい」
    「そうだね。丁度昼時だし、どこかに入ってご飯食べるか」
    適当に入った店で食事を終え、店を出てまたぶらつく。
    「うーむ、美味かった」
    「そうだねー。この後はどうしようか?」
    「むっ…」
    ルトゥの尻尾がピンッと立つ。
    「最後にアレ…行くか」
    ルトゥが指さした先にはスイーツ店が露店を出していた。
    「はは、やっぱりルトゥは好きだね。行こう行こう」

    露天に着くと甘いチョコレートの香りが漂ってきた。
    オレはルトゥみたいな甘党という訳では無いけど、やっぱりこういう匂いがあると食べたくなってしまう。
    「いらっしゃいませー」
    売り子のお姉さんがニコニコしながら試食品を配っていたので、オレとルトゥは1個ずつ貰う。
    口の中に温かくトロリとしたチョコレートの甘味が広がる。
    「フォンダンショコラか。うまいな」
    ルトゥは耳をピコピコ揺らしながら試食品を食べている。
    かなり気に入っているようだ。
    「3ダースくれ」
    「わぁ!ありがとうございます!包みますので少々お待ちくださいね」
    売り子のお姉さんは少し驚いた表情を浮かべていたが、すぐに笑顔に戻りテキパキと箱詰めを始める。
    「はい!どうぞ!」
    3つの箱を受け取り代金を払う。
    「ありがとうございました!またのお越しをおまちしておりまーす」
    オレ達は軽く手を振ってその場を離れた。
    「さて、風呂にも入ったし、土産も買ったし…そろそろ帰るか」
    「そうだね。結構歩いたし、そろそろ帰ろうか」
    そうしてルトゥと二人で蒼天街の道を進み、帰路につく。
    なおお土産代わりに買ったフォンダンショコラが3日も保たず、
    すべてルトゥの腹の中に入ったのはまた別のお話。
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